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海外生活振り返り日記-ニュージーランド前編-#16

マヌカとカヌカ ウェカとウェタ

 パイヒア2日目の朝、予約したブッシュウォークツアーに参加する為森に行くと、女性のガイドさんが出迎えてくれた。軽く自己紹介をしてから早速森に続く草道を歩き出す。
 人1人通れるくらいの小道を一列になって進んでいくと周りには様々な小さな木が生えていた。ガイドさんは時々止まりながら草花や鳥の名前などを教えてくれ、その時にマヌカハニーの原料のマヌカの花についても教えてくれた。花は指の爪くらい小さく白い花でとても可愛らしく、葉っぱも小さいのだがわりと硬かった。またマヌカと似た花でカヌカというのがあり、見た目も名前も似ているのだが葉っぱや木の高さが違うらしい。隣に並べれば分かるかもしれないがどちらか一つを見たらちょっと分からないかもしれない。
  ニュージーランドの森の中へ入ると大抵シダの木が沢山生えているのだが大きなゼンマイのようにグルグルと巻かれたものもあり、一気にジャングルの中という雰囲気になる。どんどん進んでいくと小さなツリーハウスの様な小屋ががあった。そこで鳥たちの観察をしているとのこと。ニュージーランドにはファンテイルという尾羽が特徴的でとても可愛らしい鳥がいるのだが、この時この鳥が観れるかもしれないと皆息を潜めて小屋の内側に隠れて待っていた。どれくらい待ったか分からないがしばらくすると尾の長いそして丸い体のファンテイルが現れた。眼の前の木に一瞬現れてちょんちょんと枝を移動してから直ぐに飛んで行ってしまったが皆んなで隠れながら鳥を待つのはちょっとワクワクして面白かった。
 このツアーを申し込む時、ニュージーランドの国鳥であるキウィは見れるか聞いたら、キウィは野生では滅多に見る事はできないけどウェカなら見れるよと言われたので、この時は話の流れでてっきりウェカもキウィに似てふわっと丸っこい鳥だと勝手に想像していた。
 ウェカはキウィと同じくニュージーランドの固有種で飛べない鳥だ。後で調べてみたら別名はニュージーランドクイナと言い、沖縄の固有種であるヤンバルクイナと同じクイナ科という鳥の一種らしい。
 それから、ウェカと似た名前でウェタという生き物がいると教えてくれた。マヌカとカヌカの様にウェタもウェカに似ている鳥なのかなと思ったら全く違っていた。ウェタもウェカ同様ニュージーランド固有種なのだが、鳥ではなく超巨大な原始コオロギらしい。しかもなんと世界最大。(実は以前博物館で一度展示されているウェタを見た事があったのだが、名前を覚えていなかったのであの衝撃的な大きさのバッタの様な生き物がここに居るのかと知ってちょっと焦った。大きいウェタは手のひらにドンと乗るサイズはある。)
 そしてウェカより先にそのウェタが見れる所に案内された。ファンテイルを見た小屋からそんなに離れていなかったと思う。
 ウェタは壁だかドアだかの一面にぎっしりくっついていた。思わずおぉ………っっ!!と3人とも引いてしまうくらいでかい。画像検索すると驚く方もいると思うのでここでは絵を描いておくことにする。ガイドさんが真剣に説明してくれているので感情をどう持っていけば良いか分からなかったが遠目から観察した。

ウェタ

ウェカ

 森を抜け、少し開けた所に出るとそこにもまた別の小屋があった。
 そしてガイドさんが「ウェーーーーカ ウェカッ ウェカッ ウェカッ ウェカッ ウェカッ ウェカッ ウェカーーー」と鳴き声を真似て呼ぶ。その後に続き皆で同じ様にウェカを呼んでいるとどこからか3、4羽のウェカ達が現れた。どうやらエサを食べに来たようだ。色は茶色だがボールのようなキウィと比べると、細くて先っぽが尖っていて速そうというのが第一印象だった。
 ガイドさんからエサを渡されて皆でそっとあげる。このウェカ達、野生なのか保護されているのかよく分からなかったが後日南島を旅していた時山道に繋がる道路などで野生のウェカを度々見かけた。
 このツアーはウェカに会うのがメインだったらしく、しばらく皆でウェカの説明を聞いたり観察した後解散となった。
 1時間前後の小さなツアーだったが、この日森の中で教えてもらった草花や動物を他の場所で見て名前が分かると、ニュージーランドの事を少し知ったような感じになりなんだか嬉しくなった。
 大人になってから誰かと森や山を歩く事など殆どなかったし興味もなかった。今迄海外旅行と言ったら街を見て美術館に行ったり建物を見たりお土産買ったり…といった発想しか無かったが、このニュージーランドで自然の中で遊ぶという経験は私の旅行人生にもとてもいい影響を与えてくれたと思う。

つづく

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