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#いちとせしをり
やっと見つけたわたしの居場所は、LGBTフレンドリー企業でした
平日、履歴書を買いに行く瞬間、人はとびきり臆病である。
「いらっしゃいませ」
声が聞こえて安心した。踏み出した自分を讃えられている気さえする。柿渋色の床と、しゃがれた空気。普段は頭の中に存在していないはずの記憶が、飛び込んできた景色を合図に零れだす。そういえば前も、この店員さんだった。
「ここで暮らして、何年になるだろう」
町の文房具屋、と、いった雰囲気。お世辞にも広い店内とは言えないが、