母の様子を見た姉の宣言

老人ホームに入居している母。私よりは近所に住む姉が、月1ペースで様子を見に行く。

たまに私と一緒になることもあり、その帰り道に姉がポツッと一言。

「○○(姉の娘)には、『私が年を取って施設のお世話になることになったら、無理に構わなくても良いからね』と言ってあるんだ」と。

我々の母は、子に対して十分に愛情を注いでくれたと思っているし、だからこそその恩返しをしたいという気持ちもある。それも踏まえた上での姉の、わが娘への宣言は、「重いな」と感じる。

行く度に、母は我々に「わざわざ来てくれてごめんね」と言うし、わが子が来たのに何もできない今の境遇を恥じてしまう。その一方で、我々の認識している過去のできごとからかなり外れた母なりの記憶を元に、とりとめのない話を聞かされる。

そういう経験にも慣れたけれど、何とも言えぬうら寂しいような気持ちが湧いてくるのだ。少なくともそれは、「会えて良かった」という感覚とはかなり遠い。

話している言葉は平易、だけど内容はかなり脈絡がなくて意味が取りにくい、しかも語尾の不明瞭さがそれに拍車をかける。何とか話について行こうと努力はするのだが、それにはかなりのエネルギーを要する。そのため、帰る頃には疲れてぐったりしてしまう。

そういう時に漏らした姉の一言は、娘への強い愛情が込められた哀しい宣言として、私の強い共感を呼び起こした。

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