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これからの、小売の話をしよう。

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ショップは、ただモノを"売る"だけの場所ではなくて。そしてお客様は"買ってくれる"だけの相手でもなくて。明日がくるのが楽しみになるような、そんなショップがそこら中にある世界につい… もっと読む
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#百貨店

百貨店は出版社化する

百貨店は出版社化する

店舗はメディアになる。
これは約10年前、百貨店に勤務しながら自分の肌で感じたことだった。

『買う』だけなら検索から決済までオンラインで完結する時代、人がわざわざ店舗に足を運ぶ理由はそのキュレーションとコミュニケーションから生じる新たな学びに集約されると考えたからだった。

だからこそ、当時から私は『なぜモノを"売る"ことに固執しなければならないのだろう』と疑問を持っていた。

モノを売ってその

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百貨店の役割の変化

先週末、ちょうど新宿で用事があったので久しぶりに伊勢丹に行ってきました。

たまにしか行かないエリアまで足を伸ばすときはなるべく意識してその土地のお店を回るようにしているのですが、やはり伊勢丹は他の百貨店と比べても『百貨店』では括れない強さがある、と改めて思いました。

他の店舗では見ないような世界観のゾーンや商品が豊富に揃っており、最大公約数的ではない見せ方ができるは、パッケージとして完成されて

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「うつわ」は変わる。でも、必要とされる「役割」は変わらない。

「うつわ」は変わる。でも、必要とされる「役割」は変わらない。

普段ニュースを見ていると、やれ小売業の不振だ、出版不況だという暗いニュースがたくさん目に飛び込んできます。

他にも、大企業の給与カットや早期退職、業績不振による事業譲渡などの話題も度々目にします。

しかし、かたや私が日頃仕事をしているコミュニティ内では、誰かが起業したり、新しいブランドを立ち上げたり、Webメディアを軸に新しい雑誌を創刊したり、というニュースもよく見聞きします。

つまり、世の

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日本が「世界のデパート」を目指すべき理由

その国の特徴を表すとき、よく「世界の◯◯」という言い方をします。

中国であれば「世界の工場」、アメリカであれば「世界の警察」、古くはイギリスが「世界の銀行」と呼ばれ、今はスイスがそう呼ばれているように、グローバルで見たときにどの分野で一番秀でているのかが端的に理解できる表現だと思います。

日本が今現在他国から何と呼ばれているのかはよくわからないのですが、今後に関して言えば私は「世界のデパート」

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地方の百貨店に見る新たな商機

おととい、ずっと楽しみにしていたストライプインターナショナルの石川さんとのトークイベントを開催しました。

石川さんのお話は最新の中国の動向や決済サービス、AI、残業のない組織を作るための具体的なステップ、ホテルやライブハウスといった「体験」を重視する理由まで幅広く、私自身とても楽しみながらお話を伺いました。

どのテーマもひとつひとつ記事が書けるくらい学びの多い、濃い時間だったのですが、個人的に

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百貨店化する雑誌と、雑誌化する百貨店

百貨店化する雑誌と、雑誌化する百貨店

百貨店の中の人だった時代から「百貨店の最大のライバルは雑誌である」と主張して「はぁ?」と言われていたけれども、ここ数年で一気に両者の領域が近づいてきているように思います。

「これからもっと必要とされる、"バイヤー"という仕事。」でも、バイヤーの仕事は編集者兼営業職であると書きましたが、編集者はそのまま雑誌の作り手の仕事だし、彼らも新しいトレンドを探すために熱心に足を使って営業しています。

つま

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