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解説 神の力、神の知恵(第二説教集10章2部) #136

原題:An Information for them which take offence at certain places of the holy Scripture. (聖書の一部に疑いを持つ者たちにかかわる説教)

第2部の解説をします。聖句でいうテーマと第2部のポイントは次のとおりです。

無学な人や心の定まらない人は、それをほかの書物と同じように曲解し、自分の滅びを招いています。(ペトロの手紙二 第3章16節)

第2部のポイントは次の5点です。
①第1部の振り返り
②ダビデの言う「幸いのない三種の者たち」
③なかでも「嘲る者」になってはならない
④畏れをもって聖書を読むべし
⑤まとめと結びの祈り

冒頭で簡単に第1部が振り返られたのち、切り口を変えて話が進められます。

さて話を進め、政治に携わる人々についてお話しましょう。彼らの中にはキリストの教えが世の統治におけるあらゆる秩序を破壊しかねないと主張する者もいます。

キリストの教えは世の統治において害となると主張する者たちがよくやり玉に上げやすい聖書の言葉がいくつか紹介されます。例えば、

「誰かがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。あなたを訴えて、下着を取ろうとする者には、上着をも与えなさい(マタ5・39~40)」

などです。こういったことを理解するための心がけとして、聖書のからこの言葉を引用して戒めています。

「自然の人は神の霊に属する事柄を受け入れません。その人にとって、それは愚かなことであり、理解できないのです(一コリ2・14)。」

この上で、キリスト教徒として避けたい人物像について、『詩編』からダビデの言葉を引用しつつ、その逆にある姿として三つあげています。

ダビデは幸福な人間というものについて、「幸いな者、悪しき者の謀に歩まず、罪人の道に立たず、嘲る者の座に着かない人(詩1・1)」と言っています。(略)かかわることを逃れて避けたい人間が三種類いることになります。(略)つまりは不信心な者、罪を犯す者、そして嘲る者という三つによって、あらゆる不敬虔が十分に言い表されています。

この中で、特に三つ目の姿について、強く述べられます。

はじめの二種類の者たちについては、悔い改めをして神に向かうよりほかないとは言いません。しかし三番目の種類の者たちについては、(略)悔い改めをして神に向かわない限り、やがて来るべき裁きの日まで、忌み嫌われる邪さのなかにあるまま自身を破滅へと向かわせることになります。

この「嘲る者」の例が旧約聖書から挙げられます。ヒゼキヤ治下でのエルサレムの民やソドムの民です。「嘲る者」に神が罰を下すと聖書にあるにもかかわらず聖書を軽んじる者にかかわって、次のように説かれます。

神の御言葉を嘲る者とならないように用心しましょう。(略)神が御慈悲をお持ちであるうちに神に向かいましょう。来たる世で悔い改めようとしても、その時ではもう遅すぎます。神は容赦なく裁きを行われます。(略)肉的な者たちはいまだに聖書を肉的に乱用し、大いなる破滅に向かっています。聖ペトロは「無学な人や心の定まらない人は、それをほかの書物と同じように曲解し、自分の滅びを招いています(二ペト3・16)」と言っています。(略)キリスト・イエスは、悪行によって滅びゆく者たちにとっては躓きとなる方です。彼の御言葉は神の御言葉そのものであり、それを信じない者たちには滅びがもたらされます。キリストはともに神の子となる人々のためにのみ立ち上がられます。キリストの御言葉は神の御言葉です。そのすべてが、それを心から信じる人々にのみ救済をもたらす神の御力です。

この上で、聖書に書かれていることが荒唐無稽であるとか、理解に苦しむとか、そのように思ってしまうことについて、次のように述べられます。

聖書の言葉が理解するには曖昧ではっきりとしないものであるというならあるほど、ますますわたしたちは神から、またそれを書いた聖霊から遠いところにいると考えなければなりません。聖書をうわべだけで読まず、その奥にある知恵を求め、畏れをもって読み進めましょう。御言葉の意味や奥深さを読み取れないからといって、それを嘲る者や蔑む者となってはいけません。そうなることは躓きの明らかな徴であり、神とその知恵に対する敵となることを示します。(略)わたしたちは、自分の理解力や教養に応じて、聖書を理解して受け取ろうと努力をしなければなりません。

聖書を理解できないと決めつけて読んではいけない。まして理解できなからといって「嘲る者」となってはいけない。畏れをもって聖書を読むことを説きつつ、結びの祈りをもって第2部は、つまり第10章は終わります。


今回は第二説教集第10章第2部「神の力、神の知恵」の解説でした。次はこの試訳となります。一度でお届けするには長いので、二回に分けてお届けします。

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