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「新大学生に勧めたい10冊」というハッシュタグがあると聞いて

本日、社会人の研究日誌のTwitterアカウントを作成しました。このアカウントではnoteの更新をお知らせしたり、私の関心に基づいた上でオススメの本をリツイート・いいねしたり、記事の補足情報をつぶやいていこうと考えています。興味のある方はフォローいただけると嬉しいです。

さて、今回はTwitterはじめましたという小さな報告が主ではありません。「新大学生に勧めたい10冊」というハッシュタグが流れてきたので、それに便乗して、noteで紹介しようと思い、記事を更新しました。

まずは、高校卒業おめでとうございます。高校3年間はいかがだったでしょうか。楽しかった思い出や悲しかったこと、辛かったことなど色々あると思います(私は大学受験に失敗したので、二度と戻りたくないです)。

大学に入ると自分の興味関心に沿って、勉強すると思います。何から読んでいいのか、右も左もわからない学生がこの記事を読んでくれればと思います。文系大学院を卒業した社会人が僭越ながら、10冊本をオススメしたいと思います。

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【論文執筆に役立つもの】

戸田山和久(2012)『新版 論文の教室:レポートから卒論まで』NHKブックス

木下是雄(1981)『理科系の作文技術』中公新書

アンソニー・ウェストン/古草秀子(訳)(2019)『論証のルールブック〔第5版〕』ちくま学芸文庫

 私の体験ではありますが、大学に入学してから不安だったのはレポートの書き方です。そして、それはレポートの体裁はもちろん、レポートのネタの集め方や議論の展開の仕方でした。①、②の本は私が紹介するまでもなく、昔から読みつがれている本です。ありきたりではありますが、大学4年間利用し続ける本だと思っています。ちなみに私は修士論文を執筆するとき、②をある程度読みなおしました。今後もお世話になりそうです。

 ③を勧めた理由は、レポートを執筆するとき、ただ自分の言いたいことを述べている可能性が自分の中であったのですが、そのモヤモヤをなかなか言語化できずにいました。この本では、例を参照しながら論証のルールを確認しています。論証の技法はレポートだけではなく、相手を説得するときにも役立ちますから、一読することを強く勧めます。私が学部生のときには、この本を読んでいませんが、もっと早く知っておけばよかったという1冊です。論証のルール自体の数はなかなか多い(50以上ある)ですが、1つ1つ意識しながら実行していきましょう。

【歴史系】

 私は歴史学の大学院を卒業しているからなのか、選んでみたら、歴史系の本ばかりでした。ただ、歴史が苦手な人でも興味深く読むことができる本だと思いますので、手にとってみてください。

④角山栄(1984)『時計の社会史』中公新書

 時計がいつ誕生したのか、時間を守るという習慣はいつ生まれたのか。本書ではこのような問いに答えてくれます。明治時代になるまで、日本人は時間にルーズでした。今の日本を踏まえると考えられないですね。ちなみに、本書は世界史、日本史どちらも扱っています。

上田信(2002)『トラが語る中国史:エコロジカル・ヒストリーの可能性』山川出版社

 歴史学は文系の学問だ。そのような考えを打ち破ってくれるのが同書です。同書は、現在絶滅が危惧されているトラの歴史から生態学環境史(エコロジカル・ヒストリー)を分析しています。幅広い分野を取り扱うことができるのが歴史学の強みであると私は思います。同書からその幅広さの一端を伺うことができると思います。

藤原辰史(2017)『戦争と農業』インターナショナル新書

 同書では戦争を「農業」という視点を用いて、議論を展開しています。農業を分析するのは様々な視野が必要になります。農作物はもちろん、農薬、農業のときに使う道具など...食と歴史の関係を学ぶことができる入門書だと思います。ちなみに、今回紹介する本の中で最も読みやすい本はこの本だと思います。

松沢裕作(2018)『生きづらい明治社会:不安と競争の時代』岩波ジュニア新書

 岩波ジュニア新書は小学生から高校生に向けて書かれている本です。しかし、なかには大人が読んでもおもしろい本が数多く存在します。同書は現代社会を生きていくなかで感じる生きづらさと明治時代における生きづらさを行き来しています。それでいて、日本史の基礎知識も学ぶことができます。控えめにいって、すごいです。

隠岐さや香(2018)『文系と理系はなぜ分かれたのか』星海社新書

 文系、理系という枠組みは高校生活を送っていれば、必ず耳にする話だと思います。どのような経緯で分かれたのか、文系、理系という意識を日本はいつから持っていたのかという疑問に答えてくれる本です。個人的には第3章の産業界と文系・理系は大学卒業後の進路を決める上でも参考になると思います。

藤原辰史(2018)『給食の歴史』岩波新書

 公立の小中学校に通っていれば、ほとんどの人が給食のお世話になっていると思います。なぜ給食が始まったのか、給食の目的はどこにあるのか。現代でも、問題提起される給食に関する歴史をまとめた本になります。特に、戦後の歴史を学びたい人はオススメです。自分の両親に、同書の内容を話すと、当時の給食を以前より詳しく知ることができるでしょう。

【歴史ではないけれど】

 歴史ではないですが、学部1年のときに読んでおいたら、視野が広がっただろうなという本が1冊あるので、紹介させていただきます。

エドワード・W・サイード/大橋洋一(訳)(1998)『知識人とは何か』平凡社

 この本は大学院に所属しているときに読みました。みなさんは大学に進学し、多くの人が研究に携わると思います。学部生は専門家なのでしょうか、それともアマチュアなのでしょうか。経歴や経験によって、専門家となるわけではありません。専門家にあって、アマチュアにはないものは何か。サイードの視点ではありますが、同書はこの質問に向き合っている本であると私は思います。

おわりに

 以上が私が「新大学生に勧めたい本10冊」になります。Twitterでは、本の書誌情報を伝えることしかできない、ツリー表示だと見にくい、文字数を気にしながら書かないといけないといった問題があったので、noteで公開してみました。書いている分には楽しいですね。書きすぎて疲れましたが...

 今回取り上げた本は、今後も「本の紹介」という私の企画でも取り上げるつもりです。興味がある人はフォローよろしくお願いします(投銭も待ってます)!勉強・プライベートの充実した大学生活を送ることができますように。

最後に...学生のうちに大学図書館を使い倒してください!!!!使ったつもりでも、必ず後悔します!!!!!

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