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東欧が誇るカルパチア山脈へ

モスクワからラトビアのラガを経由して、ウクライナのキエフへ飛んで、そこから更に国内線でIvano-Frankivskというウクライナ西側のルーマニア国境近くの空港へ降り立った。

現在は空路でロシアーウクライナを結ぶ直行便は無い。これが非常に厄介である。

事前に連絡をしておいたプライベートツアーガイドのアンドリーが空港に迎えに来てくれていたが、前夜にアンドリーから「明日は空港でどう君を見分ければ良いかな?」とメールが来ていたので、「心配ないよ。その空港でアジア人は僕1人しかいないだろうからね(笑)」と返信しておいたが、本当にアジア人は私1人だけだった。

空港から、更に2時間半ほどデコボコな道をアンドリーが運転し、カルパチアの麓の田舎町まで連れていってくれた。

コテージの前には絵にかいたようなクマの様な男のユリが優しい笑顔で出迎えてくれた。彼はハンターでありコテージには様々な動物の剥製やら角が飾ってあった。

その晩はユリの奥さんと一緒にユリがハントした鹿肉や伝統料理のトウモロコシ粉のマッシュ、自家製チーズ、自家製ピクルス、自家製パンと全てが自家製の料理を振舞ってくれた。

料理はどれも本当に旨かった。

アンドリーが「彼らは基本的に自分たちで全て作るんだ。スーパーの既製品を買う事は殆どない。このあたりで取れないフルーツ位かな。」と言うように、牛を飼い、作物を育て、動物を狩り、水に恵まれ、自然から四季の資源を活用し生活をしている。

クマ男のユリが自家製のウォッカを振舞ってくれたが、食前に1ショットだけかと思ったが、3人で1本、1人6杯も飲む羽目になった。。

明日の朝からハイキングの予定が、これじゃ二日酔いじゃねーかよ。。。と若干嫌気が差したが、不思議と全く二日酔いにはならなかった。

彼らいわく質の良い酒だと翌日に残らない。そうだ。


翌朝は山にハイキングしにアンドリーと出かけた。

山に近づく頃に、丸太を組み合わせて大工が大きなロッジを建てていた。

それを眺めながらアンドリーに「将来は、事業で金を作ってから、まさにあんな感じの丸太のロッジをフィンランドに建てて自然の中で暮らしたいんだよね~。それが夢だよ。まぁ金を作らなきゃだけどね。」と言って、このロッジの資材と建設費がウクライナでいくら位なのか聞いてみた。

「このあたりだと、山から資材の木が取れるだろ。それも自分の土地だったりする。仮に買ったとしてもローカルは安く仕入れるルートがあるから、土地代は別として2万~3万ドル以下だろうね」と言っていた。

日本だと上物の箱だけで安くとも、その5倍から8倍はするだろう。

現在のウクライナは経済的に厳しくなる一方で、大都市のIT関連企業で働くエンジニア以外では、隣国ポーランドへの出稼ぎが現在の流れであり、国内の腕の良い職人や大工は皆出稼ぎでウクライナにおらず、彼らを国内で探す方が、金の工面より難しい状況だそうだ。

雪の中を汗かきながら、ブーツを滑れせてカルパチアの山の中をハイキングした。というより、割と登りはきつい斜面で、体力の無い人には難しいかもしれないが、その価値はある。

1時間ほど登った所にある、歩きで気軽に行ける山頂は見晴らしの良い丘の様であった。空気が透き通り、冷たい風が誰も居ない山小屋に吹き込み、農夫が歩く道では牛や馬のフンが転がっていた。


気持ちの良いカルパチアの山登りハイキングを終えて、車で10分位のシティーセンターと呼ばれる、地域のスーパーや郵便局等の商店が集まる近くのローカルカフェでランチを取った。

狭いローカルのカフェでは老婆が怪訝な表情でアジア人旅行者の私を見つめながら、アンドリーが「メニューは特にないから、適当に頼んだよ」というので、男2人でテーブルを挟んで若干気まずくも会話をしながら料理を待った。

1品目は煮込んだ豚肉とマッシュポテトにピクルス。

2品目はカルパチアのスモーク肉を用いたボルシチに自家製パン

これらの料理は、最高に旨かった。マッシュポテトもだだのペーストポテトでは無く、煮込んだ豚の煮汁が何かで伸ばしている様で、程よい塩気と非常に滑らかな舌触りで、ほろほろの豚肉と旨いピクルスと最高に相性が良かった。

カルパチアのボルシチも一般的なボルシチの紫色ではなく、スモーキーな豚の燻製肉の香りと白いビーツの大根の様な触感で非常に旨かった。


最後に運ばれてきた紅茶と会計が老婆によりテーブルに置かれた時、アンドリーが「この2人前ランチいくらか当ててみて」というので、「1人前で5ドルしないだろ?」と言ったら、「これ全部で約4ドルちょっとかな」と言った。

このランチが2ドルで食えるならベトナムより遥かに安いし、クオリティーも最高だ。全て自家製で無農薬。

「あの婆さん、こんな値段でどうやって商売してんのかね?」とアンドリーに聞くと「チャリティーだね(笑)さすがに安すぎだよ」と言っていた。


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