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折々のチェスのレシピ(361)少しだけ高度な知識をあなたに

前回までとは逆に、

第1図

白が比較的クローズドな展開を志向してきた一手です。黒はこの段階でクローズドな展開を受け入れるか拒否するかの判断をする必要があります。もし受け入れるのであれば、

Be7などとして早めにキャスリングが可能な体勢を整えてしまいます。しばらく進行すると、

上のような局面かそれに近い展開になっているはずです。次の白の手は比較的限定されており、Nf3、cxd5、Rc1のどれかの可能性が高いです。それらにうまく対応できる備えがあるのであれば、第1図でクローズドな展開を受け入れることが可能です。

もしこの展開を嫌うのであれば、第1図で、

センターポーンを崩しにいく手を指します。ポーンを取ってくる可能性は半々ぐらいですが、取ってきた場合には、

しばらく進行すると上のような局面になっている可能性が高いです。どちらの進行でも形勢は互角ですが、それ以降の指し回しがだいぶ異なってきます。好みと言えばそれまでですが、クローズドな展開のほうが事前準備が大変というのはたしかだろうと思います。

いずれにしても、相手の序盤戦術を受けることが基本とされる黒であっても、ある程度の局面(進行)のコントロールは可能です。定跡を早めに崩してしまう指し回しを体得しておくと、相手の術中にはまらなくて済むというアドバンテージもあります。

どのような序盤であっても、オープンな展開を志向するのかクローズドな展開を志向するのかが序盤の大きな分かれ目になります。その視点で序盤を見直すと自分が指しやすい展開が見つかったりします。

クローズドな展開が苦手(好きではない)人は、序盤のどこでどう指せばオープンな展開になりやすいかを研究しておけばいいですし、逆にクローズドな展開を厭わない人であれば、先々の進行まで深く研究しておけば相手に勝る可能性がそれだけ高くなります。


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