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日本史の歴史考察

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2020年10月の記事一覧

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その2 特別な伊都国そして倭双国

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その2 特別な伊都国そして倭双国

 ここでは、伊都国について考察します。『魏志倭人伝』の中でも邪馬台国の次に一番多く説明が書かれている国です。これだけでも、伊都国の重要性が伝わってきます。

□伊都国は特別な役割がある重要な国 『魏志倭人伝』の以下の記載内容より、女王国(邪馬台国)に属していた伊都国(福岡県糸島)はとても重要な国であることが分かる。

 代々王が治めている国ということで、急に出来た国ではなく、古くからの歴史がある国

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その13 壱与の誕生と卑弥呼の暗殺説

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その13 壱与の誕生と卑弥呼の暗殺説

 今回は、壱与(台与)の誕生と、卑弥呼の暗殺説について考えてみます。

□壱与(台与)の誕生 壱与(台与)の名前は、『魏志倭人伝』では、「壹與(壱与)」と書かれ、後の『梁書』では、「臺與(台与)」と書かれている。現在は、前者だとイヨ、後者だとトヨという読み方が一般的だ。

 読み方は、邪馬壱国、邪馬台国のときの発音と同じく、「台」ならば古代の発音だと濁音になるようでドヨ、ダヨ、ダイヨとかになりそう

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その12 倭国大乱と卑弥呼の誕生

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その12 倭国大乱と卑弥呼の誕生

 今回は、卑弥呼誕生の謎に迫ります。

□倭国大乱と卑弥呼の誕生 『魏志倭人伝』での非常に有名な卑弥呼の説明のくだりだ。ここで出てくる倭国は乱れというのが、日本で最初に起こった内乱と言われている「倭国大乱」だ。

 『魏志倭人伝』では、単なる乱で「倭國亂 相攻伐歴年」とあり、前の時代の『後漢書』では、「倭國大亂 更相攻伐 歴年無主」で、大乱(大いに乱れ)になっており、記載表現は異なっている。四文字

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く 全編の目次

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く 全編の目次

 『三国志の魏志倭人伝』を読んで当時の倭国、邪馬台国について考察した結果をまとめてみました。他にも『中国正史、古事記、日本書紀、風土記』なども参考にしています。これまでに読んだ様々な本から得た知識や、自分なりに考察した考えに基づいて、邪馬台国の時代の日本の古代の歴史について、解説した内容になります。

□はじめに ここでは、全編を自由に選んで読んで頂けるように、各テーマへのインデックスを用意しまし

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その11 倭人の文化風習

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その11 倭人の文化風習

 こここでは、『魏志倭人伝』に書かれている倭人について考察します。その景色や状況が思い浮かぶほど、リアルな情報が書かれています。

□入れ墨の文化 原文だと、「男子無大小皆黥面文身(げいめんぶんしん)」となる。なかなかインパクトのあるフレーズだ。当時の倭人が入れ墨の文化を持ち、また倭人のルーツが海洋民族、漁民系の文化を色濃く持つ種族なのが良く分かる。海の中にいる魔や事故から身を守るおまじないの意味

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その10  魏志倭人伝の世界 印象深い単語と意味

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その10  魏志倭人伝の世界 印象深い単語と意味

 ここでは魏志倭人伝を読んでいて、印象的だった単語をいくつか取り上げてご紹介します。ここでは、言葉の雰囲気をお伝えしたいため、あえて原文も載せてご紹介しています。

□瀚海(かんかい) 対馬国(対馬)から南にいき一大国(壱岐)へ行きときの海の名前が、瀚海と書かれていた。いまだと、玄界灘だ。こんな時代から、この海に名前がついていたのかと思うと感慨深い。ちなみに、瀚海の他には海の名は登場しない。日本に

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その9 邪馬台国への道のりの謎

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その9 邪馬台国への道のりの謎

 こここでは、邪馬台国への工程について、古代人になったつもりで、当時の状況から考察したいと思います。

□倭国へ、邪馬台国への行程 この連載では、魏志倭人伝に記載されている倭国や邪馬台国への位置を示す距離や行程にはほとんど触れていない。通常の『魏志倭人伝』の解説だと、まず必ずと言って良いほど、邪馬台国への工程についての解説があり、「東だ南だ、水行だ陸行だ、何里だ何日だ」というようなくだりがあるのが

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その8 魏志倭人伝の信憑性

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その8 魏志倭人伝の信憑性

 いまさらですが、ここで『魏志倭人伝』について改めて確認したいと思います。

□魏志倭人伝とは? 『魏志倭人伝』は日本での一般的な通称で、正式には『三国志 魏書 三十巻 烏丸鮮卑東夷伝 倭人条』となります。三国志の中で、その時代の東夷について記載してある箇所で付録的に書かれている内容で、その中に倭国についても書かれているような位置づけになります。わずか二千余字の漢文で書かれた文書です。『三国志』の

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その7 女王国以外の倭種の国々

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その7 女王国以外の倭種の国々

 こここでは『魏志倭人伝』に登場する邪馬台国の倭国連合とは異なる別の国々について考察します。

□倭国以外の国々魏志倭人伝には、以下のような国々の記載があるる。

国名の記載がない国(31番目の国)
 女王国より東、海を渡りて千余里、
 また国あり。倭の一種。

侏儒国(32番目の国)
 上記の国の南
 人の身長が3、4尺しかない小人の国
 女王国から四千余里

裸国・黒歯国(33番目、34番目の

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その6 邪馬台国と争った狗奴国について

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その6 邪馬台国と争った狗奴国について

 ここでは邪馬台国と戦をしていた狗奴国について考察します。

□邪馬台国に属さず争い中の狗奴国『魏志倭人伝』には以下のような記載がある。

 狗奴国と女王国に属する邪馬台国連合は、戦争中である。わざわざ、卑弥呼が中国にこのために使者を送るくらいなので、かなり本格的な争いだったと思う。

 争いに勢いをつけるために、中国の正式な後ろ楯が欲しかったのか、あるいは、苦戦中で旗色が悪かったので、戦いの支援

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その5 邪馬壱国と邪馬台国論争

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その5 邪馬壱国と邪馬台国論争

 いよいよ邪馬台国の登場ですが、ここでは、まず邪馬壱国と邪馬台国、そして邪馬台国論争について説明します。

□実は魏志倭人伝には邪馬台国とは書かれていない邪馬台国については以下のような記載がある。

 実は現存する原文の『魏志倭人伝』には、「邪馬台国」という国名の漢字は出て来ない。この点から邪馬台国は存在しなかった、のような説や本も出版されている。

□邪馬壱国が邪馬台国になる理由 主流の通説は、

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その4 女王国の国々

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その4 女王国の国々

 邪馬台国の後に書かれている倭国連合の国々について考察します。

□名前だけが書かれている倭国の国々 女王がいる邪馬台国より北には、次のような国名があると記載されています。国への行き方や距離や詳細は省略し、国名だけが並んでいる形です。

□蘇の付く国々 魏志倭人伝の倭国、卑弥呼の女王国の中には、對(対)蘇国、蘇奴国、華奴蘇奴国と、蘇の字が付く国が3つある。

 後の『隋書』では、「倭国には、阿蘇山

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その3 金印の奴国と倭国の記録

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その3 金印の奴国と倭国の記録

 ここでは、奴国について考察します。唯一、国が実在したことの証が発見されている国です。

□奴国の不思議さ 金印で有名な奴国だか、魏志倭人伝では、実は奴国に関する記載はとても少ない。(奴国は、一般的にナコクと読み、倭奴国は、一般的にワノナコクと読むが、倭奴国でイドコクやイヌコク、奴国をヌコクと読む解釈もある。)そして、奴国だけが、二回登場する。

□奴国は歴史ある大国 順に考察してみよう。まず、1

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魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その1 倭の九州北部の国々

魏志倭人伝から邪馬台国を読み解く その1 倭の九州北部の国々

 まず始めに『魏志倭人伝』に登場する倭国の「邪馬台国」までの国々について考察します。倭国の中の国々で場所が概ね判明しているのは、九州北部の国々だけです。

□邪馬台国までの倭の国々『魏志倭人伝』に登場する倭の国々を「邪馬台国」まで順に並べると以下となる。

 なぜ国名を単純に順番に並べて考察するのかというと、古代中国では、特に遠方になればなるほど、そもそも辺境の周辺属国である他国への距離感などは、

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