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地味に続く介護

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故郷に残る一人親への対応を中心に、関連する話題を書いてまとめています。黄昏時のサラリーマンが直面しつつ、あまり会話に出てこない内容なので、斜め読みして頂くことで取っ掛かりとしてお…
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2020年10月の記事一覧

老夫婦の日用品が壊れるのは一大事

老夫婦の日用品が壊れるのは一大事

大事に使っていても、道具や機械はいつか壊れる。壊れたのを契機に使うのをやめるという選択もあるけれど、生活で使っているものの場合、それはまず取り得ない。

私自身、ある朝冷蔵庫を開けて、中の麦茶容器を持ち上げた時、「……冷えていないなあ」と思ったら、実際寿命でコンプレッサーがイカレていて、冷凍食品も「自然解凍」されていて困ったという経験がある。もちろん、買い換えた。

お年寄りにとって、新しいテレビ

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変化を嫌うお年寄り

変化を嫌うお年寄り

日々新しいこととの出会いを待ち望むお年寄りがいるのかは、分からない。でも、いたとしてもかなり少数派だろうとは思う。

なぜならば、新しいことと出会えば、それを理解しなければならない。そのために、脳は無意識のうちに過去の経験とつき合わせて、似たようなものがないか、或いは複数の経験や知識を組み合わせれば近いものができるのではないかと働き始める。

つまり、新しいことの受容は、かなり頭を使うことになるの

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取り残され感

率直に表現すると、母の心境はタイトルの通りだと思われる。長生きするにつれて、同世代の友人知己や兄弟等が、次々と彼岸に旅立って行ったのだから、その感情はある意味で素直だとは思う。

でも、寿命はまさに授かり物。自分の命の長さまで、同調圧力に委ねる必要等は全くないはず。それでも湧いてくる「自分1人が取り残されてしまった……どうしよう?」という思いは、容易に恐怖に変わる。日本軍のバンザイ突撃も、生きて虜

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お国のため

戦前派の母は、「公」の意識が強い。そして、世間様にすごく気を遣う。

その分、「私」については抑えるのが習い性になっている。人への評価においても、その影響が色濃く出ているように感じる。

根源的には、幼少期にたたき込まれた「お国のため」の影響が強くあるのだろう。少国民として国のために尽くし、組織された集団の中でうまくやっていくことが、大前提の規範として思考過程に染みついてしまったのではなかろうか。

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老人ホームの床

母が老人ホームに入居するきっかけは、実家で転倒した際に足の骨を折ったこと。病院でボルトにより骨折部を固定し、その後リハビリに励んで歩けるようにはなったけれど、動きは緩慢にならざるを得ず、また安定性も損なわれていて、見ていても危なかしい状態であった。

そのため、姉とも相談して母の実家での一人暮らしは困難と判断し、老人ホームにお世話になることとしたのだが、老人ホームの床は、部屋も廊下もPタイルで固い

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秋の鬱③

秋の鬱③

正直なところ、この喪失感を理解し、つらさに共感してくれる人がいれば、それは鬱への抑止力になるだろう。しかし、老人ホームという環境では、そういう人はなかなか現れにくい。

なぜなら、老人ホームは閉ざされた環境だから。本人が、随意に施設外に出ることはできない。周囲にいる人は、基本的に同じ入居者かスタッフのみ。この限られたメンバーの中で、理解者と出会える確率はどれくらいだろうか?

そもそも、高齢者同士

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秋の鬱②

秋の鬱②

よく「鬱は心の風邪」と言われる。つまり、鬱は誰でも掛かり得るもので、珍しくはないというニュアンスで使われる表現である。

鬱の原因は、心理的なストレスにより脳内のバランスが崩れることだと考えられている。ストレスで脳の一部の神経細胞の形に変化が生じ、感情や考え方のゆがみを引き起こすのではないか? と。

心理的なストレスの代表は、悩みや不安であろう。それらを何とかしようと真正面から捉え、突き詰めて考

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秋の鬱①

秋の鬱①

老人ホームに入居する母は、秋になるとメランコリックの度が上がる。私がせっかくホームに顔を出しても、「生きていてもねえ、何の楽しみもないし……」などと言い出す。

今の世の中、何か良からぬことが起これば管理責任を問われる。ゆえに、老人ホーム側としては、そのような発言が続くと放置できない。

かくして、秋のホームから私宛への電話の内容は、十中八九これに関わるものである。ホーム側は「お母様の気分が塞いで

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人に会う効用

約一週間前のNHKニュースに、以下のようなものがあった。 新型コロナウイルス感染症対策としての面会制限や外出自粛により、半数の介護施設がアンケートに「入所者の認知症が悪化した」と回答したとのこと。

人に会うという、コロナ禍前なら極めてありふれた行為が、今では感染防止のために難しくなっている。それが介護施設に居住する老人の認知症の悪化を招いているようである。

これは、とても身につまされる話でもあ

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母の様子を見た姉の宣言

老人ホームに入居している母。私よりは近所に住む姉が、月1ペースで様子を見に行く。

たまに私と一緒になることもあり、その帰り道に姉がポツッと一言。

「○○(姉の娘)には、『私が年を取って施設のお世話になることになったら、無理に構わなくても良いからね』と言ってあるんだ」と。

我々の母は、子に対して十分に愛情を注いでくれたと思っているし、だからこそその恩返しをしたいという気持ちもある。それも踏まえ

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高額介護合算療養費・高額医療合算介護(予防)サービス費支給申請

タイトルが長い。でも、そういうものの案内が、母宛に送られてきたのである。

厳密には、一度春に送られてきたもの。その時は「何だろう?」と思ったが、当時はコロナ禍で移動が制限されていた。「どうしよう?……」とためらっているうちに記憶が薄れて半年が経ち、再通知が送られてきた次第。

このはがきには、「同じ世帯の後期高齢者医療制度の加入者の方が、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、下

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AIマッチングの提案

インターネットでいくつかのサイトを見ていると、端っこの広告やtwitterの広告tweetで、出会い系のものが流れていることがある。その宣伝文句を見て、ふと思ったこと。

老人ホームの相部屋パートナーも、AIマッチングで選んだら良いのでは?

思いつきと言われれば全くその通り。でも現状は、申込時のたまたまの部屋の空き具合だけで入居する部屋が決まる。それでも、うまくいく場合はあるだろう。しかし、そう

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お年寄りの我慢強さ

お年寄りは、我慢強いと言われる。

今よりもモノがない時代の生活に慣れているから。
医師に診てもらえることが少なかったから。
戦争中の食糧難を経験しているから。
移動は歩くのが当たり前で、足腰が丈夫だから。
肉体労働が多く、体が鍛えられているから。

……だから、暑くても我慢してエアコンを使わずに熱中症になる人が後を絶たないとか、ちょっとした病気でも「寝てれば治る」と言ってかえって悪化させてしまう

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介護の傍ら次の相続税対策も行うことになる

介護の傍ら次の相続税対策も行うことになる

こちらにお越し頂き、ありがとうございます。
あなたのお役に立てれば、幸いです。

さて……

亡父の死後、わが家では相続税申告を行った。その経験から、母の老人ホーム入居後、家計管理では常に証憑(領収証等)を意識するようになった。

母の預金は、当然ながら母のものである。しかし、老人ホームには現金を持ち込めない。また管理の問題もあるため、預金通帳も持ち込めない。

こうなると、事実上私と姉の共同管理

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