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映画レビュー

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米国南部に残る黒人差別:映画『ゲット・アウト』レビュー(ネタバレなし)

米国南部に残る黒人差別:映画『ゲット・アウト』レビュー(ネタバレなし)

未だ人種差別的風習が残っているアメリカ南部を舞台に、鋭い風刺で観客の心をざわつかせる、ブラック・コメディ。
監督は、アフリカ系アメリカ人を父に持つ、ジョーダン・ピール氏。元々コメディアンで、これは彼の初監督作品だ。

グロテスクな映画が苦手なため普段あまり手を出さないジャンルだが、あちこちで高評価のレビューを見るもんでつい。笑

まず、まだ観ていない方々にご提案。
映画の予告編だけでもかなりのネタ

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自然のエコシステムに波乗りすべし:映画レビュー『ビッグ・リトル・ファーム』(ネタバレなし)

・ドキュメンタリーながら、話の構成が非常に巧みで、ぐいぐい引き込まれる。無駄に動物たちの映像を多用していないし、飽きさせない。前半に挿入されるアニメーションも可愛い。

・と、ここまでかいたところで、ジョン(監督)は元々プロの動物カメラマンだったことを思い出し、激しく納得。

・最近どんな映画を観ても、今のパンデミックに紐付けて悶々と考えてしまう。自然のエコシステムにおいて、どれだけ様々な生き物が

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戦争は、憎まない者同士の無意味な殺し合い:映画レビュー『彼らは生きていた』

戦争は、憎まない者同士の無意味な殺し合い:映画レビュー『彼らは生きていた』

※映画をイメージしてイラストを描いてみました。私はGoogle Play Movieで観ました。

以下、私なりの映画の感想です。
一部過激な表現もありますので、敏感な方はご注意ください。

■概要
第一次世界大戦(英仏米vsドイツ)の様子を、兵士達(主にイギリス軍)に焦点を合わせて編集されたドキュメンタリー。

■見どころ
おびただしい数の記録や資料、音声を組み合わせ、鮮やかさとリアルさを徹底的

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人間は宇宙に似ている:映画レビュー『海獣の子供』(ネタバレないつもり)

人間は宇宙に似ている:映画レビュー『海獣の子供』(ネタバレないつもり)

※漫画を読んで映画をみて、自分なりに解釈したイメージをイラストにしてみました。

叫ぼう、今は幸せと
大切なことは言葉にならない

主題歌:米津玄師「海の幽霊」より

自然への畏怖と、命の尊さ。
時が経ってまたこの作品に触れると、違うことに気づくかも知れない。

2020年に大流行した新型コロナウィルスは、私たちの生き方、考え方、全てを変えてしまった。
「当たり前」というモノは、こんなに脆いものだ

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リバー・フェニックスと資本主義と茶碗:映画レビュー『マイ・プライベート・アイダホ』

リバー・フェニックスと資本主義と茶碗:映画レビュー『マイ・プライベート・アイダホ』

■題名:マイ・プライベート・アイダホ / My Own Private Idaho
■情報:1991年 / アメリカ
■キーワード:青春、リバー・フェニックス、キアヌ・リーヴス

■あらすじ:
緊張すると倒れて眠ってしまう病気を持つ、ストリートボーイのマイク(リバー)。日々、ポートランドで体を売って、日銭を稼いでいる。
一方、市長の息子でありながら、同じく男娼をしつつ気ままに街を徘徊するスコット(

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人間はひとつの塊:映画レビュー『名もなき一篇』(藤井道人監督)【ネタバレなし】

人間はひとつの塊:映画レビュー『名もなき一篇』(藤井道人監督)【ネタバレなし】

Short Shorts Film Festival & Asia 2020 のイベントをきっかけに観ました。観ることができて本当によかったです。

https://www.shortshorts.org/2020/ja/program/seminar.php

▼予告編

▼感想

ある平凡な人生を歩む男女と、子供の頃の夢とは違う職業に着いた、ある男たち。

彼らが同時に刻む『時』を、20分間ズ

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俺が少女だった頃?:映画レビュー『プリデスティネーション』(ネタバレなし)

俺が少女だった頃?:映画レビュー『プリデスティネーション』(ネタバレなし)

※Procreateでイラストを書いてみました。

■題名:プリデスティネーション / Predestination
■情報:2014年 / オーストラリア
■キーワード:SF、タイムマシーン、タイムトラベル

■あらすじ、概要
1970年。ニューヨークのとあるバーに、男性客が一人でやってきた。
その店のバーテンダーに促され、やがてその男は、渋々、身の上話を始めるのだった。
『俺が少女だった頃…』

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