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本当に「雨の日でもアリの巣は水没しない」のか? 見に行ってみました

のっけから私事で恐縮ですが、先日、自宅の天井裏を通る排水管から水漏れがありまして、なかなか大変な目にあいました。ふだん生活している空間に水が流れ込んでくると、ちょっとしたパニックになりますね。

▲天井をぶち抜いて応急処置しました

やっぱり住まいは快適なのが一番ですね。
そういえば、先日、野生の生き物の巣の中がどうなっているのかを紹介する雑学読み物『ようこそ! 生きものハウス』を刊行させていただきましたが生き物たちもあの手この手で自分の住まいを快適に保っていました。
(今回、宣伝はここだけです)

▲ぜひ、ご一読を!
▲プレーリードッグの巣穴は、
盛り上がったふちが堤防のように水が流れ込むのを防いでいるのだとか

とはいえ、身近な生き物の水害対策って、あまり考えた事はありませんでした。たとえば公園のアリとか、雨の日にはどうしているんでしょう?

検索してみると「雨が直接降りこまない木陰や、雨水が流れてこない小高い場所に巣をつくる」とあります。なるほど。
でも、ちょっと対策ユルめでは? 本当に大丈夫なのでしょうか?

折しも雨雲が近づいてくるタイミングだったので、実際に見に行く事にしました。

▲今にも降りだしそう。その前にアリの巣を見つけなければ

ところが、三十分近く探しても、巣どころかアリが見つかりません。どうでもいい時はよく見るのに。
もう一度検索してみると…

「アリは雨の気配を感じると、巣の入り口に土でふたをする」!?

なるほど、見つかるはずがないですね。徒労か。
と、思っていたら――

▲干からびたミミズに集まっている!

いました、いました!
かなり小さいので、トビイロシワアリとかでしょうか。雨が降りそうだというのに、外回りお疲れ様です。行列をつくっていたので、辿ってみましょう。

▲ふたつの巣を発見!

それにしても、雨の降りこまない木陰や小高い場所に巣をつくるという話でしたが、そうでもありませんね。心配です…。

▲ほぼノーガード

そうこうするうちに、雨も降り始めました。いや、それはいいのですが、思いのほか雨が激しいです。

▲というか豪雨に
▲アリの巣の心配をしている場合ではないかもしれない

ミミズもどこかに流されていってしまいましたが、アリの巣は無事でしょうか。

▲これはもう、ダメなのでは…
▲ここに、さっきまで巣穴がありました

巣穴のあった場所を見てみると、ああやっぱり、埋まってしまっています。アリたちが自分でふさいだのか、水が流れ込んで崩れてしまったのか。前者だといいのですが…。水没しなかったとしても、これでは巣の役割を果たせません。なんともやりきれない思いを抱えながら、公園を後にしました。

でも、このままでは、どうにも寝覚めが悪いです。翌日、もう一度様子を見に行ってしまいました。すると――

▲昨日の豪雨がうそのような快晴
▲新しい巣穴が!

なんと埋まってしまった巣穴のすぐそばに、新しい巣穴ができていたのです。雨水で崩れるなどした巣穴を放棄して、新しい巣穴をつくりなおしたという事でしょうか?

▲これを…
▲こうしたってこと?

真相は分かりませんが、巣穴からは元気な働きアリたちが次々出てきていましたので、中が水浸しという事もなさそうです。よかった!

というわけで、今回、思いつきで雨の日のアリの巣を観察してみましたが、アリたちはたくましく水没のピンチを乗り切っているようでした。機会があれば、他の生き物の生態観察もしたいと思いますが、本日はここまで。自宅の天井は穴があいたままですが、自分もアリたちに負けないよう仕事に戻ります。

読んでいただき、ありがとうございました!

(文・勝屋圭)

★同担当者が編集した本は他にも! 生き物好きの方は要チェックです👀