人に会う効用

約一週間前のNHKニュースに、以下のようなものがあった。 新型コロナウイルス感染症対策としての面会制限や外出自粛により、半数の介護施設がアンケートに「入所者の認知症が悪化した」と回答したとのこと。

人に会うという、コロナ禍前なら極めてありふれた行為が、今では感染防止のために難しくなっている。それが介護施設に居住する老人の認知症の悪化を招いているようである。

これは、とても身につまされる話でもある。私の母も老人ホームに入居していて、やはり先月までは家族との面会も禁止されていたから。

母は、亡父の葬儀後約1年間は実家にいて、その後骨折により入院した。その際に、認知症が進んでしまったという苦い経験がある。

老人にとって、急激な環境変化はストレスも大きく、それが認知症を惹起、或いはその進行を加速してしまう。一方で、家族の面会などの刺激がないと、やはり認知症が悪化することを、この記事は伝えている。つまり、ストレスにならない程度の適度な刺激が必要ということなのだろう。

そう考えると、今のコロナ禍は本当に罪深い。老人はこのウイルスへの耐性が低く、感染すると若い世代に比べて死亡率が有意に高い。だから外部との遮断を図るのだが、そうすると、認知症が進む恐れが強まる。

一挙解決の手段がない中、ぎりぎりの判断をしている介護施設スタッフには頭が下がる。感謝すべきは、医療者だけではない。

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