「文学なんか今時読まれない」に全力で抗う。ネット時代にも読まれる文学を作る。
上記タイトルが、今年の私の目標です。
・「ネットの文章は「質より量」」という風潮に違和感がある人
・小説(特に純文学)が好きな人、書いてる人
・「良い芸術を作っても食べていけない」という現実に憤りがある人
にはぜひ読んでもらいたい。
■こんにちは、「ライヴが出来る小説家」、渋澤怜です。
私はもともとずっと純文学を書いていたのですが、
「小説、しかも純文学なんてウルトラマイナージャンルを読む人は限られている!」「自分から新しい世界に出ないと未来がない!」「既存のジャンルにとらわれない新しい芸術を作りたい!」「受け手の反応を直接見たい!」
などの動機で1年前からライヴを始めました。
内容としては、小説で言いたいことをライヴで言ってるだけなのですが、まあ人からは「詩の朗読」とか「ポエトリーリーディング」とか「殴り語り」とか「ロックな演説」とか言われてて、自分では「パンチラインばんばんぶつけまくりライヴ」って渾名しています。ここに沢山原稿&動画があるので良かったら見てみてください。
■音楽じゃ/文学じゃ、食えない?
さて、そうやって、ライヴハウスと純文学の現場、両方見てる私が思うことは、「音楽や文学じゃ食えてる人、全然いないなー」ということです。
今、音楽や文学で稼げる人が、どんどん減ってますよね。すっごい良いコンテンツ作ってる人でも、全然貧乏だったりしますよね。
その理由って、単純に「コンテンツが多すぎる」からです。どんなコンテンツ? かというと、ネット上のコンテンツです。
■ネット時代にフィットするのは「早い、浅い、分かりやすい」コンテンツ
これはインターネットの功罪だと思うのですが、みんなの注目を集める、ついついクリックしてしまうもの、インスタントなもの、オチの分かりやすいものが、みんなの可処分時間をガリガリ削っています。皆さんもインターネットで、中身の見え透いた、分かりやすいものを、ついついクリックして、無駄に時間をつぶしちゃった……ってこと、しょっちゅうあると思います。
音楽とか文学、つまり芸術って、分かりにくいじゃないですか。言いたいことがはっきり提示されなかったりするじゃないですか。だからファストなインターネットでは圧倒的に不利です。そんなにゆっくり、良いか悪いか分からないものを、じっくり吟味してくれる受け手って、今、ほとんどいないんですよね。今の主流はやっぱり、インターネット的な「早くて、浅い、分かりやすいもの」なんだと思います。
■ネット(共感)←→純芸術(発見)
私は音楽や文学や芸術が大好きだし、いわゆるインターネットでバズるものは大体嫌いです。
知らない音楽や文学に触れた時の「なにこれ?!新しい!意味わかんない!」こそが崇高で、
「知ってる知ってる」「あるあるわかる」という感情をつっつくだけでサッサと拡散する浅くて早くて分かりやすいコンテンツは唾棄すべきだと思っている。
それは この辺の記事↓↓ で書いたので割愛するけど、
要は、私が感動してきたものは、
ネットで読み流されるペラペラのエッセイでもなくて、定型にハメてつくられた「泣ける話」「感動できる話」でもなくて、
作家の人生の最も円熟した時間の粋と集中力を研ぎ澄ませて書かれた、読むのに何時間もかかる、しかし、作家はそこに費やした歳月は何年いや人生の全てに違いないと思わせる、クソ重い純文学でした。音楽でした。ライヴでした。
クソ重い純芸術ばかりでした。
■
だからと言って、今の世の人に「純文学を読め!!」と言っても意味ないと思ってます。
みんなめちゃめちゃ忙しいし、保守的で、「良いと分かり切ってるもの」「別に新しくないもの」「簡単に入手できるもの」が好きなんです。すなわちネットですぐ手に入るような。
ちなみに純文学はただ今絶賛の死にかけのメディアです。
これはもう時代の潮流です。仕方ないんです。
そして私もその時代の潮流の中にいます。
■純文学とインターネットの相性の悪さ
自分でいうのもアレですが、私は割と、純文学の書き手の中ではSNSを活発に使っている方だと思います。
プロの書き手でも、Twitterをやってる(アカウントを持っているのみならず、それなりに更新し、使いこなしてる)人って、あまり多くないです。
(逆にTwitter強者の純文学書きがいたら教えてくれ! マジで知りたい! 東浩紀と平野啓一郎と高橋源一郎と朝井リョウと円城塔以外で!)
同じ文字メディアにも関わらず、
純文学の書き手があまりSNSをつかわないのは、
「純文学とSNSが壊滅的に相性が悪いから」です。
上記の通りネットは「浅く、早く、分かりやすい」文化。
「皆の注目を集める、ついついクリックしたくなる、インスタントなもの」がPVを集め、より人目につく場所に置かれ、更にPVが集まる世界。
十万字読んでやっと良さが分かる純文学がボロ負けを期す世界です。
その匂いを嗅ぎ取って、純文学の書き手はSNSから足を遠ざけているように思います。
■
……とはいえ別に、純文学の書き手がちょっとした日常のことや思い付きをドロップする場所としてSNSを使ってても良いはずなのですが(それこそ円城さんみたいな感じで)、
ザッと人に聞いたところ(ザッとですが)「純文学の書き手でインターネットに長けてる人って、朝井リョウ氏の他は見当たらないな」と思いました。
(朝井リョウはバリバリの純文学の書き手とは言えないかもしれませんが、さて置く)
(ちなみに「何者」はインターネット、SNSを正面からとりあげた数少ない小説でしたね。他にもこういう小説あったら教えてください)
つまり逆に言うと、まだデビューも何にもしてない私ですが、
「今の現代のネットのスピード感を肌で感じている純文学の書き手だ」というのは、割と希少な私の強みなんです。
■SNSで育てた私の文章
色々書きましたが、私、SNS大好きなんですよ。
Twitterはトイレに入るたび、いや、自宅にいたら30分おきに見てしまうし、書くことは永遠に湧く。
そもそも、(物書きのご多分に漏れず)対面でのコミュニケーションが苦手で書くことが得意な自分にとって
「顔を合わせたことの無い人が、私のことを文字だけで「面白い」と思ってくれて、フォローしてくれる」Twitterは、最高の居場所であり発表の場であり研鑽の場でした。
私は、インターネットで大量の文章を書き、読み、インターネットの文体を身に着けている。
■インターネットの時代を体現する純文学を書く
というわけで、私が2018年にやりたいことは、
「インターネットの時代を体現する純文学を書く」です。
これには2つの意味があり、
・インターネットで書かれる文章のスピード感、キャッチーさ、ノリの良さを体現する
・小説のテーマに「インターネット」を置く
です。
前者に関しては、いちいち面白いアイディア、濃いキャラ、ギャグを散りばめて、場面転換も数千字ごとに行い(つまりnoteやブログの一記事の字数ですね)、ネットで文章を読むことに慣れている読者を飽きさせません。
後者に関しては、
「インターネットやりすぎて頭おかしくなっちゃった、脳内でいつも何をツイートしてるか考えてる人」が主人公です。端的に言うとSNS中毒です。
この小説には、Twitterもneverまとめもインスタも食べログも出て来ます。Valuとか評価経済の話も入れたいけど、入るかなー。
この2点と、純文学としての重厚なボリュームを両立させます。バリ長いし、人生全部ぶつけます。
私の心を震わせてきた、純文学作家が全体重のっけて人生をぶつけて来た時の衝撃、しんどさ、切なさを、私もぶつけます。
切ったら血の出るような、使い捨てのできない文章。そう簡単に複製も拡散もさせない、指紋と手あかをべとべとにつけまくった文章。
「そんなの両立できる?!」と思われそうですが、おそらく前後半にわけて実現すると思います。前半キャッチーなら後半が多少しんどくてもみんな読んでくれるはずだ。前半に十分に下地を作っておけば、後半がド純文学でもみんなついてきくれるはずだ。
■今まで通りじゃダメなの?
「なんでそんな無理ゲーやるの? 普通に今までの渋澤さんの小説面白かったよ?」
と言われることもある。
が、普通に? 面白い? 今まで? の小説? を書いたところで意味ねーんだよ。
そんなんだから純文学はオワコン化の一途をたどってんだよ。
……という話は長くなるので別記事に書きます。
■ここまで読んだあなたにできること
というわけで、私がまさにこの一か月、noteガンガン書きながらガンガン書き進めた長編純文学、まだ書き途中ですが読んでみたくありませんか?
この小説は、新人賞に投稿するつもりなので、公開は出来ないのですが、メールで個々人に送ることはできます。
なので、ここまで読んで「渋澤怜がそこまでいう小説、読んでみたい」と思った人は、 info@rayshibusawa.her.jp まで、メールをしてください。
※2018.1.26追記 続きをかきました
※2021.11追記
現在はちょっと趣向の違う方面に興味が移っており、「言語神社『レヴェリー・レイレイ』というnoteコンテンツの運営を行っています。
「夢を超具体的に言語化すれば叶ったも同然」をモットーに、ありたい姿や住みたい世界を超具体的に書きまくり、奉納しまくる言語神社です。定期購読マガジン(月333円)と、サークル(月333円~)があります。「言葉の力で人を動かす」という意味では、小説とやってることは同じです。
興味あればこちらもぜひどうぞ。
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★渋澤怜のTwitter https://twitter.com/RayShibusawa
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