(15)投稿開始

一週間後。作品が完成した。

投稿予定日は金曜日の18時。小説に関してはすでに予約投稿が設定済だ。

「作品を投稿する瞬間ってやっぱりドキドキするね…」

モニターを前につぶやいた。C班は全員だが、B班は3名だけがこのパソコン室に来ている。残りの班員は今の時間も執筆を行っていることだろう。

「よし…投稿。同時にSNSのアカウントも作成っと」

アップロードが完了した。バーチャルアイドル「カグヤ」の記念すべきデビューだ。

「小説の方はどうだ?」

「予定通り投稿されているわ」

「よし……電波で指令を出すぞ…チャンネル登録して動画を再生しろ…小説の方はブクマしろ……そしてランキングに入って伸びてきたらSNSで宣伝しろ…だな…」

「ええ。いきなり無名の作品がSNSで宣伝されまくったら怪しまれるかもしれないから…順番を間違えちゃだめ」

「わかっているよ。一つずつ送るか」

隼人は右手に意識を集中して電波を飛ばした。工作員へ命令を送り込む。

ページをチェックして問題ないことを確認した後、一同はそのまま待つことにした。

更新ボタンを連打して再生回数をチェックしたいところだが、自分のアクセスがカウントされて計測が狂うのは避けたい。

「動画は再生…されてる!」

「小説の方もブクマとポイントが入っているわ」

「まあ現時点では自演だから…素直には喜べないけど」

集団催眠によって手に入れた工作員がちゃんと機能していることはこれで確認できた。

「最初が肝心よ。一度ランキングに乗れば後は流れをつかめるから…」

「一応言っておくけど…目的はあくまでもロケットのPRだからな。最終目的は人気のバーチャルアイドルになることでも、投稿した小説を書籍化やアニメ化することでもないからな。それらは通過点だ」

浮かれている皆を見て隼人は釘を刺した。このまま画面に張り付いて作品の動向を見守りたいところだが、もう最終下校時刻となったので全員が解散となった。


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