マガジンのカバー画像

感情のエッセイ

49
気持ちを込めて書いた文章
運営しているクリエイター

2019年3月の記事一覧

知らないミミズ

知らないミミズ

ずっと昔、穴を掘るのが好きだった。
庭や駐車場の土を、小さなスコップひとつでひたすら掘っていた。

はじめは穴が大きくなっていくのが面白い。そのうちにミミズがでてきたり、こんなとこに石が埋まってるのかとビックリしたりして楽しい。
でも何より面白かったのは、奥へ掘るほどに土の質が変わっていくことだった。

掘れば掘るほど土の色が変わって、やがて粘土質になってくる。
この、オレンジ色の土に辿り着いた時

もっとみる
性癖という花園で

性癖という花園で

* 下ネタ全開noteです。苦手な方は今回はご遠慮ください。

僕が性に目覚めたのは早かった。

小学2年生だった頃の夜。布団で眠りを待ってる時になんだかアソコがかゆいなと思って、ちょっと手でこすったのが始まりだった。
虫刺されをひっかくと余計にかゆくなるように、それはエスカレートしていった。その晩、僕は「かゆい!」と何度も訴えながら、アソコをこねくり回した。

それからは毎晩かゆみが襲ってきた。

もっとみる
灰のように崩れたお前へ

灰のように崩れたお前へ

去年の夏は蜘蛛が多かった。べたつく暑さが共に思い出されるほど、その姿をよく覚えている。

そいつらはどこにでもいた。電線の間。物干し竿。寝室の窓の裏。
少しずつ生活を侵食するように、巣はそこかしこで広がっていった。

玄関をでてすぐの、階段を小さく降りる途中に腰をすえた奴がいた。外出するとき、パッと青空が目に入って気持ちいいのがこのアパートのいいところ。その視界の隅に、いつのまにか邪魔な虫が定着し

もっとみる