【説教集×英語学習20】 パンは一つ、皆は一つ #230
2024年4月28日（復活節第5主日）
説教集より
For by dissention, vain-glory, ambition, strife, envying, contempt, hatred, or malice, they should not be dissevered; but so joined by the bond of love in one mystical body, as the corns of that bread in one loaf.
不和と虚栄や野心と争いや、妬みと軽蔑や憎悪と悪意によって人が貶められてはなりません。ひと塊のパンのなかにあるたくさんの麦の粒のように、一つの神秘体における愛の結びつきによって繋がれているのです。（第二説教集15章2部：全訳はこちら↓）
ヨハネのひとこと
「パンは一つだから、私たちは大勢で一つの体です。皆が一つのパンにあずかるからです（Ⅰコリ10:17）。」
今回ご紹介している説教集の一節は聖書のこの箇所にかかわるものです。この聖句それ自体は聖餐式でよく耳にする（し口にする）ものですので馴染みのあるものですが、説教集のこの一説では霊的な食事としてのパンに触れつつ、ひとつのパンを成している一粒一粒をわたしたち個々とし、それらがひとつのものであるということを述べています。
私たちが実際に食しているパンは粉をこねて発酵させてという工程で作られるもので、ごく化学的にいえば、なにかとなにかが結びついて物質レベルで反応してひとつになるということになるのでしょうが、信徒の集合をひとつのパンとたとえるとき、ひとりひとりを結ぶのは愛。その愛はどこから生まれたものなのか、誰によってもたらされたものであるのか。復活節も後半にはいり、昇天日がカレンダー上でずいぶんと近づいてきました。その方を思い、その愛に感謝し、今週も毎日を送りましょう。
英文の解説
文頭の for は接続詞で「というのは～だからだ」の意味を持ちます。前々回と前回の投稿（#228 と #229）にあったものと同じです。あえて訳出しなくてもよいということもあると思います。続く by から副詞の働きをする前置詞句になります。前置詞 by の目的語となる名詞が８つ、等位接続詞 or とカンマで結ばれています。dissentin（不和）、vain-glory（虚栄）、ambition（野心）、strife（争い）、envying（妬み）、contempt（軽蔑）、hatred（憎悪）、malice（悪意）と、どれもこれも善いとは言えないものばかりです。これらによって、they should not be disserved、つまり「彼ら（人々）が貶められてはならない」と帰結します。
セミコロンのあとが少し複雑です。等位接続詞 but に続く so joined はセミコロンの前の they should be に繋がりますし、同時に not A but B（A ではなく B） の構文を作っています。「貶められるのではなく繋がれるべきである」という意味になります。なお、ここの so は後に出てくる as と相関をなしています。
人は何によって繋がれるべきか。それは副詞の働きをする前置詞句 by the bond of love にあるとおり「愛の結びつきによって」であり、もっと言えば 形容詞の働きをする前置詞句 in one mystical body にあるように「一つの神秘体における愛の結びつきによって」です。
続く as は前出の so とで so A as B の相関をなし、「B と同じく A」の意味を作ります。「一つの神秘体における愛の結びつき」は the corns of that bread 「たくさんの麦の粒」、もっと言えば形容詞の働きをする前置詞句 in one loaf にみるように「ひと塊のパンのなかにあるたくさんの麦の粒」のようであるとされています。
英文の見取り図
最後までお読みいただきありがとうございます。今後も主日のたびにこのシリーズを投稿していきたいと思います。引き続きご愛読ください。よろしくお願いいたします。
X (twitter) もご訪問ください。
高校英語教師ヨハネの説教集（@sermons218tm） / Twitter
高校英語教師ヨハネの聖書日課（@bible218tm） / Twitter
John Tomohiro Miura（@tmtm218tm） / Twitter
Instargamでも少しずつ発信していきます。
john tomohiro miura(@tmtm218tm)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？