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第261号『逃げた先に楽園なんか無い』

学校訪問や直接講演を少しずつ再開しました

最近少しずつ出張や移動が増えてきました。まだまだ世の中が落ち着いてきているとは言い難い状況ではありますが、みんなが少しずつ経済活動を再開してきている流れにあるのだと思います。

そんな中で私自身も福岡本社への来客が増えたり会食も増えてきて、同時に専門学校や大学での特別講義や講演を直接学校に訪問して実施する回数が少しずつ増えてきています。

まだまだオンライン講演の回数の方が多いですが、割合で言うと8:2といったところです。(2割が直接訪問)

特に今年の1年生なんかは入学早々に登校禁止(自粛)となりオンライン授業を受けながら日々を過ごし、ようやく最近になって登校を開始した学校がほとんどといった感じです。

やはり各学校で先生の話を伺っても「オンライン授業には限界がある・今年の1年生はかなり遅れている・しっかりと背中を押してあげて欲しい」なんてことを言われます。

私自身も本心から「今年の1年生は仕方がない・不運の年だったね」と学生が言われてしまわないようにいつも以上に気合を入れて講演をやるようにしています。

そこでやっぱり気になるのがそんな学生が専門学校や大学で「ゲームクリエイターになるために学ぼう」と思って進学した【理由】です。

ゲーム系専門学校に進学した理由

「みなさんは何故ゲーム系の専門学校に進学しようと思ったのですか?」

これはだいたい講演の最初に私が学生さんにする質問です。

すると学生さんからは「ゲームクリエイターになりたいと思ったからです」という返事が返ってきます。

では「なぜゲームクリエイターになろうと思ったのですか?」と尋ねると

「ゲームが好きだから」「子供の頃に遊んだゲームに感銘を受けたから」「自分でもゲームソフトを作りたいと思ったから」

というような答えが返ってきます。

が、実態を言うとコレ、ほとんどが【嘘】であることが多いのです。

ゲームクリエイターになりたい!の嘘

ちょっと厳しい表現で心を抉るようなことを言っているように見えるかもしれませんが、ここをマイルドな表現にしても何も伝わらないのでハッキリと言います。

ほとんどの学生さんが「ゲームクリエイターを目指すきっかけになったのは好きだから」という発言には嘘があります。

実態は全くもってそうではないのです。

ほとんどの学生さんが、勉強もダメ、国語も英語も数学もダメ、運動もダメ、クラスで人気者にもなれない、人と話すのもニガテ、出来れば人とあんまり関わらずにひとりで生きていきたい、そうして逃げて逃げて逃げた先に辿り着いたのがゲームソフトだった。

これが実態です。要するに「自分にはコレしか無いんです」というのが彼らの本音であるということです。

それを指摘した上で私は彼らにこう伝えます。

「まずは自分が何者であるか、ということを知りましょう。恐らくあなた達は選んだんじゃない。逃げて逃げて逃げた先に辿り着いたのがゲームソフトだった、というだけでそれを好きだと勘違いしている人たちです。まずそれを認めましょう。そこからです」

「選ぶということは無限の可能性の中から、多くの選択肢の中からあえてそれを決定する行為です。あなた達のように『これしかないんです』というのは選んだわけではないということを自覚しましょう。そして自分自身がその勘違いにより極めて不利な状況にいることを知りましょう。大丈夫、自覚してさえいれば闘い方はあります」

「逃げた先に楽園なんてありませんよ。『ゲームソフトを遊んでいる瞬間だけ嫌な事を忘れられる』なんてことは確かにあったでしょう。それに救われた人も多いと思います。かくいう私だってその一人です。それでいいのかもしれません、皆さんがこれからも消費者として生きていくのであれば。けど、そうじゃあないんでしょう?プロになりたいんでしょう?だったら自分自身を変える必要がありますよ」

「勘違いから始まった恋だって成就することはあるんですよ。自覚とそれ相応の努力さえあれば。まずは最もニガテな【人と向き合う】ことから始めましょう。これは必須です。【他人に迷惑をかけたくない】とか言うのをやめましょう。お互いにそうやって頼って頼られる関係を築いて与え合って生きていきましょう。ゲーム開発は集団作業です。個人作業しか出来ない人とは一緒に仕事が出来ません。ちょっと考えればわかるはずです。皆さんが大好きなゲームソフトはそうした大人数のコミュニケーションから生み出されているのです」

「大好きなモノのために最もニガテなことを克服しなければならないなんて本当に皮肉めいたジョークのようですが現実です。大丈夫、訓練すればそれも身につけることができますよ。今までサボってきただけなんだから。やらなかっただけなんだから。大丈夫、出来ますよ、だって好きなんでしょう?好きだったらなんでも出来ますよ」

「闘い方は教えます。けど自分自身のスイッチはやはり自分で押してもらう必要があります。それだけは自身でやってください。その後はいくらでも手を差し伸べますし、背中を押しますので。それも無理だと仰るのならば、まぁどうぞ一生消費者でいてください。さようなら」

*****

こんな感じで講演やってだいたい目に炎がメラっと着くのはだいたい1割から2割くらいの学生さんですね。

上出来だと思います。そもそも全員を引っ張り上げようなんて虫のいいことは考えていませんし、どれだけ伝えてもわからない奴にはわからないですからね。そもそも私は教育者ではありませんし。

業界全体と弊社の利益のためには行動しますが、それ以外は知ったこっちゃないですしそこまでヒマでもありません。

これは近しい業界でもよく言われている「容姿に自信が無いから声優を目指しています」なんて人と通じる部分があるのかもしれませんね。

根本からズレている部分を誰も指摘・指導してあげないから気持ち悪い状態が続いてゆっくりとみんな死んでいくんです。

私はなるだけそれをストレートに伝えて一人でも多くの人に覚醒してもらって一緒に仕事をしたいと思っていますので、やっぱりこれからも同じことを言い続けていくと思います。

大丈夫、好きだったら何でもできる。それは無限のパワーだよ。

*****

さて後半部分は今回のテーマでもある【好きを仕事に選ぶこと】についてもう少し掘り下げていきたいと思います。

「色んな国に行くのが好きだから」という理由で旅行代理店やキャビンアテンダントを職業に選ぶ人だっているでしょう。

「美味しいものを食べるのが好きだから」という理由で料理人を選ぶ人もいるでしょう。

そういった【好きを仕事に選ぶ】ということについてもっと語って分解していきますね。

【好きを仕事に選ぶということ】

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