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国語不要論撲滅大作戦!

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入試問題で出題されている文章や、個人的に読んだ本などを参考に、日々の指導で思ったことを綴ります。
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2023年6月の記事一覧

空気を読みすぎる日本人【21世紀でも色褪せない「菊と刀」】

空気を読みすぎる日本人【21世紀でも色褪せない「菊と刀」】

今日の日本では、“空気”なるものが絶対的な権威をもっている。

「air」ではなく「between the lines(行間)」と訳される方の“空気”である。

KY(空気が読めないこと、もう死語だろうか)という言葉も流行したが、日本ならではの現象であるように思われる。

なぜこのような実態となっているかについては、ルース・ベネディクトが「菊と刀」で1946年に指摘している。

曰く、西洋人は自ら

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人はなぜゴキブリを怖がるのか【動物行動学に学ぶ暗黙的学習について】

人はなぜゴキブリを怖がるのか【動物行動学に学ぶ暗黙的学習について】

私が保護者の方と面談をする際によく聞くのが

「うちの子、本を全く読まないんです」

というセリフである。

以下に、子供がどうすれば本を好きになれるかについて、所感を述べておきたい。

ゴキブリはなぜ怖いのか?突然だが、なぜゴキブリは我々人間にとって畏怖の対象と対象となっているのだろうか。

ゴキブリに噛みつかれて負傷したり、ミイデラゴミムシのように高温の毒霧を噴射してきたりするというようなこと

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よく耕し、そして種をまけ【思春期に形成される文化的土壌】

よく耕し、そして種をまけ【思春期に形成される文化的土壌】

「音楽の好みは思春期に決まる」数年前にNYタイムズに掲載された記事で、印象に残っているものがある。

それは「音楽の好みは思春期に決まる」というものだ。

自分に当てはめてみても、14〜15歳の頃に聴いていた音楽はいまだに好んで聴く。

また、割と雑食的に音楽を聴いていたので、ロックやメタルなどのバンドサウンドや、エレクトロニカ、ヒップホップなど、現在でも幅広く音楽を聴いている。

一方で、クラシ

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言葉を貯める

言葉を貯める

私は普段から子供たちの触れる機会が少ない語彙をなるべく使いたいと思っている。

そもそも、語彙力がないとどのような問題が起こるのか。

塾生には話をしたが、「物が先か、名前が先か」という有名な論争がある。

名付けられることを待っている「物」が先に存在し、それに後から人間が「名前」をつけているとする考え方、これを名称目録(カタログ)的言語観という。

こちらは日常生活を送る上での実感に近いように思

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塾での「シンギュラリティ」は起こらない

塾での「シンギュラリティ」は起こらない

オンライン授業の運営を経験して先日、難関国語対策で携帯電話に関する次のような文章が登場した。

この引用の後半の内容、携帯電話で受け取る音声は現実の縮減でしかないということに関して、オンライン授業においても同様のことがいえる。

私自身、かつてオンライン授業の運営を経験した。

自前でウェブカメラやコンデンサーマイクを購入し、映像配信のプラットフォームを比較検討し、見せ方の工夫をするなど、少しでも

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