チェスのレシピ

「折々のチェスのレシピ」始めました。「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」を大体読…

チェスのレシピ

「折々のチェスのレシピ」始めました。「チェスのレシピ」や「新・チェスのレシピ」を大体読んだよという人向けになります。chess.comでスコア1300点〜1500点で恒常的に指したい人やそれ以上を目指す人向けになります。並行して「半自伝的エッセイ」も時折アップしています。

マガジン

  • 折々のチェスのレシピ

    「チェスのレシピ」と「新・チェスのレシピ」でご紹介したレベルの知識がある人向けになりますが、必ずしも飛び抜けて高度な内容ではなく、日々のチェスライフにおいて役立つ手筋や知識を折に触れご紹介しています。とはいいながら、chess.comで1500点以上のスコアを目指す人にも有益であろう内容になっています。時折は復習もあったりします。

  • 中盤戦(折々のチェスのレシピ)

    駒がぶつかり合う中盤はある程度先を読まないと正しい手が選択できませんが、一定のパターンのようなものは存在します。いくつもの局面を見てパターン認識能力を向上させておくことが重要になります。

  • キャスリング考(折々のチェスのレシピ)

    気軽にやってしまいがちなキャスリングですが、実はそれが敗着につながったり、大悪手だったりすることが多々あります。そんなキャスリングをしないために。

  • 半自伝的エッセイ

    「チェスのレシピ」「新・チェスのレシピ」「折々のチェスのレシピ」を書いている人はどんなチェスライフを送ってきたのか。

  • 序盤で指してはいけない手100選(折々のチェスのレシピ)

    序盤の駒組みを間違うと必ず中盤以降でそのツケを払わなくてはいけなくなってしまいます。そうなるとその時点ですでに形勢を損ねてしまっており、どう勝つかというよりいかに負けないかという消極的な指し方を強いられてしまいます。

最近の記事

折々のチェスのレシピ(342)中盤戦

中盤は中盤でもメイトまで考えて手を作りたい局面です。 白としては黒の陣形(キング周辺)を弱体化させたいところです。それにはf6のナイトを排除するのがまず目標になりますが、すぐにはできません。ということで、 クイーン取りにナイトを動かしますが、クイーン取りが本線ではありません。 b2のビショップを使えるようにするためです。 こうしてナイトを捌いてしまいます。これを黒はクイーンで取るとb4のビショップをタダで取られてしまうため、 ポーンで取るしかありませんが、キングの頭

    • 折々のチェスのレシピ(341)中盤戦

      駒がぶつかり始める中盤の入り口といった局面です。 この辺りではもう大きな方針を立てて攻め進みたいところです。黒は手が遅れており、かなり窮屈な駒組みを強いられています。そこに目をつけます。つまり、 しばらく(できればずっと)窮屈なままでいてもらおうというわけです。黒はこの先、ほんの少しずつしか駒を展開していく手しかありません。その間に白はだいぶ手を進められるはずです。例えば、 しばらく進むと上のような局面になっている可能性があります。黒は相変わらず窮屈なままの形です。第1

      • 折々のチェスのレシピ(340)中盤戦

        黒が白を追い詰めているようにも見えますが、まだ多くの駒が残っており簡単にはメイトできず、見た目ほど終盤戦の様相にはなっていません。 また、強引にサクリファイスを仕掛けていくような局面でもありません。黒は自分の駒の安全を図りつつ、手をつなげていきたい局面です。浮き駒になっているナイトを単に逃したのでは面白くありません。そこで、 ナイトに紐付けしながらビショップ取りに当てます。 白のビショップは実質的にここしか逃げ場所がありません。そこでまた、 相手が受けざるを得ない手を

        • 折々のチェスのレシピ(339)中盤戦

          チェスの中盤は(当たり前ですが)序盤ほど再現性が高くはありません。よって様々な駒組みや駒の損得、手得手損、無数のパターンが出現しますが、それらのパターンを大別して指し手の方針を決めていくことは可能です。演繹的に読み込んで次の一手を考えることも必要ですが、大きな括りでざっくりと局面を把握すると大きなミスをしなくなります。 もうメイトやそれに近いところまで読んで指し手を考えたい局面です。実は黒が一手ミスをするとメイトできてしまいます。すなわち、 ここで黒がビショップを捕獲しよ

        折々のチェスのレシピ(342)中盤戦

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        • 折々のチェスのレシピ
          344本
        • 中盤戦(折々のチェスのレシピ)
          4本
        • キャスリング考(折々のチェスのレシピ)
          21本
        • 半自伝的エッセイ
          36本
        • 序盤で指してはいけない手100選(折々のチェスのレシピ)
          27本
        • 呆気なく終わってしまったゲームたち(折々のチェスのレシピ)
          17本

        記事

          折々のチェスのレシピ(338)キャスリング考

          もはや説明が不要な局面です。 黒が窮地に陥っていることは、どこから見ても明らかです。 キャスリングの可能性を奪われるような指し方を序盤においてしてしまうと、それはすなわち、駒の展開が遅れていることをだいたい意味します。 考え方としては、キャスリングをするかしないか、あるいはするとしたらどちらにするか、そしてどのタイミングでするか、その選択肢を保留できる(つまりいつでもその選択を実現できる)可能性を残すような序盤の展開ができないと、十手も指さないうちに形勢を損ねてしまうこ

          折々のチェスのレシピ(338)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(337)キャスリング考

          やや急戦調の対局です。 今はまだ大丈夫なように見えますが、e2のナイトがいずれ浮き駒になってしまう可能性があると同時に、ナイトは相手陣に接近してこその駒なので、早いうちに方針を定めておきたいところです。実戦的にもe2にナイトが居続けると、それに紐づけているもうひとつのナイトとクイーンが動かしにくくなります。よって、 次にどんな手が指されても問題が生じないここでキャスリングをしてしまうのはいい考えです。 黒もキャスリングに備えてくるかもしれませんが、 これでナイトの攻防

          折々のチェスのレシピ(337)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(336)キャスリング考

          前回ととても似ている局面です。 これも黒がセンターの攻防に失敗した結果です。この段階で黒はいくつもの選択肢を失ってしまっています。 キャスリングはしてもしなくても勝つことができますが、それ以前の問題としてキャスリングの選択肢を制約されることがいかにその後の展開に大きな影響を及ぼすかが見て取れるかと思います。 キャスリングは絶対にしなくてはいけないことではありません。しかしながら、その選択肢を奪われることによって、というより、その選択肢を奪われること自体が、序盤の駒組みを

          折々のチェスのレシピ(336)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(335)キャスリング考

          黒は選択肢を制限されてしまっています。 キャスリングを含めた選択肢が豊富にある白に対して、黒はただ受けさせられているだけになってしまっています。これは先後の差だけに原因があるわけではなく、黒がセンターの攻防に負けた結果です。 センターの攻防に失敗すると、キャスリングを含めた選択肢が極端に制約されてしまいます。キャスリングは必ずしも序盤だけに実行するものではないですが、上のような局面になってしまうと、白は黒の受け次第で黒にキャスリングをさせないような手を作ってくるはずです。

          折々のチェスのレシピ(335)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(334)キャスリング考

          序盤から駒を捌き合う急戦調の一局です。キャスリングを観点に入れて下の局面を評価してください。 どちらもキャスリングをする暇もなくここまで局面が進んだことがわかりますが、先後では微妙な違いがあります。次に黒からはc5という手があります。黒の主な目的はビショップの活用です。もしそのポーンを取ってからキャスリングをすると、 この局面になります。黒は次にルークをg8に動かすでしょう。 こうなると白はg3とせざるを得ず、手番がなかなか回ってきません。そこで、 キャスリングをせず

          折々のチェスのレシピ(334)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(333)キャスリング考

          キングが狙われると焦ってしまうのが人の心理ではあります。 白は駒得してはいるものの、ルークが自陣に侵入し、dファイルからはポーンが迫っていることに加え、キャスリングをしていないことから、クイーンの効き筋に入ってしまった局面です。多くの人はここで焦ります。 しかし、焦ってキャスリングをすると形勢が互角に戻ってしまいます。白はここまでキャスリングをしない代わりに攻め手を進めて有利に対局を進めてきました。キャスリングを保留するということは、キングも自ら戦力として一兵卒的な働きが

          折々のチェスのレシピ(333)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(332)キャスリング考

          下の局面、キャスリングの選択肢を残しておきたくなるかもしれません。 だとするとなにか合駒をしなければなりませんが、どうやってもうまい方法はありません。そうなるとキングを逃げるしかありません。逃げ場所は二つです。さて、どちらがよりいい逃げ場所でしょうか。 f1のほうが断然いいです。なぜなら、白のe5のナイトが浮き駒になっているからです。次に白はこのナイトをどうにかしなければなりませんが、単にどかしてしまうとBxb2があります。そこでナイトにポーンで紐づけてくるはずです。

          折々のチェスのレシピ(332)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(331)キャスリング考

          下の局面は十分にキャスリングをする理由があり、それが最善手だとは思います。 ただ、すでにもう勝勢であることは疑いがないところですので、なにか攻めの手がないかともやはり考えたくなる局面です。 ということで、eファイルに蓋をしてしまいます。e6に跳ばしたナイトには二重で紐がついていますので、当面取られる心配はなく、次の手まで安泰です。もし、 fファイルのナイトが狙われたとしても、 ナイトを捨ててしまいます。 これで白からするとルークが効いているcファイルがオープンになり

          折々のチェスのレシピ(331)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(330)キャスリング考

          ここまで「キャスリング考」を読んできた人には、おおよその勘所が体得できたと思うのですが、それはつまり、できるだけキャスリングを遅らせて自分の手を作るという点が重要だということでした。とは言っても、なかなか難しいのが本当のところです。 基本的にはいくつもの局面パターンを経験し憶えていくしかないでしょう。キャスリングは、絶対にしてはいけない時と絶対にしなければいけない時以外は、その後の自分の先々の指し回しの思惑や目的によって、したほうがいい場合としないほうがいい場合とに分かれま

          折々のチェスのレシピ(330)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(329)キャスリング考

          もしキャスリングをするのであれば、序盤のかなり早い段階でそのの選択肢を残しておかないといけません。 黒は上の局面でキャスリングを目指したのかもしれませんが、もう手遅れになっています。 次に白からf4と来るのは自明なことです。逃げ場所はひとつです。 その後、e6のポーンを捌かれてしまいますが、このポーンをどちらのポーンで取ったとしても、黒がキャスリングをする可能性はほとんどなくなります。 キャスリングは絶対にしなくてはならない選択肢ではありませんが、しかし、序盤早々にキ

          折々のチェスのレシピ(329)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(329)キャスリング考

          前回、かなり極端な例で序盤を考察してみましたが、それと通じる局面は実戦でも現れます。 前回の例と先後は入れ替わっていますが、今回は白がセンターポーンを失っています(つまりセンター及び位を白が制圧できなかったということです)。こうなると白はキングが裸に近いので、できるだけ早くキングサイドにキャスリングをしたいところですが、 簡単には許してくれません。すでに白が負けることはほぼ確実です。 白が早くも劣勢なのは、「序盤で指してはいけない手100選」でご紹介した手を指してしまっ

          折々のチェスのレシピ(329)キャスリング考

          折々のチェスのレシピ(328)キャスリング考

          キャスリングと序盤の関係を知るために、少々(というかかなり)極端な例を考えてみます。 実戦ではこんな駒組みを黒は許してくれないでしょうが、もしこんな駒組みができるのであれば、白は喜んでやるはずです。白はポーンしか動かしていませんがこれでもやや優勢です。 ありえないような駒組みなのでこの後の展開が読みにくいですが、白はすでにどの駒でも動かせるようになっており、さらに、cからgファイルまでポーンで位を取っていることから、それがバリアーのような働きをしています。つまり、キャスリ

          折々のチェスのレシピ(328)キャスリング考