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うた

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気ままに書いた散文詩や、短編小説たち。 一話完結のものを集めました。気軽に読んでやってください。
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#掌編小説

【掌編小説】サラマンダーの息吹

【掌編小説】サラマンダーの息吹

 風の色に鉄錆のような赤が混ざり始めたのを見て、ムゥジは慌てて自宅へ駆け戻った。
「赤風が来そうだ」
 ムゥジが戻ってきたのに気がついたドリィは、
「あら、今日はそんな予報あったかしら」
 と首を傾げる。
「最近は急に赤風が吹くことが多くなったからなあ。もうこの村も住めなくなる日が近いのかもしれん」
 ムゥジは静かに眉根を寄せながらゴーグルとマスクを外すと、身体中に付着した赤風の粉を吸着シートで拭

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【掌編】誕生

【掌編】誕生

流れ星が賑やかな夜、
一つだけ仲間とはぐれたその星は、
ツーと夜空を滑って湖に落ちると
たちまち虹色の閃光を広げて辺りを燃やしていった──

 小夜子は胸の苦しさに目を覚ましたが、心は先程まで見ていた夢に抱かれたままだった。
 星が湖をはげしく燃やし尽くす光景の、なんと美しいことか……しかし、そのえも言われぬ美しさにはどこか背徳の影が色濃く差していた。

〈正吉さんに話したら何と仰るかしら〉
 小

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【掌編】Muse

【掌編】Muse

夏は夜。
月を見たくて庭に出たけれど、今晩は新月だったみたい。でも、こんな夜は蛍が星のようで美しいのね。初めて知ったわ。

夏は夜。
こっそり家を抜け出して夜の森に忍び込んだら、妖精たちを見つけたんだ。悪戯好きの妖精のせいで森は大混乱だったけど、すごく楽しかったよ。

夏は夜。
最終列車に揺られて微睡んでいた時に、星が尾を引いて夜空にツーッと流れるのを見ました。まるで天を駆ける列車のようで、ふと、

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【掌編】サイカイ

【掌編】サイカイ

手紙には、「あなたはだれですか」と線の細い字で書かれていた。
わたしはだれだろう。

人と話さなくなってから、二千年が経った。
発音の仕方も忘れてしまった。
自分の声も、自分の容姿も、自分の名前すら忘れてしまった。忘れていたことすら忘れていたかもしれない。
ずっとこの白くて明るい部屋の中で暮らしていて、決して外には出られない。
誰かと連絡をとれるだなんて、思ったこともなかった。
でもこうして、わた

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