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米国南部に残る黒人差別:映画『ゲット・アウト』レビュー(ネタバレなし)

未だ人種差別的風習が残っているアメリカ南部を舞台に、鋭い風刺で観客の心をざわつかせる、ブラック・コメディ。
監督は、アフリカ系アメリカ人を父に持つ、ジョーダン・ピール氏。元々コメディアンで、これは彼の初監督作品だ。

グロテスクな映画が苦手なため普段あまり手を出さないジャンルだが、あちこちで高評価のレビューを見るもんでつい。笑

まず、まだ観ていない方々にご提案。
映画の予告編だけでもかなりのネタバレが仕込まれているので…予備知識なしで、まずは一回、観ることをオススメします!
私は幸い、動画配信サービスの説明だけ読んで観たので、結果、映画をとっても楽しめました♪(2回観ちゃった)

若干グロいシーンはあるものの、それは全体の数%に過ぎず、ミステリー8割:コメディ2割ってところでしょうか。

次に、ポスター(Amazonに飛びます)
怖さを出すためにだと思うけど、ほんとすごい顔だよね。
主役のダニエル・カルーヤさんは、『ブラック・パンサー』に、終始不機嫌そうな半目の族長(ごめんなさい)で出演されていて、もうそのイメージしかなかったので

目を見開いて涙を流すシーンには、「こ、こんな演技もできるの!俳優さんてやっぱすごい」と、惚れ惚れと見入ってしまった。(劇中ではそれどころじゃないことが起こってるんだけれども)

そして映画の内容について。
色々なところに伏線が散りばめられていて、スラングや彼らの文化をよく知っていれば、早い段階でラストの展開に気づけたかもしれない。私はほとんど気づけず、ネットで調べてもう一度映画観て「なるほど〜」と納得。

オバマ氏の後にトランプ氏が大統領になって、新型コロナウィルスが拡大しているにも関わらずBLM (Black Lives Matter) 運動が活発化して…

私はつい最近まで知らなかった。
この4年間で、元々あったアメリカ内の分断が更に進行し、今まで歴史の影に葬られてきた、差別の問題が逆に浮き彫りになってきたということ。

映画を観ていると、未だに日常的に繰り返される差別の現場に居合わせているようで、なんとももどかしい。
何もしていないのに、黒人というだけで「身分証を見せろ」と言われる。
「スポーツ得意なんだろ?ちょっとやってみろよ」とか、偏見に満ちた言葉を投げかけられる。

そんな中、主人公と同じく黒人で親友のロッドの存在が、かなり緊張を和らげてくれる。グッジョブ。

これを機会に、差別をテーマにした映画をチェックしていきたいと思う。


p.s. この記事の一番下に、注意して見るポイントを自分の備忘のためにも載せておきますが、別に読まなくても全然OKです。Enjoy!






・最初の歌①「♪Run rabbit, run rabbit, run, run, run...」→怖っ!
・最初の歌②「♪Brother...(あとスワヒリ語らしい)」
・主人公の部屋に飾られている写真(主人公は写真家です)
・オバマ大統領
・鹿
・親友ロッドと話すときの主人公の言葉遣い
・マイケル・ジョーダン
・綿
・仮面
・夜食

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