社会人の研究日誌

文系の大学院を卒業した社会人の研究日誌。歴史学を専門に研究していました。博物館の情報や…

社会人の研究日誌

文系の大学院を卒業した社会人の研究日誌。歴史学を専門に研究していました。博物館の情報や面白かった本の感想などを適度に記録していこうかな...そして、あわよくば研究を続けていくことができるよう頑張ろうかな...というアカウントです。Twitterやってます。

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  • 食と歴史学

    歴史を「食」という視角で捉え直す。歴史の学び直しをしたい人に向けて書いています。

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歴史を学び直したいあなたへ、歴史の本を浅く深く紹介します

現在、社会人の研究日誌では、本の書評と博物館の感想記を掲載しています。これらの記事を読むことで、 ①歴史学で研究されている意外なテーマを知ることができます ②歴史の知識を広げることで、自分の新しい興味関心に気づくことができます ③今まで知らなかった歴史的知識を身につけることができます  実際、歴史学の学び直しを提供する意図で作成している記事のいいね数は多い傾向にあります。みなさんは ①歴史の学び直しができる ②飲み会でウケる雑談を見つけることができる というメリ

    • 【食と歴史学②】「チョコレートの世界史」武田尚子

      歴史学を「食」から学びなおすこの企画。第2弾は武田尚子(2012)「チョコレートの世界史:近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石」中公新書を取り上げます。チョコレートの主原料はカカオ豆です。カカオ豆は甘くないですが、砂糖などの甘味料が加えられることで甘くなります。そんなチョコレートを作るためには、カカオを栽培する人、チョコレートを作る工場、チョコレートを販売する経済の話などが必要です。今回は、チョコレートとクエーカー教徒、チョコレートと工場の話を中心に紹介します。 ※以下は私

      • 歴史を学び直す最適な本は何か

         みなさん、お久しぶりです。業務が本格的にテレワークに移行している社会人です。世間は大変なことになっていますが、その一方で、意外なニュースが1ヶ月前に起きました。それは本の売上が伸びたという記事です。  もう1ヶ月前の情報ですが、私は思いました。「歴史学を学び直したい人が多いのではないか」と。今回は歴史学の学び直しとして、どのようなシリーズがよいのかを紹介します。 ①山川出版社「日本史リブレット」「世界史リブレット」「日本史リブレット人」 「歴史学を学び直したいけど、続か

        • 【食と歴史学①】「砂糖の世界史」川北稔

          ※記事は全文無料で読めます。投げ銭をいただけると今後の励みになります。 歴史学を「食」から学びなおすこの企画。第1弾は川北稔(1996)「砂糖の世界史」岩波ジュニア新書を取り上げます。同書は岩波ジュニア新書ですが、侮っていはいけません。2016年時点で36刷まで増刷されている、長年読み継がれた新書になります。砂糖から世界の歴史を捉えると何が見えてくるのでしょうか。その一部を今回は紹介できたらと思います。 ※以下は私が面白いと思った感想を取り上げます。本書の要約とは若干異な

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        • 食と歴史学
          3本

        記事

          歴史を学び直したいあなたへ−食と歴史学−

           昨今、様々な歴史に関する本が出版されています。専門家しか読まないような学術書をはじめ、歴史学の初学者が読むような入門書、社会人が趣味・教養として読む歴史の本、史実に基づきながら想像力を駆使して書き上げた歴史小説...  書店に行けば、数多くの歴史に関する本が並んでいます。しかし、歴史学に興味を抱いている人々は、星の数ほど出版されている歴史書の中から本を選ばなければなりません。それは、小学校・中学校・高校で歴史が得意だった人も同じだと思います。歴史が好きなことと専門書を見抜

          歴史を学び直したいあなたへ−食と歴史学−

          【本の紹介】『害虫の誕生』瀬戸口明久

          本の紹介第4弾。今回は瀬戸口明久(2009)『害虫の誕生:虫からみた日本史』ちくま新書を紹介したいと思います。この本は「害虫」と日本近代史がどのような関わりを持っているのかを明らかにした著作です。もう10年以上前の本ですが、テーマが面白く読みやすいので、初学者でも面白く学ぶことができます。特に近代化に関心がある人はオススメです。 ※以下は私が面白いと思った感想を取り上げます。本書の要約とは若干異なります。悪しからず。 感想①:「害虫」のという言葉の成立から近代化を学ぶこと

          【本の紹介】『害虫の誕生』瀬戸口明久

          「新大学生に勧めたい10冊」というハッシュタグがあると聞いて

          本日、社会人の研究日誌のTwitterアカウントを作成しました。このアカウントではnoteの更新をお知らせしたり、私の関心に基づいた上でオススメの本をリツイート・いいねしたり、記事の補足情報をつぶやいていこうと考えています。興味のある方はフォローいただけると嬉しいです。 さて、今回はTwitterはじめましたという小さな報告が主ではありません。「新大学生に勧めたい10冊」というハッシュタグが流れてきたので、それに便乗して、noteで紹介しようと思い、記事を更新しました。

          「新大学生に勧めたい10冊」というハッシュタグがあると聞いて

          【本の紹介】『重野安繹と久米邦武』松沢裕作

          本の紹介第3弾。今回は松沢裕作(2012)『重野安繹と久米邦武:「正史」を夢みた歴史家』山川出版社を取り上げます。本書は「日本史リブレット人」というシリーズの中の1冊になります。本書は日本の近代歴史学の草創期を支えた人物に焦点を当てた本になります。歴史研究とは何かを考えさせられる、そんな1冊となっています。 ※以下は私が面白いと思った感想を取り上げます。本書の要約とは若干異なります。悪しからず。 感想①:日本の近代歴史学がどのように誕生したのかを学ぶことができる 本書で注

          【本の紹介】『重野安繹と久米邦武』松沢裕作

          文系院生、就職活動をする

          修士課程。そこは学部4年の生活を終えた者が卒論よりレベルの高い研究活動を2年間行い、修士論文を執筆する弱肉強食の世界です(博士課程は更に弱肉強食です。というか、弱肉強食ではない、さらに大変な世界だと思います)。そして、修士論文を執筆することが修士課程に所属する院生の使命です。したがって、修士課程に所属する院生は時間がありません。これは文系も理系も変わりないです。文系院生は理系ほど忙しくないという噂を聞くこともありますが、それはおそらく昔話です。修士課程に所属する文系の院生であ

          文系院生、就職活動をする

          【本の紹介】『パンダ外交』家永真幸

          本の紹介第2弾。今回は家永真幸(2011)『パンダ外交』メディアファクトリー新書を紹介したいと思います。この本は中国のパンダを他国に贈る意味が時代によって異なることを論じています。パンダが好き、中国の外交関係を知りたい方が入門書として読むのにオススメです。 ※以下は私が面白いと思った感想を取り上げます。本書の要約とは若干異なります。悪しからず。 感想①:「パンダ」という切り口が斬新、しかも史実に裏付けられてる 本書は「中国はパンダという「資源」をどう活用し、国際社会を渡っ

          【本の紹介】『パンダ外交』家永真幸

          渋谷の古本市に行ってきた話

          本日、東急東横店の渋谷大古本市に行ってきました。2月20日から25日まで西館の8階で実施しています。せっかくなので、何を購入したのか紹介したいと思います。 ↓イベントの詳細↓ 購入した本たち1、舟田詠子『パンの文化史』 2、松村昌家(編)『『パンチ』素描集』 3、宮崎市定『史記を語る』 4、ヒュースケン/青木枝朗(訳)『ヒュースケン日本日記:1855−61』 5、イェーリング/村上淳一(訳)『権利のための闘争』 6、山崎今朝弥/森長英三郎(編)『地震・憲兵・火事

          渋谷の古本市に行ってきた話

          【博物館】Daiichi Sankyoくすりミュージアムの感想

           博物館企画第4弾。第4弾は第一三共株式会社が運営している創薬に関する博物館です。Daiichi Sankyoくすりミュージアムは三越前や新日本橋から行くことができます。入館料は無料です。 感想①:子どもウケする展示が多い Daiichi Sankyoくすりミュージアムは体験型の博物館です。閲覧する順番がある程度決まっており、最初は1階で映像を5分程度見ます。その後、2階に上がり、メダルをもらいます。そのメダルを機械ににセットし操作すると、クイズに答えることができたり、見た

          【博物館】Daiichi Sankyoくすりミュージアムの感想

          【本の紹介】『日本近現代史講義』山内昌之/細谷雄一(編)

          本の紹介第1弾。今回は山内昌之/細谷雄一(編)(2019)『日本近現代史講義:成功と失敗の歴史に学ぶ』中公新書を紹介したいと思います。本書はタイトルに『講義』と入っているように、入門書にあたります。これから日本近現代史に関する卒業論文を執筆する予定の学生、日本近現代史を本気で学びなおしたい人が最初に読む本として、比較的進めやすい本であるというのが私の率直な感想です。 本書の特徴①:各章のつながりを意識しないで読むことができる 同書は序章を除いて全13章で構成されています

          【本の紹介】『日本近現代史講義』山内昌之/細谷雄一(編)

          【博物館】港区立郷土歴史館の感想ーその①ー

           博物館企画の第3弾です。第3弾は港区立郷土歴史館の感想です。港区立郷土歴史館は1938年に建てられた旧公衆衛生院の形を残しながら、再整備を行った建物です。博物館は白金台にあります。博物館企画第2弾で取り上げた近代医科学記念館のすぐ近くです。今回は旧公衆衛生院の感想を①とし、別の機会で港区郷土歴史館の展示について、感想を述べたいと思います。 感想①:設立した時期が興味深い  旧公衆衛生院は国民の保健衛生に関する調査研究及び公衆衛生の普及を目的に設立した研究機関です。そして

          【博物館】港区立郷土歴史館の感想ーその①ー

          【博物館】近代医科学記念館の感想

           博物館企画の第2弾です。第2弾は近代医科学記念館を取り上げます。近代医科学記念館は白金台から歩いて2〜3分くらいのところにあります。入館料は無料です。 感想①:日本医学史から外すことができないビックネームの展示が多い 近代医科学記念館は1892年に設立した伝染病研究所に関する展示を主体としています。伝染病研究所は後に東京大学医科学研究所となります。伝染病研究所に携わった人物はビックネームが多いです。北里柴三郎(当時伝染病研究所の所長を務める)をはじめ、野口英世も一時期在籍

          【博物館】近代医科学記念館の感想

          【国立科学博物館】ミイラ展の感想

           休日に国立科学博物館の特別展である『ミイラ展−「永遠の命」を求めて』に行ってきました。初めての投稿では、ミイラ展の感想について述べたいと思います。 ミイラ展の感想①:映像の解説が多いので脳にかかる負担が少ない 博物館の展示はキャプションがメインなので、後半は疲れてしまいます。しかし、ミイラ展は他の特別展と比較して、映像を使った解説が多かったです。  解説はCTスキャンの画像を用いながら、ミイラの内部を解明することが中心です。このような画像の解説はキャプションだと伝わりに

          【国立科学博物館】ミイラ展の感想