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藤田 淑子
2021年6月25日 12:35
※こちらは、2020年7月のオンライン個展内で発表したファンタジー私小説に修正を加えたものです。心地良い憧れとその消費期限「だからね、こういう体型の人は現実にはいないんだって」男が何かを話すたび、わたしはいらついた。二人は小さな部屋の中。男の視線の先には、小さなキャンバスがあった。それは、わたしが描いた絵。顔面がドレープカーテンで覆われた女の絵だ。男は絵にあれこれと難癖を
2021年6月25日 12:28
※こちらは、2020年7月のオンライン個展内で発表したファンタジー私小説に修正を加えたものです。濁った星、生き残る道3年くらい前だった。ショッピングモールを歩いていると、少し離れた場所で人が倒れるのが見えた。可愛らしい服装の若い女だった。わたしは動揺しつつも、近付こうとした。ところが、一瞬にして彼女の周りには人間の壁ができてしまう。皆何かを話すわけでもなく、ただだんまりとし
2021年6月17日 09:28
※こちらは、2020年7月のオンライン個展内で発表したファンタジー私小説に修正を加えたものです。新種の妖怪「生まれ変わったら何になりたいですか?」唐突なこの質問に、わたしの頭の中ではこんなことが繰り広げられていた。***子どもの頃、「生まれ変わったら絶対鳥になって自力で空を飛んでやる」と思っていた。しかし、大人になるにつれてその願望はだんだんと薄れていった。特に、群
2021年6月16日 17:44
※こちらは、2020年7月のオンライン個展内で発表したファンタジー私小説に修正を加えたものです。未来の自分とご対面どことなく自分に似た顔立ち・背格好・雰囲気の人。厳密に言えば、ちょっと歳をとった「自分のような人」。人混みの中で、そういう人をやたらと見つけてしまう日。わたしはたまに、そんな日に出くわした。そして、そのたびに何故か心が躍るような気持ちになった。ある駅のホーム。
2021年2月3日 16:16
※こちらは、2020年7月のオンライン個展内で発表したファンタジー私小説に修正を加えたものです。婦人の編んだ髪ネジバナ ネジリバナ モジズリ学名:Spiranthes sinensis var. amoenaラン科ネジバナ属。多年草。花言葉は「思慕」。これは、わたしが世界で一番好きな花。ランの形をした小さなピンク色の花が、茎にくっ付くようにして螺旋を描きながら咲く。素朴で
2021年2月2日 23:12
※こちらは、2020年7月のオンライン個展内で発表したファンタジー私小説に修正を加えたものです。記憶のペンダント物理的に所持できないタイプの宝石がある。そんなもの信じられないって?でもあるんだよ。見てみたいと思わない?見たかったら、自分で手に入れるしかない。方法は意外と簡単。まずは心の中に記憶の宝石箱を作ること。そして、その中に閉じ込めること。わたしは綺麗なものが好き