見出し画像

折々のチェスのレシピ(365)少しだけ高度な知識をあなたに

少し前に白が初手d4としてきた場合の黒の応手(Nf3)について検討しました。今回はそれをもう少し詳しくやってみたいと思います。

次に白はc4と応じてきます。

黒はe6と受けます。

ここで、

第3図

Nc3としてくるのが典型的な展開です。

ここで、Bb4とする定跡がありますが、次にNe2とされた場合、

つまり上の局面ですが、ここから先、黒は困らないでしょうか。ここからしばらく進行すると、

こんな局面になってしまったりします。これはこれで形勢自体はほぼ互角であるものの、黒からはこれといった手がありません。というか、手番は白です。ここから先、交互に最善手を指していくと、

ドローになる確率が極めて高い局面が生じます。黒だからドローでもいいと考えるのであれば、第3図でBb4で構わないと思います。しかし、少しでも勝てる進行をと考えるのであれば、Bb4以外の手順が必要になります。

ということで、少し前にご紹介した、

d5が出てきます。このポーンを白は取ることも可能ではあります。しかし、

少し進んで上の局面になると白からはこれといった手がなくなり、また、白から見て右辺の駒の展開が遅れていることから、窮屈な駒組みや手の遅れを強いられる可能性が高くなります。

では、d5に対してポーンを進めてきた場合はどうでしょうか。

これに対しては簡単で、

黒はb6とすればいいだけです。

ということで、白はd5に対して別の手を指さないといけません。

白はほぼ先後同型のような手を作ってきますが、黒はここで白からのe4という手を受けないといけなくなります。

e4の地点で駒を捌き合うと上の局面になります。ここで、

f5としてビショップを追い返せば、

次にb6として、混沌とした展開に持ち込むことが可能です。黒としては白に分かりやすい展開に持ち込まれるのが一番嫌なことです。先手番(白)は後手番(黒)に比べて事前研究がしやすいため、黒としては白の事前研究をどこでどう外して力戦模様に持ち込むかということを常に考える必要があります。

今回検討した手筋はどちらがより優れているかという比較は難しいです。ただ、第3図でBb4とした場合には白の研究手順に乗りやすく、d5とした場合には力戦模様に持ち込みやすいという違いがあります。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?