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嘘とサンタと粉雪と

今日は楽しいクリスマス。世界中の子供たちが、ワクワクしていることでしょう。

そして、恋に恋する恋人たちは、胸を焦がして、ドキドキしていることでしょう。

昨日の夜に、プレゼントを配ったサンタさんは、ウトウトしている頃でしょうか。

ところで僕は幼い頃、サンタクロースがいることを、心の底から信じていました。

だけど或る朝、悲しいかな、それは真っ赤な嘘だということを、僕は突然知りました。

夢見る小さな子供たちのために、大人たちがついていた、それは素敵な嘘だということを。

それ以来、この世の中には、サンタクロース以外にも、いろんな嘘があることを僕は知ったのです。

優しい嘘や、冷たい嘘や、その場逃れの嘘や、見栄っ張りな嘘や、人を幸せにする嘘や、ジョークのような軽い嘘など。

考えてみれば、僕が好きな童話や絵本や小説も、ほとんどは嘘の世界だし、それを書いた作家さんたちも、言ってみれば嘘つきです。

だけど、そんな嘘の世界にも、何かしらの真実があるからこそ、人はその物語に感動したり、感情移入して、泣いたりするのかも知れません。

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ちなみに、この写真は、雪の降るパリで、サンタさんがシトロエンのトラックに乗っているところを偶然発見して、僕が撮った写真です。

このトラックがパリの街を走り出すと、降りしきる白い粉雪は、たちまち白い華になり、パリの街は、華であふれた華の都になりました。

と言うのは、僕の拙い嘘ですが、冬が始まるパリの街を歩いていたら、この風景に出会ったのは本当で、思わずシャッターを切りました。

シトロエンのトラックに乗ったサンタさんは、今年もきっと、粉雪が降るパリの街で、素敵な嘘をばら撒いているのかも知れません。

僕もいつか、人を幸せにする素敵な嘘がつけるように、そして、その嘘を作品として昇華出来るように、まだまだ精進しなければ…。

降りしきる雪は真白き華となり聖者(サンタ)は嘘をばら撒きながら  星川孝

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