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折々のチェスのレシピ(366)少しだけ高度な知識をあなたに

今回は下の局面からビショップの活用(仕掛け)が可能かどうかを検討します。

第1図

上の局面はよく出現するはずです。このまま比較的ゆっくりとお互いに駒組みをしていくことは可能です。しかし、先手番(白)としては仕掛けられるのであれば仕掛けてみたい局面でもあります。ここで白が使えるのがビショップですが、実際に使えるかどうかが問題です。

まず、Bb5があります。次にa6とされた時、白はビショップを引いてしまうと単純に手損になってしまうのでc6で駒交換を行います。その結果、

こんなふうになりそうです。この形と駒の残り具合は白にとって少なくとも得にはなっていません。なぜこの局面が白にとってあまり得ではないかはまずは次の別の展開を見てください。

これは、a6とされた時に、ビショップをa4に逃した後の展開です。黒はこの後、b3地点のビショップを捌いてきます。なぜ黒はこんなに執拗に白のビショップを追いかけ回すかといえば、キングサイドにキャスリングをした際にこのビショップが脅威になるからです。一方でc6にいた黒のナイトは白のビショップと比較すると価値の低い駒です。したがって、第1図からb5にビショップを展開していくと高い確率で盤上から消されてしまいます。

では、

Bc4はどうでしょうか。ここから先の典型的な進行例のひとつを数手ずつ進めてみます。

こちらのほうは白にとって優勢な局面になっています。上の展開を初手からgifアニメーションにしたのが下です。

両方の展開を比較した時、ビショップが盤上に残る後者の展開のほうがはるかに白にとっていいことがわかります。これとまったく同じ展開にならなくても、かなり似た進行になる可能性が高いです。

b5とc4、ビショップの位置としてはひとマスしか変わりませんが、これだけ大きな違いが生じてきます。一見するとb5のほうが攻撃的に感じられますが、少し手を進めると無駄な手を強いられていることがわかります。

逆にいうと、第1図のような局面でBb5としてくるプレイヤーはそれほど棋力が高くないだろうと判断できます。






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