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研究者を目指している方のために(4)


はじめに

30代で准教授になることが稀である学術の世界、30代の教授はもっと稀な存在です。そこで、本日は30代で教授になるために実践したことについて共有をすることで、これから研究者になる方のキャリア構築に役立つことを願いいます。

研究者になるために

研究者になるまでの歩みは、以前の原稿で紹介させていただきましたので、時間がありましたら読んでいただけると幸いです。

教授になるために実践したこと

私自身、教授になりたいと考えて戦略的に実行したことは何一つ存在しません。なので、私の振り返りがどの程度効力を発揮するかは分かりませんが、教授になってしまった人間は、教授になるまでにどの様なことを実施してきたのかということを共有したいと思います。

  1. 地方の学会に積極的に参加する:博士号を取得すると全国的な学会に目を向けることが自然な流れです。私は、地方や田舎が好きということもあって大都会で開催される大規模な学会に参加しませんでした。 大学院生の頃は、全国的な学会に積極的に参加していましたが・・・。 日本では地理的、文化的、経済的な特徴から8つの地方に分けられているかと思いますので、なんとなく親しみやすさがあります。 結果的には、比較的近い距離で働く臨床家、研究者、そして業者の方々と交流することになり、徐々に仲良くなり、学会で顔を合わせれば意見交換をしたり、共同研究を企画したり、相談しあったり等、日常的に交流するきっかけになりました。 (近所付き合いの活性化)

  2. 後輩の研究に協力する:後輩の大学教員であったり、大学院生が取り組む研究について、見返りを考えずに、自分自身の意見を共有したり、文献レビューを協力したり、研究計画のディスカッションを実践したりしていました。研究活動をはじめたばかりの方や研究活動を活性化したい方は、気軽に意見交換できる存在に恵まれていないので、寂しい思いをしているかもしれないと思いました。また、今後、研究に興味・関心を高めてほしいと考えて、良いスタートをして欲しいと考えていました。その結果、当時の私は、研究を始めたばかりの方や研究活動を活性化したい方の気持ちを知ることができましたので、そのような方々にわかりやすい、教材を作成するよう心がける機会を得ました。

  3. 大学院進学を検討し始めた方を後押しする:大学院の進学を検討している方、修士号を取得して博士号の取得を検討し始めた方、臨床で意欲的に学会発表に取り組んでいる方にたいして、場所を問わずに、どこの大学院でも良いので挑戦してみたらどうか、という話をよくしていました。全員が進学するわけではありませんが、それがきっかけになって、互いをよく知ることができました。これは最終的に、大学院進学に興味がない人、興味があるけど事情があってできない人、興味がある人を良く知ろうと思う機会を得ました。

  4. 普遍性を追求する:専門用語の定義やフレームワークの定義、方法論などについて、国内と国際で異なることは、働き方が違うことによって一定以上存在します。ただしその中に、誤解や誤認などによるバイアスによって歪められてしまった内容も存在します。ですので、国内の全国学会ベースを中心に知見を集約したり考えたりしていた自分を見直し、国際学会ベースに移行しました。大都会が苦手な私には、国際学会は意外と心地よく、国際学会で近所付き合いする人間関係が構築されました。

  5. オンラインで開催される海外のセミナーに参加する:アメリカ、ブラジル、カナダ、オーストラリア、香港、イギリス等から発信される海外セミナーに毎月1回ほど参加したり、海外大学の博士号の学位審査会に参加していました。500ページ、引用論文数400、原著論文4つで構成された博士論文を見たときは、驚きましたし、学位審査会の長さ、そして質疑応答の質に驚き、それが博士号なのだということに気付かされることもありました。

  6. 海外大学や病院を訪問する:国際学会のついでに大学を訪問して講義をしたり、医療の提供現場を見学して理学療法士と意見交換を行いました。これは、私たちの専門性がどの様な臨床現場で、どの様な仕事が求められ、どの様な教育が提供されているのか体系的に考える良い機会になりました。(コンピテンシー基盤型教育)

  7. 無駄な人達との交流を断つ:めんどくさい大学教員は、たくさん存在します。大学教員を始める前は、大学教授といえば専門性を追求しすぎるあまり、めんどくさくなると考えていましたが、その様な方は寛容であって尊敬できる人格者であることがほとんどです。むしろ、学術的に卓越していない方がめんどくさい大学教員になっています。いわゆる、かわいがりをしなければ、自分の存在価値が無くなることを気づいているような方々です。 私は、そんな方々に対して、飲み会に誘われて断る、委員会で自分の意見を言う、ギフトオーサーシップを断る、ゴーストオサーシップを断るなどをしていましたら、無視されたり、嫌がらせを受けたりしてきましたが、ほっときました。 

  8. その他、研究者になるために実践してきたことを継続する

まとめ

教授は教授なので、専門性を卓越させるためにあらゆる努力を楽しむと言うこと、昭和の近所付き合いと似た、人間味ある対人交流の中で教育・研究・臨床を実践して教授になったと言う話でした。 

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