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【ざっくリサーチしき #25】 次々出てくるマーケティング・モデルやフレームワークへの考え方

混沌として見えるフレームワーク群に対する見方のざっくり知識

ビギナーの方々に、ざっくりとした知識をお届けするシリーズ の第25弾。

世の中には、マーケティングやリサーチに関するフレームワークや理論などが、たくさんあり、それぞれに言っていることが異なっている印象を受けることが多いです。

しかし、マーケティング・プロセス全体像と各ステップでのポイントを理解して、1つの見方を理解しておけば、混沌として見える各々のフレームワークや主張が整理できるようになります。

今回は、その見方について、ざっくり解説します。


そもそも、どのようなモデルやフレームワークがあるのか?

まず、マーケティング関連のモデルやフレームワークについて、ざっと並べてみましたが、これだけでも一部という印象です。

  • 伝統的マーケティング思考(PEST, SWOT, STP)

  • デザイン思考(デザインシンキング)

  • アート思考(アートシンキング)

  • カイゼン思考(KAIZEN)

  • コーゼイション

  • エフェクチュエーション

  • 顧客中心主義

  • 企業主導主義

  • ニーズ思考

  • シーズ思考

  • 0→1 / 1→10 / 10→100

  • ビッグデータ主義

  • N=1主義

  • リサーチベースマーケティング

  • データベースマーケティング

それぞれの詳細は今回は触れませんが、対立関係としてしばしば説明されるもの同士もありますし、モデルの中の典型的なフレームとして説明されるものもありますし、ほぼ同じようなことを違う用語で説明しているようなものもあり、初学者・初心者にとっては、「何を信じて、考えたり、動いたりすればいいの?」と悩ましくなります。

例えば、コーゼイションとエフェクチュエーションは、本質的には補完し合うというか、そもそも背景が異なるので、実は比較するようなものではないのですが、一見すると相反する考え方に見えますし、

ビッグデータ主義とN=1主義も、大量のデータを駆使・分析する前者と、エクストリームユーザーなどの"尖った"1人の生々しい実態やその気持ちにフォーカスする後者も、信念から異なっているようにも見えます。

ある程度、マーケティングの勉強や実践をしている人であれば、ステータスやオケージョンによって、使い分けたり組み合わせたりできますが、そうでない方には、とっかかりすら分からないのが本音かなと思います。


マーケティング・プロセスの全体像とは?

次に、マーケティング・プロセスの全体像を見てみましょう。
大きなプロセスは、以下のようになります。

マーケティング・プロセスの全体像

過去にその内容について記載した記事がありますので、詳細は以下を参照ください。


対立したり、違うことを言っているように見えたりする3つのポイント

さて、あくまでも私見となりますが、長年、マーケティングやブランディング、リサーチについて理解・経験をしてきた結果、

ほとんどのモデルやフレームワークは、言っていることが異なっているように見えますが、基本的なプロセスは、上記のプロセスに従って動いていると確信しています。

では、なぜ、対立しているように見えたり、違うように見えたりするのでしょうか?

それは、大きく3つのポイントがあると考えます。

  1. プロセスの「どこから始めるか」が違うから

  2. プロセスの「どこを重視するか」が違うから

  3. 各プロセスにおいて、「どのような手法を取るか」が違うから
    (手法:リサーチの手法、データ分析の手法、WSの手法など)


なぜ、3つの違いが生まれるのか?

では、もう一歩進んで、この3つの違いは、なぜ生まれるのでしょうか?

それは、「関心相関性」が違うからです。

関心相関性については、以下を参照してもらえると理解できると思います。

関心相関性とは、「存在意味価値というものは、(絶対的なものではなく)、主体(=観察者や受け手)の身体欲望や関心といったものと相関するかたちで決まる」、という原理である。構造構成主義では、信念対立を解消し、建設的コラボレーションを実現するために、関心相関性を中核原理に位置づけている。(つまり、存在や意味や価値が絶対なものだなどとは見なさず、あくまで見る人の身体状況や欲望の状況や関心の度合いによって決まるのだ、と見なす)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/構造構成主義

では、我々は何をもって良し悪しを判断しているのだろうか。人々の価値判断は様々だが、その“判断の仕方”に共通点はないのだろうか。それに答えるのが「関心相関性」という原理なのである(注2)。これは「存在や意味や価値といったものは身体や欲望、関心、目的に相関的に(応じて)立ち現れる」というものである。この関心相関性を価値の側面に焦点化したものが第3回(リンク)でも触れた「価値の原理」であり、それは「あらゆる価値は関心に応じて判断される」というものである。

Harvard Business Review Online
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つまり、どういうことか?どうすればいいのか?

つまり、それぞれのモデルやフレームワークにおいて、「何が関心の中心か?」が異なるため、どうしても言っていることが異なっているし、別のフレームワークやモデルを比較対象として、その違いを主張(時には批判・攻撃)せざるを得ない状況になったりしているということです。

したがって、各事業者の方や、サポートをおこなう私をはじめとしたマーケターやリサーチャーは、「今、自分たちは、何に関心があるのか?」を見極めることが、とても大事ということになります。

それがクリアになれば、採用するモデルやフレームワーク、具体的な手法が明確化してくるからです。

とはいえ、各事業者の方、特に、インハウスに戦略やマーケティング、リサーチなどに豊富な知識や経験があり、見極めができるレベルのメンバーを抱えている事業者の方は、あまり多くないかと思います。

そういった方々は、ぜひ、プロフェッショナルに相談をしていただけるといいと思います。

また、独学をしたり、マーケティングを学べるコースを受講したりもいいかと思います。


今回は、数あるマーケティング・モデルやフレームワークについて、「なぜ対立しているように見えるのか?」「どう理解し、どうアクションを取ればいいのか?」について、解説をおこないました。

ぜひブックマークなどして、必要な時にすぐにチェックできるようにしておいてみてくださいね。

より詳細を知りたい方や、実際にリサーチを検討されている方で相談されたい方を、ぜひ、お気軽にお声かけください。

ご相談は、もちろん無料です!

本記事も読んでいただき、ありがとうございました。


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