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コロナ禍での飲食業の売上ダウン対策【前編】人件費コントロールには「シフト管理」がカギを握るという話

こんにちは。パーソルイノベーション・デジタルマーケティング部の木村です。

飲食店でのコロナ禍での売上ダウンの傾向

先日アップした調査データ「【2020年9月】POSデータ分析レポート ~飲食店の4業種・24ジャンル別売上動向を調査~」はご覧いただけましたでしょうか。
全業種で6月→7月で回復、7月→8月で下降の傾向。「食事系」業種で回復が見られるも、居酒屋の回復は遅れている、というデータを紹介しました。詳しくは上記のレポートをご覧ください。

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(出典:https://note.com/pndgtmktg/n/ne7754f148288

今回は、このコロナ禍での売上ダウンの対策について考えたいと思います。

売上ダウンによるPL影響 ~80%でも赤字転落~

上記のレポートでは、8月の売上昨対比が全業種平均で60.3%のダウンを示しています。ここでは、月間売上500万円の店舗のPL(損益計算書)のシミュレーションを見てみましょう。

原価(食材比率)が30%、人件費が固定で150万円、賃料が50万円、その他販管費を100万円と想定した場合に、売上が80%、70%、60%になった場合、簡易PLは以下のようになります。

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理解をしやすくするために非常に単純化していますが、コスト構造を何も変えなかった場合、売り上げが60%だと90万円の赤字、70%だと55万円の赤字、80%の場合でも20万円の赤字になることがわかります。

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利益を確保するための選択肢

利益を確保するための選択肢について考えてみます。
基本的には利益を上げるには売り上げを上げるかコストを下げるかの2択。
売上は客数x客単価等に分解でき、そのための施策(例えばテイクアウトやデリバリーの実施、あるいは最近飲食業界でも話題になりつつある、ダイナミックプライシング(「動的価格設定」「変動料金制」「価格変動制」などと呼ばれる)の導入など)も考えられますが、今回はコストサイドについて検討したいと思います。

まずは固定費の見直しを

例えば賃料の見直し。一般的には賃料は売り上げの「10%以下」もしくは「10%前後」に抑える必要があると言われています。売上がダウンした分、賃料も軽減ができるとPL上のメリットは大きいですね。

 外食業界全体の業績が厳しく新規出店も多くない状況で、「今のテナントが抜けたら後継を見つけるのが厳しい。であれば多少賃料を安くしても今のテナントに残ってほしい」と考える家主も多いはず。3か月ごとに見直すなどの可能性があれば、10~20%程度の減額の相談をしてみるのも選択肢になるかもしれません。

次に広告費や販売促進費なども、費用対効果を再度確認してみてはいかがでしょうか。外食・飲食業関連の広告宣伝費の相場は売上額の5%から10%ほどと言われています。過去からの経緯で支払い続けている媒体費用、自社スタッフで代替できるような外注作業などは減額や中止を考えてはいかがでしょうか。ただし、Go Toイートの予約ポイントの対象になっている媒体に関しては、予約での来店を見込めるのであれば、掲載を続けたほうがいいでしょう。

FLコストの見直しも行う

FLコストとは、飲食店の売上高のうち食材原価(Food)と人件費(Labor)の割合を求めた数字のことです。FLコストは、飲食店経営で最も重視すべき指標の一つであり、いかに食材原価と人件費を安く抑えるかが経営のカギを握る、といっても過言ではありません。

FLコストとFL比率は、以下の計算式で求めることができます。

FLコスト = 食材原価 + 人件費
FL比率 = (食材原価 + 人件費) ÷ 売上高

一般の飲食店では、FL比率は50%台までに収めるのが良いとされています。さきほどのシミュレーション表で、売上80%のケースを見てみてください。

シミュレーション

FLコスト = 食材原価120万円 + 人件費150万円 =270万円
FL比率 = 270万円 ÷ 売上高400万円 = 68%

売上ダウンの影響で、FL比率が68%になり、相場よりも高くなってしまっています。アルバイトの人件費などカットしやすい所から手を付け、FL比率を50%台にまで落とすための経営努力が必要です。

とはいえ人件費カットは単純なものではない

とはいえ、経営者としては従業員の生活の保証もしなければならないため、いきなり辞めさせるのは難しいもの。合意のもとで正社員からパートやアルバイトに移ってもらう、暇な時間帯はできるだけ最小限のスタッフで回すなど、小さなことからコストカットを目指すべきでしょう。

また、コロナ禍で消費者から求められるテイクアウトやデリバリーを新たに導入した場合などは、むしろ必要工数がかかり、時間帯によってはかえって人手不足になることもあるでしょう。

このように、人件費のカットは単純な話ではありません。人件費のコントロールの方法を検討する前に、まず人件費がコントロールできない原因を見てみましょう。

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人件費をコントロールできていない理由

人件費がコントロールできていない原因にはどのようなものがあるのでしょうか。簡単にいくつかの原因をご紹介していきます。

何人必要か把握していない
感覚や勘を頼りにで何名必要なのかということではありません。過去の売上や予測を用いて、日だけではなく時間あたりにどのようなスタッフが何名必要なのかを把握することがポイントです。少ない人数シフトに入っている場合は問題はありませんが、人数が増えれば増えるほどこの管理が煩雑になっていきます。

見える化しておらず良いのか悪いのか分からない
例えば1ヶ月前の連休の人件費が適切だったのかどうか、と聞かれると「どうだったかな…」となる方が多いのではないでしょうか。
何人必要かを計算してその通りにシフトを組んだからといってすぐに人件費がコントロールできるわけではありません。組んだシフトで実際に計画したとおりに適切な人件費に収まっているかどうか振り返り、次回以降のシフト調整に活かしていく必要がありますよね。必ず毎月のシフト作成時に前回のシフトが良かったのか、悪かったのかを振り返りましょう。

人件費を削減する方法

ここから人件費をコントロールするための基本的な方法論を紹介します。

適正な人件費率を算出する

「FLコスト」は上述の通り50%を目安にコントロールするとよいことを述べました。適正な人件費は、飲食店では約33%、卸売業では7%と言われています。ただこれはあくまで同業者の目安となりますので、計画して振り返りをする中で、自社・自店舗ではどれくらいの人件費率が適切なのかを探していくようにしましょう。

人時売上高を算出する
人時売上高とは、スタッフひとりあたり1時間にいくら稼いだかという指標です。言い換えると売上を獲得するためにどのくらいの労働時間が必要だったのかということです。

人時売上高=売上÷総労働時間

例)週250万円稼ぐ店舗で500時間の場合の人時売上高は、5,000円となります。ここも人件費率と同じように、業種や店舗によって異なりますが、人時売上高を目標に設定する場合、おおよその目安は5,000円と言われています。

売上高を基準に必要な労働時間の計算方法ですが、
仮に人時売上高が5,000円で100万円売上を獲得したい場合は、100万円÷5,000円となり、必要なスタッフの総労働時間は200時間という計算になります。

スタッフを教育する

人件費を削減するためには、スタッフの教育も怠らないようにしましょう。
入りたてのスタッフとベテランのスタッフではできることの範囲がまったく異なりますよね。

お客様の満足度向上にも繋がりますし、業務に慣れてスタッフのできることが増えれば増えるほど先ほどご紹介した人時売上高も、あがっていくものです。
出典:https://blog.sync-up.jp/tencho-lab/071

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