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映画『X-MEN:ダーク・フェニックス』感想

予告編
 ↓


 もう公開から1ヶ月以上経ったし、気にしなくて良いかな、なんて。

 あ、『マーベルズ』の話です。(感想文リンク

 だから何だ、ってワケじゃないんですよホント。『マーベルズ』観て、なぜか思い出したので、X-MENの感想文でも投稿しようかと思います。

 公開当時の感想文ですが、よければどうぞー。


マイノリティ


 同じマーベル映画でも全体的にポップなテイストが多い印象のMCUに比べ、シリーズを通してリアルでシリアスでダークな世界観だったのは『X-MEN』らしさもあるけどノーラン監督の『ダークナイト』シリーズ(感想文リンク)の成功の影響もあったのかな?なんてね(音楽もハンス・ジマーだったし)。

 新三部作(感想文リンク)の中にもマシュー・ヴォーンが監督した作品とか、ヒーロー映画っぽい高揚感があることも過去にはありましたけど、劇中で “スーパーヒーロー” という言葉に首を傾げていたエグゼビア(ジェームズ・マカボイ)からもわかる通り、『X-MEN』は本来、スーパーヒーロー映画というよりは、常に “マイノリティ” を描き続けた作品というイメージが僕にはあるんです。

 そんなシリーズの完結編である本作では、マイノリティが集まることで生まれてしまう新たなマイノリティとマジョリティという構図がとても印象的な物語。内容自体は初期三部作(感想文リンク)の完結編である『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』とも被るもの。そして公開延期が重なり、MCUを携えるディズニーにFOXが買収されることも発表され、ファンの中には「どうやってMCUに参戦するのか」という興味の方が高まっていた中での公開。海外ではかなり賛否が別れたんですってね。でも確かに暗いし重たい内容だったけど面白かったですよ?


 超人・超能力ひしめく中でのアクションシーンに隠れがちですが、心理描写が細かくて、それだけでも見応えがあります。デュバリ族のアジトでジーン(ソフィー・ターナー)がエグゼビアを手に掛けようとする中、彼の問いかけに葛藤する姿を光の当て方で表現していたシーンは凄く良かった。彼女の顔を照らす光の妙で、顔の半分だけが暗かったこのシーンは、ジーン・グレイとダーク・フェニックスという異なる心が彼女の中に同時に存在していること、そしてその2つが煩雑に縺れ葛藤していることを如実に表してくれていた気がします。

 この映画は、そんな彼女の存在に代表されるような様々な “マイノリティ” と “葛藤” が描かれていたのかもしれません。自身の行為・選択の正誤を問うエグゼビア。仲間を殺した仲間を許せないエリック(マイケル・ファスベンダー)と、許し、再び仲間であり続けようとするX-MENたち……。

 迫害され続け、同じ心の傷を理解し合えるはずのグループの中でも生まれてしまうマイノリティとマジョリティを見せられる度に幾度も思い出す。物語の世界に生きている人々と同様、ついついその超人的な力やこれまでの奮闘ぶりで彼らを聖人君子のように扱って見てしまうけど、本当は違う。ああ、彼らは決して “スーパーヒーロー” ではないんだ、みんなと同じ人間なんだ、と。

 この違和感は最早『X-MEN』では毎度のこと。「スーパーヒーロー」という呼び名に首を傾げていたエグゼビアは、もしかしたらその違和感を無意識のうちに気付いていたかもしれません。迫害され “弱者” と位置付けられてきた自分達が、知らず知らずのうちに「スーパーヒーロー」という “強者” として位置付けられてしまっている、最初は “普通” や “同じ” を夢見ていただけなのに、という違和感に。深読みをすれば “同じ人間なんだ” というのは彼らの願いなのかもしれない。


 自己犠牲というある種のヒーローらしさ、或いは償いとも取れるラストは『ファイナル・ディシジョン』同様、本当につらかった。でもそれで彼女が救われるならばそれで良いとも思える。最期にチェスをしようと向かい合って座るエリックとエグゼビアの仲直り……というか「まずは友達からやり直そう」感も印象的でした。そういったこの物語のラストに色んな意見が出るのは当然かもしれません。「原作通り」「消化不良」……etc. でも、その結果だけで決め付けるべきじゃないと思います。
 エグゼビアが謝罪していたように、間違えることもある。でもその結果だけで全てを決め付けることが正しいわけじゃない。過程や原因、理由を考慮し、相手の心に寄り添い、許す、愛する。結末だけで本作は語れない。本作では登場人物たちの中にずっと誰の心にも潜んでいる闇や葛藤があった。それを経た上でのラストだからこそ、僕は以上のように「良かった」と、本作を観て思えたんです。


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