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私の思う「人事」を書き留める

人事って何でしょうね?
私は、高校を卒業してから13年間「労務業務」に携わり、転職した今は3年間ぼっちで「人事全般」に従事しています。
前職時に奥さんと結婚し、子供もでき、家も買ったので、自分の人生(キャリア)を考え始めたときに「手に職つけたい」「もっと上流の仕事がしたい」と思って、今の会社に転職してきました。
諸々16年経った今でも結局「人事って何?」という状態となっているので、それを少しでも整理できるようにブログにしてまとめていこうと思います。


人事とは?

Human Resource

「ヒト」に関する仕事を全般的におこなうのが「人事」

「人事」とは、組織における最も貴重な資源である「人」の管理と開発を任せられているのではないでしょうか?
上記の図は、その核心を表したく、それぞれの頂点には、人事が関与する主要な分野を記してみました。
採用、評価、配置、開発、そして労務管理。
これらは、組織(ヒトの集合体「別名:烏合の衆」)の成長と進化に不可欠な要素であり、それぞれが相互に連携して機能させるのが人事の役割かな?、と今の私は考えています。

近年では「戦略人事」と言い、通常の管理業務に加えて経営視点を持った取り組みが求められている

「人事戦略」とは、人事が担うべき重要なファクターかと思われます。
経営の戦略目標に沿った人材の確保、育成、そして適正な人員配置を実現することです。
この責務を果たすために、目に見えるデータと目に見えない人間性の両方を理解し、適切に結びつける洞察が必要だと感じます。
行き着いた世界観は「AI✕ヒトの融合」と私は捉えています。

「人事担当」は、単なる「採用係」や「給与計算係」といった役割を超えて、社員一人ひとりの潜在能力を引き出し、会社のビジョンとミッションの実現をサポートするための戦略的パートナーとなる必要があるハズです。
上記の図に示したように、個々の社員が持つ可能性を最大限に活かし、組織全体としての成果を最大化するための「人の架け橋」になりたいと妄想しています。

この妄想を整理するため、人事業務の具体的なイメージ、歴史、取り巻く環境、そして人事がどのように組織に貢献していくべきかを深掘りしていきます。

人事業務のイメージ図

BOの土台、人事の柱、組織の旗印

バックオフィスの支えがあって初めて立てられる人事の柱

上記は人事業務のイメージ図です。
この図は、人事の仕事をパッケージ化することで、目に見える形で表現しようとしています。
土台となる下の大きい柱は「総務や労務、財務経理の管理」を表しています。
これらの管理業務は企業の健全な運営と成長を支える土壌であり、ここにしっかりとしたルールがなければ、上部の構造(人事の根幹)は成り立たないと考えています。

ー採用・開発・評価・配置ーが組織の成長へと舵を取り、従業員のモチベーションが進む力となる

土台の上にある4つの柱は、人事の日々の業務を支える中核です。
「採用」は新しい社員が組織の一員となるための採用活動、
「開発」は社員のスキルアップとキャリア開発を指すもの、
「評価」は社員の成果と貢献を公正に測るシステム、
「配置」は社員をその能力に応じた適切な位置に配する業務を意味します。

最上部にあるのは、「組織の成長と発展」及び「従業員の満足度とエンゲージメント向上」を目指す組織人事の最終的なゴールです。
これは、ビジョンとミッションを持って、社員一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、それを組織全体の成功につなげるという人事の究極の使命を象徴しています。

このイメージ図は、人事の仕事がいかに多面的で、社員と組織双方にとって重要であるかを表しています。
それでは、このイメージ図を踏まえたうえで、世の中の人事制度の歴史を辿ってみましょうか。

人事制度の歴史

人事0.0(工場法)明治44年施行

  • 工場労働者の保護が表面上の目的

  • 近代国家としての労働法の端緒

  • 「勧業」「国防」が本当の目的

  • 「野麦峠」の女工(ブルーカラー)の労務管理

人事0.0は、職人が中心であった時代を指し、一人一人の熟練度が企業の資産であった時代です。
その当時は、技術力がそのまま企業価値に直結していました。

人事1.0(労働基準法)昭和22年施工

  • 戦後民主国家としての必須の法律と急ごしらえ

  • 「人事0.0工場法」を下敷きに作られる

  • 労働条件の最低基準を定めたものながら、違反が絶えなかった

  • 勤労者保護が、終身雇用と年功序列の「暗黙の契約」の根拠となる

人事1.0への移行は、産業革命とともに始まります。
機械化が進み、一人ひとりの作業効率が組織全体の生産性を決定するようになりました。
職務分析や労働科学が注目され、標準作業手順や職能賃金制度が確立されていきます。

人事2.0(職能資格制度)昭和50年頃から

  • 楠田丘氏発案による能力評価に基づく「職能資格制度」

  • 職務を定義しない「無限定社員」が定着し、低労働生産性の根源に

  • 能力評価の基本がなっておらず、「暗黙の契約」である年功序列の温床に

  • 右肩上がりの経済成長が、精度の根源的欠陥を糊塗してくれた

人事2.0では、情報化社会の到来により、「人事情報システム」が導入され始めました。
労務管理の効率化が進み、よりシステマティックな人事管理が可能になります。

人事2.1(職能資格制度に方針管理を取り入れる)平成元年頃から

  • 日科技連が、経営の大きな方針を、各自の成果として取り込む手法として開発

  • 欧米の成果主義の潮流に近づけるための手法で、MBOより優ると標榜

  • 日頃の最も重要な責任が成果評価の対象とならず、放置されることしばしば

  • 成果主義を導入したつもりが、職能資格制度の組織文化は全く変わらず

さらに進化した人事2.1では、人事管理システムが導入され、戦略的な人事管理が行われるようになりました。
パフォーマンス管理や人材開発が重要視され、個人の能力を組織の成功に直結させるための方法論が発展しました。

人事3.0(欧米流の機能しなかった成果主義人事制度)平成5年頃から

  • 欧米の人事の標準であるジョブ型・成果主義を取り入れる試み

  • 契約社会でない日本に「契約」を持ち込むも、「暗黙の契約」が生き続ける

  • 責任体制の明確化のための「契約」の言語化に膨大なコストがかかる

  • 制度としては良いが、使いきれず、定着するに至らず

人事3.0は、経済のグローバル化や多様な働き方が登場する中で、戦略的な人事管理が一層重要となります。
個々の社員が持つ多様性を活かし、組織全体の競争力を高めることが求められました。

AI人事4.0™(世界標準にHR Techを用い機能する成果主義人事制度)令和元年から

  • 人事3.0を抜本的・飛躍的にイノベート

  • 成果と能力をバランスよく、かつ公正に評価する世界標準の人事制度

  • 日本人の苦手な「言語化スキル」をAIで的確にサポートし、導入工数を削減

  • クラウドにより、導入・運用の難しさ、煩雑さを各段に改善

そして最終的に、現在私たちが目の当たりにしているAI人事4.0™では、ビッグデータやAIなどのテクノロジーが人事業務に革命をもたらしています。
従来のアナログな手法とデジタルテクノロジーが融合し、人事はより戦略的でデータドリブンなアプローチを取り入れることができるようになりました。
これにより、社員一人ひとりのポテンシャルを最大限に活かしつつ、組織全体としての成果を最適化していくことが可能です。

人事制度の歴史を通じて、私たちは一つ確かなことを学びます。
それは、時代とともに人事の役割は常に進化し、変化してきたということです。
この歴史的な視点を踏まえ、現在の人事が直面している環境について深掘りしていきます。

人事の取り巻く環境

がんじがらめ

「点」ではなく「面」で物事をとらえる思考が必要

人事が企業経営の中で果たす多次元的な役割を、この図で視覚化してみました。
「ヒト」「経営」「法律」という三つの要素は、人事の職務が単に社員の採用や教育に留まらないことを示しています。
企業の戦略的な目標達成や、複雑な法的要件への対応、そして倫理的な職場の維持といった、幅広い分野が人事の責任範囲に入っています。

特に注目すべきは、これら三つの円が重なる部分で、ここに「IPO」という面が追加されています。
IPO、つまり企業の株式公開は、一企業の大転換期であり、人事にとっては特に重要な時期です。
この時期、人事が直面する課題は多岐にわたりますが、同時に行動範囲は特定の制約により狭くなる可能性があります。
このような状況下で人事が如何にして価値を提供し続けるかは、常に問いかけたいですね。

「IPOで人事ができる幅は狭くなるのか?」
「そんなことはないよね!!」

人事におけるIPOとは、人事が達成すべき目標や取り組むべき課題が集約され、非常に焦点を絞ったアプローチが必要であることを示唆していることだと考えます。
人事は経営戦略を具現化するためのキープレイヤーであり、組織がこの重要な節目を乗り越えるためには、法規制の枠内で最適な人材配置や経営目標に沿った人材開発を実施する必要があるでしょう

この図を通じて、人事が単に「人」の管理だけでなく、経営戦略の実行と法的枠組み内での操作においても中核的な役割を担っていることを理解しなくてはならないと考えます。
次は、これらの複雑な要素をどのように具体的な人事業務に落とし込んでいくかを見ていきます。

5つの具体的な人事業務

人材採用業務

採用プロセスは、企業の成長を支えるための重要なステップです。
まず、採用計画を立て、必要な人材の要件を明確にします。
その後、求人広告を出し、応募者を集めます。
書類選考では、応募者の履歴書や職務経歴書を詳細に確認し、面接を通じて適性やスキルを評価します。
最終的に、採用・不採用の判断を行い、結果を応募者に通知します。
採用が決まった場合は、入社までの手続きや必要な連絡をスムーズに進めます。

人事評価業務

人事評価は、従業員の勤務態度、能力、実績を客観的に評価するための基準を設けるプロセスです。
評価制度を策定し、定期的に従業員のパフォーマンスを評価します。
この評価は、昇進や昇給、配置転換の判断材料となり、従業員のモチベーション向上にもつながります。

人材配置業務

人材配置は、企業の目的や施策に合わせて従業員を適切な部署やチームに配属するプロセスです。
新入社員の配置だけでなく、既存社員の異動や役職変更も含まれます。
これにより、組織全体の効率性を高め、従業員のスキルを最大限に活用することができます。

人材開発業務

人材開発は、従業員のスキルや能力を向上させ、組織全体のレベルアップを目指す施策です。
研修やトレーニングプログラムを実施し、従業員が成長できる環境を整備します。
これにより、個々のパフォーマンスが向上し、組織の競争力が強化されます。

労務管理業務

労務管理は、従業員が働く上で必要なデータ管理や手続きを行う業務です。
社会保険や年金の手続きは、期限やルールが厳格に定められているため、正確なスケジュール管理と専門的な知識が求められます。
また、勤怠管理や給与計算を通じて、従業員が安心して働ける環境を提供します。

これらのプロセスを通じて、人事部門は企業の成長を支え、従業員のモチベーションを高める重要な役割を果たしています。
次は、これらの責務を担う人事専門家に求められる資質とスキルセットについて掘り下げていきます。

人事に向いている人・求められる能力

特性と能力

人事部門において成功するためには、特定の資質とスキルが重要になります。
人事に適している人は、組織の微妙なニュアンスを読み取り、必要な情報を敏感に察知できる人です。
彼らはコミュニケーション能力に長けており、様々なステークホルダーとの信頼関係を築くことができます。

そういう意味では、私はそういったパーソナリティではないと感じています。。。

このような人々は、柔軟性と調整力を活かして変化する環境に適応し、問題が生じたときには創造性豊かな解決策を提供することができます。
そして、彼らは実行力があり、任務を迅速かつ正確にこなすことができるだけでなく、戦略を立て、それを計画的に遂行することも得意です。
情報を分析する力と、変わりゆく状況に柔軟に対応できる力も不可欠です。

こういう意味では、私はそういったパーソナリティを持っています笑

また、これらの専門的なスキルと共に、人事担当は職場環境の健全性を保つための重要な責任を負っています。
これには、職場でのハラスメントを未然に防ぐための意識と敏感さも含まれますが、この役割はさりげなく、しかし確実に人事の職務の一環となっています。

ここで取り上げた資質と能力を持つ人事のプロは、組織の戦略的目標達成のための鍵となる人材です。
次では、私が個人的に考える人事担当が守るべき基本ルールについて解説していきます。

人事の基本ルール4つ

基本の4原則

これまでまとめた話を踏まえて、四つの基本ルールが人事業務の礎となると考えています。
これらのルールに従うことで、社員一人ひとりの信頼を築き、組織としての強固な基盤を維持することができるハズです。

秘密を守る

人事としての一丁目一番地の責務は、情報の安全と秘密を守ることです。
プライバシーの保護と機密情報の安全な管理は、信頼ある職場環境を作り上げるために必要不可欠です。

公平・透明な対応

絶対的に秘密を守る上で、公平性と透明性を持って行動しなければなりません。
これは、偏りない目で各個人を評価し、正当な報酬と機会を保証することを意味します。
(参考:公平と平等と公正の違い

学び続ける

加えて、労働市場の変化に応じてスキルを常に更新し続ける姿勢も重要です。
新しい学びを受け入れ、専門知識を最新の状態に保つことで、組織と個人の成長に貢献できます。

社員の成長と組織の発展

最後に、私たちは社員の個人的な成長を支援することで、組織全体の発展を促進します。
個人がその能力を最大限に発揮できるようにすることで、組織はその真のポテンシャルを発揮することができます。

これらの原則は、人事担当が日々の決断を下す上で指針となり、人事部門が企業理念に沿った行動を保証するための基準になると信じています。
次は、社員がどのようにして自己成長と組織発展の両立を図っていくかをさらに詳しく考察します。

人事として従業員教育の目指したい姿

3人のレンガ職人

イソップ寓話?「3人のレンガ職人」の話

組織における人事教育は単なるスキルの習得にとどまらず、社員の心理的な成長にも重点を置きたいと、考えています。
この考えは、イソップ寓話()の「3人のレンガ職人」から得られる教訓に基づいているので、軽く紹介します。

中世のとあるヨーロッパの町。

旅人がある町を歩いていると、
汗をたらたらと流しながら、重たいレンガを運んでは積み、
運んでは積みを繰り返している3人のレンガ職人に出会いました。

そこで旅人は「何をしているのですか?」と尋ねました。
すると、その3人のレンガ職人は次のように答えました。

1人目は、
「そんなこと見ればわかるだろう。親方の命令で“レンガ”を積んでいるんだよ。
 暑くて大変だからもういい加減こりごりだよ」と答えました。

2人目は、
「レンガを積んで“壁”を作っているんだ。
 この仕事は大変だけど、金(カネ)が良いからやっているのさ」と。

3人目は、
「レンガを積んで、後世に残る“大聖堂”を造っているんだ。
 こんな仕事に就けてとても光栄だよ」と。

まず、最初の職人はただ単に「レンガを積んでいる」と自分の仕事を捉えています。
希望・夢・志などの使命感はまったくありません。
ただ言われたからやる。言われなければやらない。
ただ“レンガ”しか見ていません。
作業としての仕事、労役としか感じていません。
この視点は仕事を単なる作業として見ることを示しており、業務の基本的な遂行に重点を置いています。

二番目の職人は、自分が「教会を建てている」と理解していますが、“お金を稼ぐため”に否応なしに働いています。
“壁”しか見えていません。
「もっとお金になる仕事はないか」と頭の中はそれしかないでしょう。

そして三番目の職人は、「後世に残る歴史的事業に参加して町中の人を笑顔にするため」
という志を抱き、明確な目的意識を持って働いています。
100年以上先に完成する“大聖堂”建設のため、仕事を“使命”と感じています。
これは仕事をもっと高い意義と関連付け、より深い満足とモチベーションを生み出す視点です。

これらの視点は、教育プランにおいて、社員が単に技術を学ぶだけでなく、仕事に対する意義と情熱を持って取り組むための意識変革を促すために重要です。
社員に自分たちの仕事が組織全体にどのように貢献しているか、そしてそれが個人の価値観や目標にどう結びつくかを理解させることが、人事教育の核心でしょう。

この視点を理解し育むことで、社員一人ひとりがより充実した職業人生を送り、組織全体の成長と成功に寄与することを目指しています。
次は、人がどのように成長していくかを深掘りしていきます。

人の成長のメカニズム

成長曲線

このグラフは、人の成長のメカニズムを示しており、それは個人の職業生活における成長と成功への道のりを図解しているものです。

成長の旅は、基本的なスキルを習得する「スタート地点」から始まります。
これは、新しい社員が入社して初めての仕事に取り組む段階を表しており、基礎知識と業務遂行能力を身につける時期です。
次の段階は「成功体験」で、ここでは社員が仕事で初めての大きな成果を挙げ、自信をつける経験をします。
これは、個々の能力が認識され、評価される重要な瞬間です。

その後、「スキルの向上」と「成功体験の積み重ね」により、社員はより高度な課題への取り組みと、新たな責任を担う準備を整えます。
これには、より複雑なプロジェクトへの参加や、リーダーシップの発揮などが含まれます。

最終的に、社員は「スキルの習得」と「成功体験の積み重ね」を通じて、「成熟した職人」へと成長します。
これは、その分野での専門家として認められ、組織にとって重要な資産となる段階です。
組織内での影響力と専門性をもって、組織のさらなる発展に寄与するようになります。

この図は、教育とキャリア開発が継続的なプロセスであることを強調しており、人事はこのプロセスを支援するために、教育プログラム、メンタリング、キャリアパスの機会を提供する役割を担います。
次のスライドでは、これら人の成長を支援する活動がどのような体制で実現していくのかを考察します。

人事における3ピラーモデル

人事は、3つのピラーモデルに基づいて戦略的な人材管理を実行しています。
このモデルは、人事の機能を特化させ、効率性と専門性を高めることを目指しています。

HRBP(Human Resource Business Partner)

  • ビジネスリーダーと事業戦略に沿った人材戦略を立案

  • 人材戦略に則った採用方針策定

  • 人材育成の計画・実行

最初のピラーは「HRBP (Human Resource Business Partner)」です。
HRBPは、ビジネスリーダーと密接に連携し、組織にとって不可欠な人材戦略の立案と実行に責任を持ちます。
彼らは、事業の目標達成に貢献するための人材計画と関連施策を策定し、部門のリーダーたちと協力しながら、人材の発展と組織の目標を同期させます。

CoE(Center of Excellence)

  • 評価制度、報酬制度などの各制度の構築

  • 研修プログラムやトレーニングの開発

  • 人事システムの設計と開発

  • ダイバーシティ&インクルージョン

次のピラーは「CoE (Center of Excellence)」で、特定の人事分野の専門知識と最良の実践を提供します。
CoEは、人事ポリシー、人材開発プログラム、報酬戦略など、人事の各専門領域における知識と技術を組織全体にわたって支援し、人材管理の質を高めます。
さらに、ダイバーシティとインクルージョン(D&I)のような重要なイニシアチブをリードし、文化的価値を育成します。

HRSS(Human Resource Shared Service)

  • 給与計算や福利厚生などの業務を担当

最後のピラーは「HRSS (Human Resource Shared Service)」であり、日常的な人事業務と従業員へのサービスを担います。
HRSSは、従業員の福利厚生管理、給与計算、人事データ管理といった、繰り返し発生するトランザクションを効率的に処理することを目的としています。

この3つのピラーは、総括的な人事戦略の下で協力し合いながら、会社が組織として競争力を持続し、従業員が個人として成長を遂げることを支援します。
人事の役割と現在の立ち位置を理解することで、組織は変化に対応し、将来に向けて人材を育成するための戦略を実施できるのです。
次は、これらのピラーモデルが実際の業務にどのように反映されているかについて、さらに詳しく展開していきます。

人事の役割とは?

役割の根幹

人事の役割は、組織の成功を支える根幹であり、その範囲は戦略的な計画から日々の操作に至るまで多岐にわたります。
HRBP、CoE、HRSSの3つの柱から成り立っているこのモデルでは、各部門が特定の専門分野に焦点を当てながら、組織の幅広い目標を支援しています。

これらの部門は、最終的にCHRO(最高人事責任者)によって統合されます。
CHROは、組織の人事戦略がビジネスの目標と一致していることを保証し、全体的な人材マネジメントに対する方向性と調整を行います。

このモデルは、人事が単なるサポート機能にとどまらず、組織の戦略的パートナーとしての役割を果たすことを示しています。
個々の従業員が成功を収め、組織が成長を遂げるための、人的資源の管理と開発において、人事は中心的な役割を担っているのです。
次は、人事がどのようにして企業文化を形成し、従業員のエンゲージメントとパフォーマンスを高めるための活動を行っているかを詳細に説明します。

戦略的な人事としてデータドリブン型へ

データ活用

データドリブンアプローチが戦略人事に不可欠であり、間違いなく、組織の成長に貢献する

  • 現代ビジネスでは、データに基づいて戦略的に人事管理することが重要

  • 直感ではなくデータに基づく意思決定で、客観性と効率を確保

  • 客観的な意思決定、効率性の向上、将来予測の精度向上

組織の人事をデータドリブンなアプローチで運営することは、現代の戦略人事の核心を成すものだと確信しています。
このアプローチは、従業員の経験と組織の成長の両方を定量的な洞察に基づいて管理し、最適化することを目的としています。

このプロセスは「データ収集」から始まります。
ここで人事は従業員のパフォーマンス、スキル、経験、満足度などのデータを集め、それをもとに従業員のキャリアパスや組織の成長戦略を理解しやすくします。
続く「データ分析」の段階では、収集したデータをもとに、組織内のトレンドやパターンを発見し、問題点や機会を特定します。

「プラン策定」では、この分析から得られた洞察を活用して、戦略的な人事計画を立案します。
これには、従業員の成長プラン、配置の最適化、研修と育成プログラムの展開などが含まれます。
こうして策定されたプランは、組織のビジョンに貢献し、従業員のエンゲージメントと成長を支援するために、実行段階に移ります。

このデータドリブンのアプローチは、経営層にとっても、正確な情報に基づいて意思決定を行い、リソースを効果的に割り当てるための基礎となります。
データは戦略人事の言語であり、その使用法をマスターすることで、人事は組織の成果を形成し、競争力を持続的に向上させることができるのです。
次は、このデータドリブンアプローチがどのように人事の成長に繋げていくかを、より具体的に見ていきます。

戦略的な組織としてスキルベース型組織へ

スキルベース型組織とは
  • メンバーシップ型→ジョブ型→スキルベース型

  • データドリブン人事×生成AIの融合

現代のビジネス環境では、組織はメンバーシップ型からジョブ型へ、そしてジョブ型からスキルベース型へと進化しています。
スキルベース型組織は、従業員のスキルを最大限に活用し、企業の成果を向上させることを目指しています。
このアプローチは、データドリブンな人事と生成AIの融合により、さらに強化されています。

人事の最終キャリアは?

ここまで「人事とは?」を深掘りしていきましたが、人事のトップを上るために目指すべき最終キャリアを考察します。

CHRO


CHRO(Chief Human Resource Officer)

  • Chief Human Resource Officerの略 = 「最高人事責任者」

  • CHRO ≠ 人事部長 = 「経営に関与してない」

<役割>

  1. 人事視点の経営サポート

  2. 人事施策の進捗管理

  3. 社員の育成方法の構築

  4. 評価制度の構築

  5. 企業ビジョンや理念の浸透

CHROは、組織の人的資源の全般にわたる戦略的な活動を指揮する中核的な役割を果たしています。
この役割は、組織のビジネス目標と人的資源戦略の間に架け橋を築き、ビジネスリーダーと協力して、経営戦略と人事戦略が一致するよう努めることから成り立っています。

CHROは、組織内の人的資源に関わる重要な意思決定プロセスにおいて中心的な役割を担い、人材の採用、育成、評価、報酬、そして組織の文化や従業員のエンゲージメントに至るまでの幅広い範囲に影響を及ぼします。
彼らは、組織の成長と変革を促進し、変わりゆくビジネス環境の中で、組織と従業員が共に成功するための環境を提供するために、日々活動しています。

CHROのもと、人事部門は組織の成果に直接寄与するために、戦略的な人材管理計画の進捗を監視し、必要に応じてその戦略を調整します。
これには、従業員が自身のスキルを最大限に活かせるように支援すると同時に、組織の目標達成に必要な人材配置や人材育成のプログラムを策定することが含まれます。
また、パフォーマンスの評価と報酬システムを公正かつ透明な方法で運営し、企業文化の強化と従業員のエンゲージメントの向上にも注力します。

これらの活動を通じて、CHROは組織のビジネス戦略と人的資源戦略が完全に統合され、従業員と組織が最大の潜在能力を引き出せるように努めています。

人事として「今」気になるワード

①VUCA

VUCA

VUCA(ブーカ)とは?
V:Volatility(ボラティリティ)=変動性
U:Uncertainty(アンサーテンティ)=不確実性
C:Complexity(コンプレクシティ)=複雑性
A:Ambiguity(アンビギュイティ)=曖昧性

VUCAは元々、冷戦終結によって従来の核兵器ありきの戦略から不透明な戦略へと変わった1990年代の状態を表す軍事造語でした。
その後2010年代に入り、新型コロナウィルスや台風などの疫病・災害、AIの急速な進化など、社会の変化を予測しづらい昨今、もはや将来がどう変化していくかは、全く予測できない不確実な社会情勢を指して、VUCAという言葉が転用されるようになったのです。

②OODAループ

PDCAサイクル→OODAループへ
O:Observe(オブザーブ)=観察
O:Orient(オリエント)=適応・見定め
D:Decide(ディサイド)=決定
A:Act(アクト)=実行

刻々と変化する情勢に臨機応変に対応しやすい思考法。
アメリカ空軍において、縦型組織では対応しづらいテロへの対策のため、指揮官の命令がなくても現場の兵士が自分で状況を見定めるための戦略法として提唱されました。
情報を収集して市場などの動向を観察、現在何が起こっているのかを見定め、見定めた内容をもとに仮説と解決策を立て、最適な解を選択して実行していくのがOODAループの一連の流れになります。

③Engagement

エンゲージメント

エンゲージメント(engagement)とは、そもそも「契約」や「約束」といった意味を持つ言葉で、
人事領域においては従業員に対する「愛着心」「思い入れ」といった意味で使用されており、すなわり「会社と従業員が相互に信頼関係を持っている度合」を指します。
会社と従業員が相互に信頼関係を持つことは、従業員同士の縦と横の双方の関係が円滑になるとともに、従業員が「会社の成長に貢献したい」という気持ちで企業に在籍する状態となります。
従業員のエンゲージメントが向上すると会社に貢献したいという思いが強くなるため、売上や利益の向上が望めますし、これにより離職率も低下する可能性が高くなります。
離職率が低下すると採用コストを抑えることができ、その抑えた費用を社員に還元をすればさらにエンゲージメントの向上が期待できるでしょう。

近年、エンゲージメントが人事領域で注目される背景には、日本の人事制度の変化があります。

その①人材の流動化
終身雇用や年功序列といった従来の人事制度から成果主義型の報酬制度へ移行する企業が増え労働者側はより良い環境を求めて転職をするようになりました。
こうした背景から長期的な業績向上を目指す人事施策の重要性が認知されるようになりました。
優秀な社員ほどそれを感じやすくなるためそういった組織の構築に欠かせないのがエンゲージメントとなります。

その②エンゲージメントが高い組織は生産性が高い
人材コンサルティングを行う株式会社リンクアンドモチベーションと慶應義塾大学の共同研究によると、エンゲージメントが高い組織は営業利益率および労働生産性にプラスの影響をもたらすことがわかりました。
そのためエンゲージメントの高い組織を構築できれば、人材は組織に定着し、長期的に企業の業績や生産性の向上が期待できます。
個人と企業、双方の成長に貢献するエンゲージメントは、人材流出が課題となる現状において、重要な経営戦略の一つになっています。

エンゲージメントが高い状態は、次のような点がポイント
・従業員が仕事に対して貢献したいと思う意識がある
・従業員が会社と仲間を信頼できている
・従業員が会社のビジョンやあるべき姿に共感/理解している
・従業員同士のコミュニケーションが円滑になっている
・会社が各従業員の成長を大切にしている

従業員エンゲージメントを高める、さまざまな方法
・社内イベントの開催や表彰によるやりがいの創出
・働やすい職場環境作り
・目指す姿の共感
・社員の成長の支援
・サーベイの活用
【エンゲージメントサーベイの質問項目例】
「仕事上で、自分に何が期待されているかを理解している」
「自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている」
「仕事をする上で、もっとも得意とすることを行う機会を毎日持っている」
「最近1週間で、良い仕事をしていると認められたり、褒められたりした」
「上司または職場の誰かが自分を一人の人間として気遣ってくれる」
「仕事上で、個人の成長を応援してくれる人がいる」
「仕事上で、自分の意見が頼りにされていると感じる」

各種まとめ

人事の役割は多岐にわたり、以下の要素が重要です。
採用:組織に迎え入れられる適切な人材を見つけなければならない
育成:社員のスキルと能力を向上させなければならない
評価:公平かつ効果的な評価システムを構築し、運用しなければならない
配置:個々の強みを活かせる適材適所の人員配置を行なければならない
労務管理:労働環境の整備と法令遵守を徹底しなければならない
組織開発:企業文化の醸成と組織の成長を促進しなければならない

結論

人事は、企業の成長と発展を支える戦略的かつ不可欠な機能です。
単なる管理業務や事務作業にとどまらず、組織の未来を形作る重要な役割を担っています。
人事部門は、個々の従業員の潜在能力を引き出し、それを組織の目標達成に結びつける橋渡し役として機能します。

適切な人材の採用から、効果的な育成プログラムの実施、公平な評価システムの構築、戦略的な人員配置、そして健全な労務管理に至るまで、人事の責務は多岐にわたります。
さらに、組織文化の醸成や従業員エンゲージメントの向上など、目に見えにくい部分でも重要な役割を果たしています。

これらの活動を通じて、人事は企業の競争力強化と持続可能な成長に直接的に貢献します。
急速に変化するビジネス環境において、柔軟かつ戦略的な人材マネジメントは、企業の成功を左右する重要な要素となっています。
したがって、人事は経営戦略の中核を担う存在として、今後ますますその重要性が高まっていくと確信できます。

感想

この記事を作成するに当たって、人事の仕事がすごく大切で奥が深いことがわかりました。
人事とは、単なる管理ではないと肌で感じていましたが、会社を成長させる大事な役割なんだなと再認識しました。

特に印象に残ったのは、人材を活かすという考え方です。
社員一人一人の良いところを見つけて、それを会社の力にしていくのは難しく、そのアプローチ方法は千差万別であると感じています。

会社と社員の両方にとって良いことを考えるのも、人事の大切な仕事です。
業務をこなしている今でも、会社と社員の希望が違うことが多々ありますが、そんな時にうまく調整することこそが人事の本懐なのだと痛感しています。

それから、人事のみならず、人は常に新しいことを勉強し続けないといけないと感じており、とはいえその中でも人事業務に携わる者は、常に新しい知識を吸収し続ける必要性を強く感じました。
他の部門にも良い影響を与えるためにも、継続的な学習と適応の姿勢を見せ続けなければならない(背中で語る)かと思います。

人と組織を結びつけ、両者の成長を促進する人事の役割は、ビジネスの成功に不可欠であり、同時に非常にやりがいのある仕事だとは感じています。
だからこそプレッシャーも強く、人間としての軸・人事としての軸をしっかりキープしておかなければ、各部門からの圧迫や世間の荒波に流されてしまうものだと確信しています。

「自分の軸」というのは、自分の中で一番弱い部分(今までないと思ってた)なので、次は何があっても軸をキープし続ける人間力を養うために、しっかりと自分の中の軸をしっかり見定める旅に出ようと思います。

ここまでの長文を見ていただいた方々は本当にありがとうございます。
とりとめのない話と、拙い文章で、別に何かを伝えたいために作成した記事ではなく、ただただ自分の中の「人事」を整理するために書き上げました。
逆に、世界のどなたかの「人事とは?」の整理や、自身のモチベーションアップや、方向性の発見等、何かポジティブな要素に繋がればとてもとても嬉しいです。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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