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読書感想文

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ネタバレありです。
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#読書感想文

「熊」(フォークナー)

 印象に残ったところは、

 という文です。1940年代のアメリカでこういった文を掲載できているところがアメリカらしいところだと思います。人種差別があっても表現の自由は担保されていると感じられます。

 6年間猟師の修行をしてたくましくなった「彼」と「オールド・ベン」と呼ばれる熊の話です。言い回しや表現がとても難しい。なんども読んでいるうちに面白くなってきます。自然に対する考え方を問われているよう

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「青い犬の目」(ガルシア・マルケス)

あらすじ

 語り手は思い出して「青い犬の目」と言うと、「彼女」との会話が始まりました。

 数年前から夢の中で出会っていて、スプーンが落ちると夢が終わってしまいます。次に夢が始まるときには、語り手はまた以前のことを思い出しながら始まります。

 語り手は「明日は君がわかるよ」と言いました。しかし、「彼女」は顔を翳らせて「あなたは夢のことを覚えていないただ1人の方なんですもの」と言いました。

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「火曜日の昼寝」(ガルシア・マルケス)

あらすじ

 汽車は果てしなく広がるバナナ園に入りました。バナナ園の他には労働者の住宅も見えます。汽車の3等席に座っているのは喪服を着た親子の2人だけです。

 女の子は初めての旅で、女は母親にしては年を取っているようにみえます。仕草からは貧しい生活が伺えました。昼ご飯を食べていると、バナナ園を通り抜けて乾燥地帯に入っていました。降りる駅まで近いようで、母親は子供に準備を促しました。

 人けのな

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「造花の薔薇」(ガルシア・マルケス)

あらすじ

 ある朝、ミナは着ていく服乾いていなかったのでミサに行くことができませんでした。服は昨日のうちに祖母が洗ってしまいました。

 ミナは復活祭に使う造花を作り始めました。そこへトリニダードが来て、仕事に加わりました。
 トリニダードにもミサに行かなかった言い訳をしながら仕事をこなしました。

 トリニダードが帰ってからミナは祖母からよそ者と仲良くならないようにと忠告されます。さらに夜中に

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「大きな翼を持った老人」(ガルシア・マルケス)

あらすじ

 ペラーヨは家の中でたくさんの蟹を殺したので海に捨てにいかなければならなかった。蟹を捨てて返ってくると老人が倒れていました。曽祖父を思わせる雰囲気があり、隣家の女も呼びました。

 倒れていた老人は天使でした。雨に打たれて体調を崩していたようです。瞬く間に天使がいることが広まってしまい、サーカスの見世物のように人が集まっていました。

 やがてペラーヨと妻のエリセンダは天使を見物に来る

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「第三のあきらめ」(ガルシア・マルケス)

あらすじ

 冷ややかで垂直に切り落とすような音がしています。聞き馴染んだはずの音ですが、鋭くて痛い音に感じられます。

 その音は頭の中で響き、「彼」はどうにもできません。「彼」は精神的に生きているものの、身体は動かすことができません。7歳のときに身体が動かなくなってから18年間、棺の中に安置されていました。

 「彼」にとって音よりも恐ろしいものはネズミです。ネズミは棺の中に入り込み、「彼」の

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「流刑地で」(フランツ・カフカ)

あらすじ

 将校はよく知っているはずの装置を奇妙な装置と旅行者へ言いました。旅行者は装置には興味がありません。将校が説明している装置は、刑を執行するための装置です。針によって身体に罪状を刻み込むようになっています。

 装置はところどころ部品が悪くなっています。管理がずさんなことに将校は不満を持っていて、立場を良くするために協力してほしいと旅行者に持ちかけます。しかし、非人道的な刑だと感じた旅行

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「判決」(フランツ・カフカ)

あらすじ

 若い商人のゲオルグ・ベンデマンは自分の部屋で外国への友人に宛てた手紙を書き終えていました。その友人はロシアのペテルスブルクで商売をしていますが、あまりうまくいっていないようです。

 ゲオルグは友人への気づかいから、故郷に帰ってきたほうが良いのではないかと伝えたいと思っています。しかし、友人を傷つけたくないゲオルグはとりとめのないことを書くにとどめていました。

 ゲオルグは友人への

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「最初の苦悩」(フランツ・カフカ)

あらすじ

 ある空中ブランコ乗りは、1日中ブランコの上で生活するようになっていました。同僚が気にしていたことは他の演目のとき、彼に目線が行くことがあるくらいです。サーカスの幹部も許していました。

 どうしても移動の時間はブランコから降りなければいけません。移動中はできるだけ早く目的地につくようにしていますし、汽車に乗っているときは網棚ですごします。

 あるとき、興行主とブランコ乗りが汽車に乗

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「皇帝の使者」(フランツ・カフカ)

あらすじ

 「皇帝」から「君」あての伝言を伝えるために使者を走らせます。使者は力強く、疲れを知りません。もし彼の前にひろびろとした野原が広がっていたならどれだけ早く「君」のもとへたどり着いただろうか。そんなことにはならず、いつまでたっても宮殿の外にも出られません。仮に宮殿の外に出られたとしても、首都を通り抜けなければなりません。誰も死者の便りを携えて駆け抜けることなどできはしません。

感想

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「変身」(フランツ・カフカ)

あらすじ

 ある日、グレゴール・ザムザという青年が目を覚ますと巨大な毒虫になっていました。最初は夢だと思い、眠ろうとしますがうまくいきません。時計を見ると出張の出発時間を過ぎていました。部屋の外では家族が心配して声をかけに来ています。グレゴールが部屋の外に出るとパニックになりました。

 虫になってからグレゴールは自室の中でひっそりと暮らしていました。部屋の壁や天井を這い回るようになったグレゴー

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「早すぎた埋葬」(エドガー・アラン・ポー)

あらすじ

 話としてはおもしろいが、小説にするにはおぞましすぎる題材があります。例えばリスボン大地震やロンドンの黒死病。歴史上有名な惨劇ではありますが、語り手は究極の苦悶は「生きたまま埋葬される」ことだと言います。

 医師の誤診などが原因で実際に「生きたまま埋葬される」ケースが存在します。語り手は誰にも知られること無く、時間をかけて苦しみながら死んでいくこんなことが自分にも起こり得ることがとて

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「落とし穴と振り子」(エドガー・アラン・ポー)

あらすじ

 「私」は異端審問を受けて死刑を宣告されました。眼の前の蝋燭が消えた瞬間、意識を失ってしまいました。

 気がつくと真っ暗な牢獄に入れられていました。「私」が牢獄の中を探っていると再び意識を失ってしまいました。

 次に目覚めたとき、「私」の傍には水とパンが置かれていました。食事をとったあと、再び調べていたときに転倒してしまいます。顔が床に当たらなかったことで、大きな穴が空いていること

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「ウィリアム・ウィルソン」(エドガー・アラン・ポー)

あらすじ

 「ウィリアム・ウィルソン」という人物は過去の悪名によって破滅の道を歩んでいます。

 彼の回想が学校生活の頃の出来事から始まります。厳格な教師のいる学校で、彼は中心人物になっていました。時が経つと周囲の生徒を支配するようになっていましたが、一人だけ思い通りにならない人物がいました。それはウィリアム・ウィルソンという、名前、姿、行いもそっくりな同級生でした。

 恐ろしくなって学校を抜

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