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『緑が色づく頃にひとり』

いつもより緑が濃く見える

小鳥が囀る空が青いせい

高い所にある白い雲のせい

風が少し暖かいせいなのか


誰も見ていない

振り向きもしない

名も知らない大きな葉っぱ

少し濡れた跡がきらりと光り


目に入ってくる色と音が

筋状に伸びる雲に乗って

どこまでも繋がっていき

とめどなく響き渡っていく


あの人やこの人も

見ていないものを見ている

秘め事のようにひっそり

特別な時間や空間を過ごす


流されない落ちないものが

緑の大きな葉っぱの中に見えて

トーン記号のような水滴が

ゆらゆら揺れて音を奏でていた




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