「半自伝的エッセイ(35)」2本の百合
百合ちゃんが亡くなってから三年か四年後ぐらいのことだった。百合ちゃんの、つまり私の義理の父が亡くなった。私はその頃、理由はよく憶えていないのだが、なぜか多忙で、義理のお母さんが無理をしなくていいと言ってくれた言葉に甘えて、通夜にも葬儀にも不義理をした。実際、同じ関東圏とはいえ、仕事を休まないではいけない土地でもあった。
せめて心ばかりの義理を果たすべく、義父が亡くなった半年後のあたりに私は百合ちゃんの実家に足を運んだ。あらかじめ行くことを電話で伝えておいたからに違いないが、