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#18 社会の「型」にはまれない

今日と明日の記事では、
僕が適応障害になり、そこから復帰した経験を書きます。
過去の記事に断片的に書いたものと重複することをお許し下さい。

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「社会」というのは拡大解釈かもしれない。
しかし、当時の僕は、新卒で入った会社=社会だと思っていた。
努力して、我慢して、社会が用意した「型」と同じ形になろうとした。
けれど、できなかった。
体も、心も、痛みに耐えることができず、壊れてしまったのである。

滑り出しは順調だった

僕は心理学を深く勉強したかったので、大学院に進学した。
修士2年を迎える直前。
研究職も捨てがたかったが、そのときの僕は就職を選択した。

そして、誰よりも頑張った。
誰よりも企業研究と面接練習をした。
誰よりも自己分析と履歴書作成に尽力した。
誰よりも内定を早くもらい、活動を終えた。
誰よりも修士論文に着手し、早く書き終えた。

しかし、早さがいい就職先と結びつくわけではない。
誰よりも頑張ったのかもしれないが、頑張ったフリをしていただけだったのかもしれない。
少なくとも、その迅速な行動と努力は、結果に結びつくことはなかった。

注意、叱咤、指導という名の攻撃

就職先は思った以上に、体育会系の風土を持っていた。
大きな声で挨拶をしないといけない。
常に笑顔で接しなければならない。
弱音を決して吐いてはいけない。

それが、その会社の「型」だった。

最初はその「型」にはまろうと努力した。
せっかく努力して手に入れた就職先だ。多少、自分を偽ってでも馴染まなくては。郷に入れば郷に従えだ。
常に笑顔。常に大声。常に周りを楽しませるムードメーカー。

そんな偽りの自分を、もしかしたら先輩社員はこう捉えたのかもしれない。

「こいつは強い言葉を使っても笑顔で対応できる頑丈なやつだ」と。

それから一人の先輩社員が僕につくようになり、指導が始まった。
一挙手一投足を注意され、僕の自由は制限された。
そして、注意や叱咤が飛んでくるようになった。

「ネクタイ曲がってる! お前汚ぇんだよ!」
「ぐずぐずすんじゃねえよ。さっき教えたことだろうが!」
「聞く前にまず自分の頭で考えろよ。頭はないのか、頭は!」

その言葉に対しても笑顔で「すみません」と言われなければならない。
傷ついていないフリをしないといけない。
無視していたけれど、僕の心は確実に傷つき、ひびが入り始めていた。

先輩社員からのそれは、叱咤でも、注意でも、指導でもない。
ただの攻撃だ。
僕のなりふりは、自分を偽っているんじゃない。
自分を殺しているだけだ。

それに気づいた頃には、もう遅かった。

涙腺も手足も制御不能

ある日自宅に帰ると、電気もつけず、そのまま膝から崩れ落ちた。
そして頭を抱えて、床にうずくまった。
「う”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”……!!」
獣のような声が、自分のものであることに驚いた。
頬には熱い涙が流れ、床へとぽとり、ぽとりと落ちていく。
椅子に座り、PCをつけて、YouTubeでも見てゆっくりしよう。
頭ではそう思っているのに、体が全く言うことをきかない。
そのまま床に突っ伏して、夜を明かした。

僕は仕事を無断で休み、ボロボロの体を引きずってなんとか心療内科へと向かった。
下された診断は、適応障害だった。
早く休んだ方がいいという医師の判断により、休職を余儀なくされた。
社会人生活が始まってたったの4か月の、夏の出来事だった。

「型」にはまれない僕は、歪なのか

休職してからの数週間は、ただただ頭で自分を責める日々だった。
社会人として働く、という日本における「型」。
そこにはまれない僕は、とても歪な存在なのではないか。

自分は社会不適合者なんだ。
この社会で必要とされていない人間なんだ。
それなら、僕はなんのために生きているんだ。
もう、いなくなってしまった方がいいのではないか。
けれど、この世からいなくなるための勇気すら僕にはない。

いなくなりたい。けれど、その勇気が持てない。
堂々巡りを繰り返す、地獄のような日々。

そこから救ってくれたのが、本と友達だったのである。

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ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
noteには僕と同じような経験を綴られている方も多くいらっしゃいました。
素晴らしい文章、それを文章にする勇気に感服しました。
辛い出来事を一つの記事にする、というのも一つの成功体験。
そう信じて、今回自分の一番つらい経験を書こうと決めました。
失敗は成功のもとですからね。

適応障害を克服した経験は以下の記事に書きました。
もしよろしければ、御覧いただけると嬉しいです。


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