【短編小説】君の好みをまだ知らない
雑貨屋のテーブルを占拠してあれもこれもと贈り物を選ぶノアを、ラスターは店の外から見ていた。大事な弟妹に聖夜の贈り物といったところだろう。遙か昔――それこそ原初の魔女が現れる前――民が争いに疲弊していた頃、身寄りを失った子供たちにパンを配って歩いた兵士がいた。彼の些細な活動は他者の共感を呼び、パンの他にも菓子や干し肉を配る者が現れた。そして一年で最後の満月の日は休戦とする風習が誕生したのだ。まぁ、後世には「贈り物をする」という部分だけが残ったのだが。
相手が五人も居れば贈り