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自ら商品化して販売する「檳榔西施」の魅力

台湾で噛みタバコを売る女性「檳榔西施」をご存知でしょうか。

記憶を遡ること約5年ほど前、たまたま知る機会があり、私はそこから檳榔の文化に非常にハマることとなりました。

サブカルチャーとして、ハマる人はとことんハマッてしまうはずです。

檳榔や檳榔西施とは何なのか。
魅力と時代背景の全て、檳榔西施から学んだ文化についてもお話しします。


檳榔とは

檳榔とは、太平洋、アジア、東アフリカの一部で育つヤシ科の植物のことです。

呼び方
日本→ビンロウ
台湾→ビンラン

この檳榔についてですが、日本では女神散(にょしんさん)、九味檳榔湯(くみびんろうとう)といった漢方薬に混ぜて処方することがある他、東南アジアでは檳榔の実を搾った汁液を発酵させた酒としても用いられています。

参照⇒ wikipedia

そして私が数年前に出会ったのが、
この檳榔を噛みタバコとして扱っている台湾の文化についてでした。


檳榔西施

かつて台湾では、檳榔を元にした噛みタバコを売る女性が居ました。
彼女たちのことを現地の言葉で檳榔西施(ビンロウシースー)と呼びます。

主に高速道路やインターチェンジ付近に店舗を構えており、檳榔西施と呼ばれる彼女たちが店員として店頭に立ち、噛みタバコを売る。
商品はもちろん、彼女たちの姿も運転手の息抜きになるとして親しまれていました。

しかし、タバコを売るというたったそれだけの「台湾の文化」になぜ私はハマッてしまったのか?
細かく説明をすると長くなるので最後に少し触れます。
“檳榔西施”と画像検索をしてもらうことで全てがわかっていただけると思います。

美女、美脚、ネオン、おしゃれな衣装。

暗くなってくるとネオンの看板が光る、ガラス張りの店舗の中。
露出度が少々高い美女が、スタンディングチェアに座り美脚を見せながら噛みタバコを包んでいます。

日本には無い文化であり、例えばちょっと個性的なファッションが好きな女性であれば、「かわいい」「おしゃれ」と思ってもらえるのではないかと思います。

今ならSNS映えするといった言葉がぴったりなのです。


消えた店舗

魅力的な文化であると思い、どんどん調べてはハマッていったのですが
今現在ほとんど店舗が無くなってしまった
という情報を知りました。
理由はいくつかあるそうです。

・働いている女性のほとんどが10代という若さ
・公の場で露出度の高い服を身に纏うのはどうか
・彼女らの服装が経営者による搾取の犠牲と見なされる

といったことなどが主な理由として台湾では2002年には規制法が制定され、多くの店が営業を辞めたそうです。
(今は露出を控えたファッションに変わり、高速道路のインターチェンジ付近などでは一部店舗が残っていることもあるとのこと)

参照⇒ wikipedia

その他にもまだ規制法が制定された理由があります。
檳榔の噛みタバコは、噛んだ唾液を吐き捨てなければなりません。

どこへ吐き捨てるかというと道端でした。
血のような赤い跡ができた道路は景観を乱し、非常に不快なものだったようです。
規制法が制定されてからは道端に捨てると罰金刑が課せられるようになった他、タバコなので依存性も高いという特徴があります。

日本でも煙草を道端に捨ててはならないということで罰金制度ができたり、健康面での見直しが行われたここ数十年の傾向を考えると、台湾は日本の文化と時代の流れが非常に似ているなと感じました。

また、「檳榔西施の文化が元に戻ってほしいか?」と聞かれると、難しいところがあります。

私自身実際にお店や彼女たちを見てみたかったというのはありますが、やはり10代の女性が露出の高い服を着て夜遅くまで営業を行うという点、そういった若い女性が経営者による搾取の犠牲になるという裏の部分を考えると、やはり元に戻るのはどうかと思うところがあるからです。


檳榔西施の文化について

私はなぜ檳榔西施の文化にハマッたのかという部分について、深く考えました。

衣装や店舗が非常におしゃれであるということについても重要な要素として前提にはあるのですが、
檳榔という趣向品の噛みタバコを彼女たち自らが商品化して販売しているという点でした。

檳榔をタバコとして扱うには、加工が必要です。
檳榔の実を切り開き、檳榔子を磨り潰したものと少量の石灰を入れる。
キンマ(コショウ科の植物)の葉っぱで巻いて、最後の箱詰めまでを手作業で行います。

参照⇒ wikipedia

一般的に、飲食店以外のほとんどの販売店は入荷した商品を店頭に並べて売るだけですよね。
作るという手間は店舗では見えません。

ですが檳榔西施の文化の場合は女性が手作業で作って、その作っている姿もガラス越しに見えます。

「彼女たちが手作業をしている姿を、客は見たいのではないか?」
と思わせてくれた点に、檳榔西施の文化の良さがあるのです。

檳榔西施の文化の場合は、取り扱い品が「檳榔タバコ」なので、ターゲットがほぼ男性という層に偏っていました。

“檳榔西施”と画像検索をした方は檳榔西施がどのような状態であるのかはわかっていただけたと思うのですが、
彼女らはガラス越しに全身が見える状態です。

外から見てガラスで全身映る状態であれば、通行人は間違いなく見ます。
それは決して露出度の高い服を着るということに限ったことではないと思います。
魅力的な人が何か物を作っているとなると、立ち止まる人はきっと多いはず。

もし商品が檳榔ではなく別の物になれば?
そうなると作る商品も決してターゲット層を男性に絞る必要は無く、店頭に立つ人に関しても、魅力的な男性が集まり店員となってもいいと思うのです。

ガラス越しに全身が見える状態で作る姿が見えると、「買ってみようかな」と好奇心を持つ人は増えるのではないかと思います。

外観までは適えられませんが、例えばスターバックスなんかは、店員が飲み物を作る姿を近くから見ることができますよね。


檳榔西施を知るには

定番の動画ツールなどで“檳榔西施”と検索をすると、関連動画が出てきます。

私の場合はハマりすぎていたので、DVDも購入しました。
「ビンロウ売りセクシーGAL図鑑」というタイトルの作品です。

パッケージが成人ビデオのようで購入時は少々躊躇いましたが、肝心の中身はというと当時の様子が流れ、ちょっとしたドキュメンタリー映像のようでした。
(※この映像では淡々と当時の映像が流されているので、よほど興味が無い限りは楽しめないのではないかと思います)

他にも瀬戸正人さんという写真家の方が唯一、檳榔西施の写真集を販売していらっしゃいます。
こちらの本に関しては、サブカル好きの人が手に取りたくなる、おしゃれな表紙からして惹かれるものがあります。

どのようなタイトルであったかずっと探していたのですが、久しぶりに見つけることができて嬉しくなりました。


檳榔西施の文化に興味を持ったという方は、ぜひこの機会にどっぷりハマってください。




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