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運命と私

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運命には逆らえない。運命に翻弄されながら生きた女性の一生。
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#母親

涙(世界と私42)

涙(世界と私42)

泣いている私を祐一が抱きしめようとした、
私は祐一を突き放した。

「ごめん、みづきを傷つけるってわかってた、
でも最近のみづきイライラしてて、
家に帰って来ても、家の中の空気が重くて、
オレの居場所がどこにも無い気がして、
そんな時に声を掛けられて・・・・」

「私だってイライラしたいわけじゃない!
受験生が家にいることがどれだけ大変なのか、
祐一にはわからないのよ、
反抗期で言うことも聞かない

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運命と私 62

運命と私 62

30歳にもなる息子に、
段ボールいっぱいの食料を持たせるなんて、
優しい母親だと思った。

「やさしいお母さんだね・・・」

私は独り言のようにつぶやいた。

祐一には聞こえていなかったみたいで返事は無かった。

私たちは近所のスーパーに行って、
簡単に出来る夜ごはんの食材を買って帰って来た。

「夜はみづきの手料理か!楽しみ。」

「ただ焼くだけでしょ。手料理って言わないよ。」

私たちは新婚の

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運命と私 59

運命と私 59

「もしもし、みづき、
あけましておめでとう。家にいたの?」

母には「友達がお正月1人で寂しいから一緒にいて欲しいと懇願された」
と言ってあった。

「あけましておめでとう。うん、今から出かけるところなんだ。」

「そうなの出掛ける前にごめんね。」

「ううん、大丈夫だよ、お父さんとかみんな元気?」

「こっちはみんな元気だよ、
あんたは元気?たまには帰って来て顔見せてよ。」

「うん、今年中には

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運命と私 58

運命と私 58

「紅茶入れるけど飲む?」

誰かが私に話しかけてる、

「うん、私がやるよ。」

そう言ってベッドから起き上がろうとしたけど、
上手く動けない、そして眩しくて目が開かない。

そこにいるのは誰?

必死で目を開けようとするけど、
眩しくて開かない。

「江藤さん?」

私が聞くと、

「何言ってるんだよ、オレだよ。」

そう言ってベッドに近づいて来た、
そして私を優しく抱きしめてた、
私はあっとい

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運命と私 15

運命と私 15

まだ実家で暮らしている時のことを思い出した。

私には妹がいる、
妹はわがままで、いつでも妹優先の生活だった。
いつの間にか私は我慢することが当たり前になっていた。
そして母親はいつも否定的で、
私がやることすべてに反対だった。

そんな習い事は将来役に立たない、
あのお友達とは距離を置いたほうがいい、
この学校は良くない、将来役に立つ資格を取りなさい。
と口うるさく言っていた。
私は心の何処かで

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