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理学療法士のための言語学

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理学療法士にとって馴染みのない『言語学』という分野ですが、『言語学』を学ぶことでクライアント・患者さん・利用者さんの言葉を詳細に分析したり、そこから認知プロセスを推測できたりしま… もっと読む
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脳卒中片麻痺者に対する理学療法の効果を高める『ことば』の聞き方・使い方

脳卒中片麻痺者に対する理学療法の効果を高める『ことば』の聞き方・使い方

理学療法士および理学療法の実践において、『ことば』というのはあまり重視されてこなかった分野ではないでしょうか。

脳卒中片麻痺者に対する理学療法(歩行練習)場面における理学療法士と患者との会話を分析した研究では、練習の目的意識が変化するにも関わらずその介入方略に変化がないこと、理学療法士から患者に対する一方的な指示的言語の使用が多かったことが報告されています[1]。

このような報告からも、理学療

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クライアントの言葉を解釈する方法と『概念メタファー』

クライアントの言葉を解釈する方法と『概念メタファー』

ギプスはもはや、足を守る「家」とは思えなかった。自分のからだの一部とも、なにかを入れておくものとも思えない。芯まですっかり石膏か、中空か、どちらかだ。(中略)昨日さわってみたとき、大腿四頭筋はぞっとするような状態だった。ぐにゃりと柔らかく、まるでゼリーかチーズのようだった。しかし、いま感じている恐ろしさはその比ではなかった。(中略)ところが今日は、信じられないことに、さわってもそこにはなにもない。

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理学療法士が知っておきたい『言語の構造』

理学療法士が知っておきたい『言語の構造』

理学療法士は理学療法を行う専門家です。

多くの理学療法士は、運動学や解剖学については非常に詳しく、最近では神経系の知識を深く学んでいる方も多いと思います。

では、『言葉』もしくは『言語』というものを深く考えている・学んでいる理学療法士はどれくらいいるでしょうか。

おそらく、かなり少数派だとは思います。

一般的に『言語』は言語聴覚士の専門領域とされ、理学療法士にはあまり関係ないと考えておられ

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