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バイクで美術館巡り:春風万里荘

〒309-1626 茨城県笠間市下市毛1371-1
http://www.nichido-museum.or.jp/shunpu/

駐車場

バイク、自転車:専用の場所はないが、混んでなければ問題なく駐輪できる
クルマ:無料駐車場あり
入場料:700円 (JAF割引およびホームページの割引券ともに 50 円引き、または笠間日動美術館のチケットがあれば200円引き)

春風萬里荘 (しゅんぷう ばんり そう) は 2006 年の合併前の笠間市の南部、笠間駅から南南東に 1 km 弱のところにある。北関東道友部 IC からは目立つ看板がいくつも出ているので、容易にたどり着ける。

美術館

春風萬里荘は、笠間日動美術館の別館として設置されているが、これ自体は美術館というわけではない。南に面した斜面に日本庭園を造り、その中心として、北大路魯山人の鎌倉の家を移築したものである。

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座敷、茶室、枯山水、神棚、部屋を区切る木の引き戸、欄間、火鉢、衣紋掛け、魯山人作の便器、風呂など、芸術性のある作りや物など枚挙にいとまがない。てんこ盛りである。


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さらに和風建築の一部に小さめの洋室が付け足されており、暖炉が備えられ、ステンドグラスの勝手口があり、それらもいい雰囲気である (赤いところから外の景色が見えている)。とにかく全体に、素晴らしい趣味性にあふれ返っていて、落ち着いた統一感がある。

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スタッフの方に話を聞くと、2011 年の東日本大震災では、本館ではガラス窓が割れるなどした一方で、こちらはまったく何の被害もなかったそうだ。木造で建物自体が軽い事、構造としてはゆるい事 (窓枠は閉めてもガタガタしたり、と言ったような) などが理由だろうとの事。屋根が茅葺き屋根なのも軽い理由だそうだが、その葺き替えの職人が石岡にいるそうだ。

冬は一日10人くらいしか来場しないようで、桜と紅葉の季節がにぎわうそうだ。冬でも積雪の時は絶景だそうだが、周囲は丘陵地であり、積雪だとクルマでたどり着くのは一苦労だろう。バイクでは無理かもしれない。夏は庭木も緑一色になって、見ようによっては面白くないそうだが、一方で冬の木枯らしの景色には趣がある。

なお日動美術館によると「春風萬里」は魯山人の造語との事だが、李白の「唐詩選」の中の「黄鶴西樓月 長江萬里情 春風三十度 空憶武昌城」を連想させる。それなら春風は年月、萬里は様々な土地、と解釈すべきかと思う。「春風萬里」は魯山人にとって、遥かに吹き渡る春の風を思わせる字面に乗せて、これまで旅してきた様々な土地と、そこに至る年月を思い起こさせるキーワードだったのかもしれないな、と想像する。素晴らしい換骨奪胎だ。下写真「春風萬里」の書は、草野心平による。

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食事

食事は提供されないが、邸内の喫茶室で抹茶、紅茶、コーヒーの他、あんみつを楽しめる。

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周囲には個人経営のそば屋、洋食、カフェなどがいくつもある。笠間駅の北側の市街地や、笠間稲荷の周辺にも多い。ネットではあまり情報が豊富とは言えないが、ぶらぶらしながらよさそうな店を見つける、という楽しみもあるだろう。なお市街地にはコンビニはあまりなさそうな気がするが、バイパスに出れば見つけやすい。

周囲

おおよそ春風萬里荘のあたりから北側が、焼き物と稲荷神社で有名な旧笠間市の範囲である。徒歩圏内は芸術の村として、何件もの和洋の画家や陶芸家がアトリエを営んでいるが、旧市内には陶芸教室や焼き物体験のできるところがたくさんある。

北に 3 km ほどのところに、笠間日動美術館 (本館) がある。印象派を中心に現代美術まで幅広い収蔵品を誇り、さらに多数の画家のパレットという珍しい常設展がある。日動美術館から徒歩圏内の笠間稲荷の美術館には、人間国宝の陶芸作品や水墨画などがある。

バイクで美術館巡り:笠間日動美術館

また茨城県陶芸美術館も近い。

西に 20 km ちょっとで雨引観音 (坂東観音霊場第二十四番札所) がある。また北西に 30 km ほどで、笠間同様に焼き物で有名な益子がある。

他の美術館:これまでの記事

ふえふきマガジン:美術館ツーリング
本にしてみた

益子参考館 (栃木県益子町)
森の美術館 (千葉県流山市)
馬頭広重美術館 (栃木県那須郡那珂川町)
春風万里荘 (茨城県笠間市)
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市原湖畔美術館 (千葉県市原市)
館林美術館 (群馬県館林市)
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松山庭園美術館 (千葉県匝瑳市)
鋸山美術館 (千葉県富津市)
栗田美術館 (栃木県足利市)
佐倉市立美術館 (千葉県佐倉市)
成田書道美術館 (千葉県成田市)

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