チェスのレシピ

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チェスのレシピ

「折々のチェスのレシピ」始めました。「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」を大体読んだよという人向けになります。chess.comでスコア1300点〜1500点で恒常的に指したい人やそれ以上を目指す人向けになります。並行して「半自伝的エッセイ」も時折アップしています。

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  • 半自伝的エッセイ

    「チェスのレシピ」「新・チェスのレシピ」「折々のチェスのレシピ」を書いている人はどんなチェスライフを送ってきたのか。

  • 少しだけ高度な知識をあなたに(折々のチェスのレシピ)

    chess.comで1500以上のスコアを目指すのであればどうしても知っておきたい知識やテクニックを紹介。

  • 折々のチェスのレシピ

    「チェスのレシピ」と「新・チェスのレシピ」でご紹介したレベルの知識がある人向けになりますが、必ずしも飛び抜けて高度な内容ではなく、日々のチェスライフにおいて役立つ手筋や知識を折に触れご紹介しています。とはいいながら、chess.comで1500点以上のスコアを目指す人にも有益であろう内容になっています。時折は復習もあったりします。

  • 中盤戦(折々のチェスのレシピ)

    駒がぶつかり合う中盤はある程度先を読まないと正しい手が選択できませんが、一定のパターンのようなものは存在します。いくつもの局面を見てパターン認識能力を向上させておくことが重要になります。

  • キャスリング考(折々のチェスのレシピ)

    気軽にやってしまいがちなキャスリングですが、実はそれが敗着につながったり、大悪手だったりすることが多々あります。そんなキャスリングをしないために。

最近の記事

「半自伝的エッセイ(42)」ハルクの定理:関数=将棋・チェス→証明不可

高校時代のことである。朝自宅を出る時には学校に向かった。当たり前といえば当たり前の話である。授業も一応とはいえきちんと出ていた。だが、帰宅するのは学校からではなく雀荘からだった。 親は部活で遅くなっているものと思っていたが、私の部活といえばそれは麻雀だった。授業が終わると雀荘に直行し、まだ正気が残っていたから十九時ぐらいにはお開きにして帰宅していた。同級生で面子が揃わない時には上級生の卓に加わっていた。 そんなある日、行きつけの雀荘のひとつに私はいた。もし待っている牌が来

    • 折々のチェスのレシピ(368)少しだけ高度な知識をあなたに

      前回までは序盤におけるビショップの動かし方によって有利不利が生じる展開を検討しました。今回はビショップに代えてナイトについて考えてみます。 この局面を作ってくる白は実に多いです。ということは、黒はこの形の対応策を事前に知っておけば有利な展開に持ち込むことができます。 ここで黒は白に対してナイトをどうしますかと打診します。なぜかというと、白がナイトを逃す最善の位置がひとつしかないからです。まず、 ナイトを交換してくる進行が考えられます。これに対しては、 bファイルのポー

      • 折々のチェスのレシピ(367)少しだけ高度な知識をあなたに

        では(では、というのは前回からの検討の続きだからです)、次の局面ではどうなるでしょうか。 前回の第1図から少し進んで上の局面です(これもよく出現する駒組みです)。黒のキングのコビンが空いた状態になりました。この局面であればBb5が効きそうな感じもします。 今回は、 白もあらかじめa3とポーンを上げているため、ビショップの逃げ場所があります。大丈夫と思いたいですが、次に黒からは、 逆にBg4という手が飛んできます。白としては、キングサイドにキャスリングをするとなると、こ

        • 折々のチェスのレシピ(366)少しだけ高度な知識をあなたに

          今回は下の局面からビショップの活用(仕掛け)が可能かどうかを検討します。 上の局面はよく出現するはずです。このまま比較的ゆっくりとお互いに駒組みをしていくことは可能です。しかし、先手番(白)としては仕掛けられるのであれば仕掛けてみたい局面でもあります。ここで白が使えるのがビショップですが、実際に使えるかどうかが問題です。 まず、Bb5があります。次にa6とされた時、白はビショップを引いてしまうと単純に手損になってしまうのでc6で駒交換を行います。その結果、 こんなふうに

        「半自伝的エッセイ(42)」ハルクの定理:関数=将棋・チェス→証明不可

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        • 半自伝的エッセイ
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        • 少しだけ高度な知識をあなたに(折々のチェスのレシピ)
          11本
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        • 中盤戦(折々のチェスのレシピ)
          18本
        • キャスリング考(折々のチェスのレシピ)
          21本
        • 序盤で指してはいけない手100選(折々のチェスのレシピ)
          27本

        記事

          「半自伝的エッセイ(41)」完全なる双子

          そんなに頻繁というわけではなかったのだが、チェス喫茶「R」には時折、双子の姉妹がやってきた。いつも二人で来た。やたら子供が多い世代の子供だった私は比較的双子には慣れていたつもりだった。小中学校を通して同じ学年には三組か四組の双子がいた。学年は違うものの近所にはさらに二組だったか三組の双子が暮らしていた。 双子とはいえ、少し遊んだりすれば、それほど時間が掛からずに区別がつくようになるものである。外見が瓜二つであっても話し方や咄嗟の時の対応に違いが存在したりするからである。

          「半自伝的エッセイ(41)」完全なる双子

          折々のチェスのレシピ(365)少しだけ高度な知識をあなたに

          少し前に白が初手d4としてきた場合の黒の応手(Nf3)について検討しました。今回はそれをもう少し詳しくやってみたいと思います。 次に白はc4と応じてきます。 黒はe6と受けます。 ここで、 Nc3としてくるのが典型的な展開です。 ここで、Bb4とする定跡がありますが、次にNe2とされた場合、 つまり上の局面ですが、ここから先、黒は困らないでしょうか。ここからしばらく進行すると、 こんな局面になってしまったりします。これはこれで形勢自体はほぼ互角であるものの、黒か

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          折々のチェスのレシピ(364)少しだけ高度な知識をあなたに

          終盤の局面です。 黒が優勢なことは一見してわかりますが、だからといってただちに黒が勝ち切れるという局面でもありません。白はマイナーピースをすべて失っていますが、ポーンの数では勝っています。 ある程度スコアが高くなるとクイーンをどこかで交換して上のような局面になることも多くなります。 上は終盤の局面ですが、この局面からは序盤中盤の指し回しがある程度想像ができます。白が劣勢に陥っている理由はたんにマイナーピースの駒損だけでなく、g、hファイルのポーンがまったく活用されていな

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          「半自伝的エッセイ(40)」c3(シーサン)→微分みたいなチェス

          気になる局面や手筋があった時など、私は明け方まで安物のマグネット式のチェス盤上で、ああでもないこうでもないと駒を動かしていた。そんな生活をしていたから、起きるのが昼になったりすることも珍しくなかった。 不思議なもので、朝ちゃんと起きた日にはそんなに空腹を覚えないのだが、昼ぐらいに起き上がると妙にお腹が空いていた。アパートの部屋には冷蔵庫に牛乳ぐらいしかなく、ほかにあったとしても冷蔵庫の上に食パンが数枚残っていれば御の字で、ひどい時にはパンにカビが生えているという有様だったか

          「半自伝的エッセイ(40)」c3(シーサン)→微分みたいなチェス

          折々のチェスのレシピ(363)少しだけ高度な知識をあなたに

          ということは(←前回からの続きです)、白としては黒にb6という手が存在することを前提にして序盤を組み立てないといけないことになります。考え方としては、b6まで指させてしまいその後に局面をよくしていくことが可能かどうかを検討し、それが難しいのであればb6と指させる前に変化が必要だということです。 ここでcxd5という手はソフトやAIが推奨する最善手ですが、前回ご紹介したように相手の言いなりの指し方になってしまいます。それを実現させないには、相手がh4のビショップの排除を狙って

          折々のチェスのレシピ(363)少しだけ高度な知識をあなたに

          折々のチェスのレシピ(362)少しだけ高度な知識をあなたに

          後手番(黒)にとってもっとも嫌な白の初手はなにか? この問いには、先人達の知恵や努力、そして近年のAIやソフトの分析によって、すでに答えが出ており、 d4です。 さらに、白の初手d4に対する黒の応手には、d5、e6、Nf6があり、それ以外だと形勢を損ねることもわかっています。ということで、黒はd5、e6、Nf6のいずれかを指す必要があります。 まず、d5と受けた時の典型的な進行は以下になります。 形勢自体は互角であり、黒としてはまずまずの展開ではあるものの、この先にこ

          折々のチェスのレシピ(362)少しだけ高度な知識をあなたに

          「半自伝的エッセイ(39)」クリスチャンチェス・神社で聖母マリアと出会う

          おそらくはマスターの影響というのか人柄というのかのためだったのだろうが、チェス喫茶「R」にはクリスチャンやクリスチャンだろうという人が多かったように思う。どんなきっかけだったか忘れたが、ある時、聖書を読むという会合に誘われたことがあった。 その頃の私は聖書にもキリスト教にも関心がなく、まったくの無知であり、カトリックとプロテスタントの区別というか違いも知らなかった。そんな私であったが、その聖書を読む会なるものになんとなく秘密結社的な雰囲気を感じてしまい、一度ぐらいなら顔を出

          「半自伝的エッセイ(39)」クリスチャンチェス・神社で聖母マリアと出会う

          折々のチェスのレシピ(361)少しだけ高度な知識をあなたに

          前回までとは逆に、 白が比較的クローズドな展開を志向してきた一手です。黒はこの段階でクローズドな展開を受け入れるか拒否するかの判断をする必要があります。もし受け入れるのであれば、 Be7などとして早めにキャスリングが可能な体勢を整えてしまいます。しばらく進行すると、 上のような局面かそれに近い展開になっているはずです。次の白の手は比較的限定されており、Nf3、cxd5、Rc1のどれかの可能性が高いです。それらにうまく対応できる備えがあるのであれば、第1図でクローズドな展

          折々のチェスのレシピ(361)少しだけ高度な知識をあなたに

          「半自伝的エッセイ(38)」文庫本・文鳥・文

          おそらく年齢のせいだと思うのだが、ここ数年徐々に小さな文字が読みづらくなってきた。まず文庫本を読むのが苦痛になった。できるだけ文庫本ではなく単行本を買うようにするのだが、文庫でないと読めない本もある。そんな時には仕方なく買うのだが、数ページで投げてしまったりする。 本屋に行っても本の背(タイトル)がよく判読できない。つまりなんの本が並んでいるのかがわからない。目を近づければ読めるのであるが、いちいち棚に顔を近づけるのは億劫である。しかも時間が掛かる。 さすがに眼鏡を変えよ

          「半自伝的エッセイ(38)」文庫本・文鳥・文

          折々のチェスのレシピ(360)少しだけ高度な知識をあなたに

          せっかくですので、前回の局面から対局がどう動くか見てみます(初手からです)。 上の展開では、 ここで終わっていました。白のポーンが右辺に進出しており、黒が劣勢のようにも見えますが、これで互角かやや黒がいいぐらいです。この局面になるとお互いに指す手がなくなります。無理に打開しようとすると形勢を損ねるからです。よって、 黒は上のように手待ちをします。しかしながら、 白にも指せる手がないのでやはり手待ちをします。 この後どうなるかというと、ドローにしかなりません。ある程度

          折々のチェスのレシピ(360)少しだけ高度な知識をあなたに

          折々のチェスのレシピ(359)少しだけ高度な知識をあなたに

          前回の第1図でa6とせずにオープンな展開を志向するc5を指した場合を考えます。 a6とした場合にはクローズドな進行になる可能性が高いと前回ご説明しましたが、c5の場合にはそれと比べてオープンな展開に誘導しやすくなります。しばらく進むと、 上のような局面になっている可能性があります。もちろん他の展開になっている可能性もありますが、おおよそ似たような駒組みになりやすいです。なぜかというと、ある程度の棋力のあるプレイヤーは最善手か次善手を指してくる可能性が高いため、実は展開が読

          折々のチェスのレシピ(359)少しだけ高度な知識をあなたに

          折々のチェスのレシピ(358)少しだけ高度な知識をあなたに

          今回からはスコアが1500以上のプレイヤーと対局しても困らないようになる知識をご紹介していく予定です。といっても、20手先が読めないとダメですなどといきなりハードルが上がるわけではなく、むしろ細部にこだわっていくことになるだろうと思います。 というのは、それほどスコアが高くないうちは何気なく指しているかもしれない手が実は対局に大きな影響を与えている場合があるからです。序盤や中盤の一手(相手でも自分でも)の意味を理解しておくと、その後の展開がイメージしやすく、そうなると一手一

          折々のチェスのレシピ(358)少しだけ高度な知識をあなたに