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第334号『初めて職務質問された話』

その日はまさに炎天下でした。

台風が過ぎ去った後の東京は朝から快晴で10月とは思えないほどの炎天下だったのです。

土曜日の朝にいつも通りに早起きをして、近所の『松屋』で朝食を食べていつも通りに東京スタジオに向かいながらスマホを片手にテクテクと歩いていました。

「すいません、ちょっといいですか?」

突然、声をかけられたので振り向いたらそこに警官が二人。

「?」

一瞬、なにかわからなかったけどすぐに理解しました。

「(これは、噂の職務質問!?というやつでは!?)」

そう思った瞬間にはなんか嬉しくなって思わず言葉にしていました。

「初めてや!これ!職務質問でしょ!?」

嬉々として警官二人に話しかけると、なんか急に残念そうなリアクションで「えっと、お兄さん、フードを外してもらっていいですか?」と言われたのでジャージのフードをパッと外しました。

いくつになっても『初めての経験』というのはなんか嬉しくなるもので、たぶんこの時に私の目は見るからにキラキラしていたと思います。

「フードを被っていたのは何故ですか?」

警官からそう聞かれて私はすかさず「めっちゃ天気いいから!日焼けするでしょ?」と答えました。

なんかもう警官二人は顔を見合わせながらちょっと残念そうに予定調和的に話を聞いてきました。

「あの、スマホは何を見てたんですか?」と聞かれたので「ビアンカの愛のかけら!」と答えました。

一瞬、警官がわからなそうな顔をしたのでスマホの画面を見せました。

「え、あ、『ドラクエウォーク』ですか、僕もやってましたよ」

ほほう、「やっていた・・・・・」と来ましたか。

もう、こうなると完全に私自身の取材心というか未知への探求心が膨らんで「よし、まずは話を繋いで逃がさないようにしよう」と考えて、こちらから質問を投げかけました。

「あれ、おまわりさんもゲームやられるんですか?『ドラクエウォーク』は今はもうやってないんですか?ちなみに私に声をかけたのはなんでですか?どういったポイントから声を変えようなんて考えたんですか?」

急に質問をしだしたからか、警官はあっけにとられながらも少しずつ答えてくれました。

「あの、はい、えっと、そう、ゲームは好きですね、あ、『ドラクエウォーク』は今はやっていないですね。あ、えっと、おにいさんに声をかけたのは、ですね、その、フードを被られていてマスクをされてたじゃないですか、それで声をかけさせていただきました」

「フード?フードがポイントなんですか?ジャージを着てフードを被っている人は全員チェックするような感じなんですか?」

「えっと、いや、そういうわけじゃ、いや、そうですね、基本声をかけますね、フードにマスクだと、ですね」

「それで?声をかけることで何が分かるんですか?」

「いや、実は声をかけた瞬間にわかるんですよ、あ、この人はなんか隠してる!とか、なんか後ろめたい様子がある!みたいな感じがピーンと来るんですよ」

「ほほう、で?私はどうでした?」

「いや、ホントに声をかけて振り向かれた瞬間に『あ、この人は何も無いな』と思いました」

「それはどこで?なんで?何がそう思わせるんですか?」

「まずは明るさ、ですかね、振り向いて警官が二人いるのになんか目を輝かせながら話す人は絶対に何も無いですよね」

「なるほどー、まぁ、そりゃそうでしょうね、私は正義のゲームクリエイターですからね!」

「ゲーム?作ってる人ですか?」

「そうですよ!すぐそこに東京スタジオがあって、そこでゲーム作ってますよ、あ、本社は福岡にあるんですけどね、もう25年やってますよ」

「へー、どんなゲームを作られてるんですか?」

「今月!10月14日に発売予定の『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』というゲームを作ってる会社なんですよ!」

「ええ!?『鬼滅の刃』!?アレですか!?え、アレって大井町で作られてるんですか!?」

「大井町だけじゃないけどね、福岡本社と東京とモントリオールで協力して作ってるんですよ」

「なんていう会社さんなんですか?」

「サイバーコネクトツーさ!(Tシャツのロゴを見せながら)」バンッ!

*****

こんな感じのやり取りをざっと15分ほどやりましたよ。警官二人も大井町にゲーム会社があって『鬼滅の刃』のゲームソフトを作ってるってことに興味津々でしたからね。

ちなみに、警官二人が言うにはだいたい声をかけた直後に怪しい挙動をする人っていうのは、ほぼ大麻などを所持している人間が多いということでした。

まぁあんまり公務の邪魔をするのも良くないな、と思ってほどほどで開放しましたが生まれてこのかた職務質問を受けること自体が初めてだったのでちょっと浮かれてしまいました。

一応、言っておくと警官二人はどちらも若くてどう考えても20代前半で「私のことをおにいさんなんて言ってるけどたぶんお二人の親くらいの年齢ですよ、ワタシは!」と伝えたら驚いてましたね。

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あとイラストではわかりやすく(表情を見せるために)マスクを外した状態で作画しましたが、ちゃんとマスクをした状態で歩いていたことを報告しておきます。

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はい、こんな状態です。(確かにフード被ってマスクして歩いているとなんか怪しく見えてしまいますね)

みなさんもフードを被ってマスクして街を歩く時には気を付けましょう!おまわりさんが寄ってくるみたいですよ。

*****

と、まぁ、今朝起きたことをそのまんま記事にしただけなんですが。せっかくなので久しぶりに『日常回』ということで、ここ最近の日常を日記形式で書いていこうと思います。

9月27日(月)とある人たちと会食
9月28日(火)アニプレックスとの定例会
9月29日(水)『戦場のフーガ』コミカライズ進行中
9月30日(木)バンナムとの新プロジェクト企画
10月1日(金)未発表タイトルのチューニング合宿

今週はこんなことがありました。それでは張り切っていきましょう!

今週の赤裸々日記

まず最初に言っておくと、この『週刊少年松山洋』の定期購読者の中には集英社・バンダイナムコエンターテインメント・アニプレックスなどの業界関係者も多数含まれていて日々の私の発言や記事などが常に監視されています。(現在170人ほどの定期購読者のうちの1割ほどはそういった人たち)

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