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獣になれなかった22歳の私

獣になれなかった22歳の私

トップ画は絶対に獣になれない我が家の猫だが、『獣になれない私たち』の第1話を観た。
Twitterで「ガッキーが可哀想」という感想は目にしていたものの、予備知識ゼロの軽い気持ちで観たのが失敗だった。
新卒1年目の出来事がフラッシュバックしてひどい動悸と吐き気に襲われた。
どんなに理不尽で辛い境遇でも変わらず美しいガッキーを見ながら「あぁ、これがPTSDってやつか」とぼんやり思った。

1話のあらす

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KIDSじゃなくなった私がSuchmosについて思うこと

KIDSじゃなくなった私がSuchmosについて思うこと

 平成生まれ、であることにちょっとした誇りを持っていたように思う。アルバイト先、合コン相手、就職してからは上司やクライアントから「えっ、平成生まれ!?」と驚かれるたびに、私たちは新時代の人間なんだとよくわからない特別感を抱いていた。

 しかし、平成は既に29年を迎え、平成元年生まれの私は27歳になっていた。仕事柄、年上の方と接することが多いので若手扱いされるものの、もう立派なアラサーだ。キャリア

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おんがく

おんがく

1年以上ぶりの全感覚祭はめちゃくちゃに寒くて、厚着をしてこなかった私が悪いんだけど、いつまで経っても野外ライブという気分になれなかった。去年と同じところへ同じ人と来るなんて、実はものすごい奇跡のはずなのに、そんなことどうでもよくなるレベルの寒さだった。
それでもNUUAMMのライブは素晴らしくて、子供の持つ純粋な残酷さ・暴力性みたいなものがしぼんだ心臓にあたたかな血液を送ってくれた。綿菓子の中に隠

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おばあちゃんの話

「呉ばあちゃんが、大腸に穴があいてヤバい状態です。48時間もてば乗り切れるかも…と言われました。最悪の時は、連絡します」

広島に住むオカンからのLINEは、深夜2:59に届いていた。ディスプレイの右上を見ると朝の10:10。少し遅めの、いつもどおりの日曜日が始まる予定だった。オカンに電話をすると「遠いけぇ、無理して来んでもいいよ」と言われて、おばあちゃんが倒れたときの話になった。

「おばあちゃ

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