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変化を嫌うお年寄り

日々新しいこととの出会いを待ち望むお年寄りがいるのかは、分からない。でも、いたとしてもかなり少数派だろうとは思う。

なぜならば、新しいことと出会えば、それを理解しなければならない。そのために、脳は無意識のうちに過去の経験とつき合わせて、似たようなものがないか、或いは複数の経験や知識を組み合わせれば近いものができるのではないかと働き始める。

つまり、新しいことの受容は、かなり頭を使うことになるのだ。

目の前に現れた「新しいこと」が、普段から見慣れたものや環境と照らし合わせて差異が大きいほど頭の酷使につながる。お年寄りにはそれが辛いことで、気力の衰えと相まって「今まで通りでいい」との結論を出しがちとなる。

例えば、父の存命中にスカイプ専用機を用いたテレビ電話を導入しようとしたのだけど、ものすごく抵抗された。「そんなものは要らない」「あっても使えない」と言うのを抑えつつ、簡単な使い方を書いた説明書を自作し、私の家にいる妻と娘の協力を得て、接続して見せてみた。

遠距離の孫娘と顔を見て話せたという成功体験をさせ、それを足がかりに何度か目の前で操作させて、父は何とかできるようになった。最初の一歩を踏み出させることに、何とか成功したのである。

一方で、母は最期まで「私はそういうのダメだから……」と乗ってこなかった。これが、後の相続手続にも影響することとなった。

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