干物ぱんだ
ちいさなしあわせを絵本の物語として、日記のように書いています。 ぜひ、お読みください!!
むかし、あるお庭に一本の木が生えていました。 その木には、 メジロのつがいが暮らしていました。 1羽はずんぐりむっくりした大きな雄鳥。 もう1羽はお目目がぱっちりしたかわいい雌鳥。 2羽はいつもいっしょ。 お庭の主は2羽のために、 小さな一欠片のパンをちぎり庭先に置きました。 すると雌鳥はすかさずくわえて 雄鳥の元に行き、はんぶんこをしました。 はんぶんこ。はんぶんこ。 2羽は時に楽しそうに、 時にケンカをしたりして かわいいさえずりを庭中に 毎日ひびかせていました。
ある朝起きると、隣の木であたらしい ともだちが鳴いていた。 ツクツクボーシ ツクツクボーシ みんちゃんは、勇気を出して声をかけてみた。 「おはよう」 ともだちはしばらく鳴きやんだ。 すると 「おはよう!」 と言った。 「きみ、お名前は?」 みんちゃんはもっともっと知りたくて、聞いた。 でもともだちは、「ひみつ」と言った。 ともだちは、朝起きるとかならず横の木にいて、 お昼になるとどこかに飛んでいってしまった。 どうやら、すごく素敵な木が他にあるらしい。 み
コータは、いつも不安気。 お外を見てはワンワン。 「明日、はれるかな? あめになっちゃったらお散歩いけない……」 ご主人さんが見えなくなるとワンワン。 「どこ行ってたの?すてられちゃうの?」 だいすきなお人形をみうしなってワンワン。 「あぁ、どこに行っちゃったの? もうボクのこときらいになっちゃった?」 コータは不安気に、ワンワンとほえる。 ある日、ご主人さんがしょんぼりとした 顔でかえってきた。 コータは不安になった。 「どうしたの?」 ワンワンとほえる
らくださんは、砂漠の中をいっしょうけんめい 毎日あるく。 雨の日も、風の日も、いやなことがあっても、 うれしいことがあっても、立ち止まらず あるきつづける。 だけど時々、こぶのエネルギー切れを 起こしちゃうから、ひとやすみをしないと、 らくださんはがんばれない。 「ふー」 ある日、らくださんはひとやすみをはじめた。 ウトウト。 ウトウト。 ウトウト。 「あー。おやすみってなんてすてきなんだろう」 ゆっくり、雲がフワフワとうかんでいるのを ながめるらくださん。 「
その日は、ありのあーちゃんの誕生日だった。 あーちゃんをお祝いしようと、 たくさんのともだちがお家にやってきた。 「あーちゃん、おめでとう!」 「おめでとう!」 「ハッピーバースデー!」 お家の中は、ともだちでいっぱい。 あーちゃんも、たくさんのご飯をつくった。 「モグモグ」 「モグモグ」 たくさんのご飯は、あっという間になくなった。 あーちゃんは、大きなケーキをつくった。 「モグモグ」 「モグモグ」 ケーキも、あっという間になくなった。 しばらくすると、ともだち
「たいへん!たいへん!たいへーん!」 ある日、ひよこのピヨちゃんがさけびながら、 お母さんのもとにとびこんだ。 「いったい、どうしたの?」 お母さんは目をまんまるにして、きいた。 「あのね、あのね。へんないきものがいるの。 見たことがなくてね。とにかくへんなの!! 来て!」 ピヨちゃんは、お母さんの手をひっぱりながら 川の水をのぞきこんだ。 「ほらぁ!」 お母さんも、ピヨちゃんの指差したほうを のぞきこむ。 するとそこには……ピヨちゃんがいた。 「どこにい
いるかさんは、ひろい海でひとりぼっちだった。 (いわしさんは、いいな。みんなといっしょで) いるかさんは、いわしさんに声をかけた。 「ねぇねぇ、ぼくもまぜて!」 「いいよ!おいでよ!」 いわしさんといっしょに、およいでみた。 だけど、ポツンと大きないるかさんは、 いわしさんとはいっしょにおよげなかった。 いるかさんは、シクシクと泣いた。 すると……。 『もしもーし、きこえる?きこえないかな?』 どこからか、声がきこえてきた。 「だれかいるの?」 キョロキョロ
かめれおん君は、うわさがだいすき。 森中のうわさに、いつも耳をすませ、 姿をかくして、うわさがやってくるのを じっとまっている。 「ねぇねぇ、しってる?」 りすさんとうさぎさんの話し声。 ほらほら。うわさがやってきた。 「なになに?」 「ビーバーさんの夫婦、 おおげんかしたらしいよ」 「わぁ、たいへん!」 ニタニタニタ。 ペロリ。 そのうわさ、いただき! かめれおん君は、はりねずみさんに言った。 「ビーバーさんの夫婦、おおげんかして おうちがこわれちゃったらし
ある日、くまさんが鏡をみると 目のしたが、まっくろになっていた。 「くまだぁ!!くまができちゃった!!」 くまさんは、あわてて戸棚のひきだしから はちみつのパックをとりだし、顔にあてた。 「たいへん、たいへん。ピチピチにしなきゃ」 その上から、どんぐりがたくさんついた枝で 小顔ローラーをした。 「お顔をちっちゃくしなきゃ!」 鏡をのぞいてみる。 それでも、くまさんのくまは、とれていない。 「よぉし!」 くまさんは、桐の箱から ラベンダーのお花であんだアイマスク
「どうしよう!!」 ある日、かばさんのお家から、おおきな声が きこえてきた。 きつねくんがあわてて、お家に行くと、 かばさんは体重計にのり、まっさおな顔をしていた。 「かばさん、どうしたの?」 「たいへんだ。さいきん、どうもお腹がぽんぽこりんだなぁと思っていたら、こんなにもふとっちゃった!!」 きつねくんものぞきこんでみた。 でも、かばさんのお腹で体重計がよくみえない。 「うーん、よく見えないや。 おもいあたる節はあるの?」 「うーん……」 かばさんは、よーく、よ
なまけもののムッちゃんは 森でいちばんの、のんびり屋さん。 「おしりがかゆいなぁ」 ポリポリ。ポリポリ。 「あ、あそこの物をとりたいなぁ」 ウーンと手をのばしてみる。 「とどかないから、いいやぁ」 のんびり、のんびり。 ポカポカのお日様にあたるとねむくてウトウト。 ある日、森のみんなでピクニックをしていると 噂をききつけたムッちゃんもやってきた。 「ムッちゃん、いらっしゃい!」 「ムッちゃんがきてくれるとうれしいな」 森のみんなは、大きなシートをひろげて、 その上
ムズムズ。 ぞうさんには、天敵がいる。 ムズムズ。 ムズムズ。 でも、ぞうさんはみとめたくない。 そいつが天敵であることを……。 ムズムズ。 ムズムズ。 朝起きると、目がかゆくて、 なみだが、とまらない。 ショボショボ。 ショボショボ。 かゆい、かゆい。 お手手で目を思いっきりかいてみる。 それでも、ショボショボはとまらない。 次の日になると、鼻水がとまらなくなった。 ズビズビ。 ズビズビ。 なんど、すいこんでも、 たら〜っとたれてくる。 ズビズビ。 ズビズビ。 ショ
とある森に、とってもとっても、 はずかしがり屋のうぐいすさんがいた。 「ホーホケ」 何度がんばっても、じょうずに鳴けない うぐいすさん。 「ホーホ」 「ホーホケ」 森中のみんなが、うぐいすさんの声をききたくて 耳をすませる。 「そんなに耳をすまされたら、はずかしくて じょうずに鳴けないよ……」 うぐいすさんは、一人かくれて、 練習をしてみた。 「ホーホケキ」 でも、うぐいすさんが行くところには、 みんなもついてきては、耳をすませる。 「もー!ついてこないで!
みどりのかおり。 胸がスーッときもちがいい、かぜのにおい。 森に春がきた!!! ムクムク、ムクムク。 地面が、なんだかムクムクする。 ポコ! ポコ! ポコ! あちらこちらで、 たくさんのもぐらさんが顔をだした。 「おはよう!春だね!」 「どうもどうも、久しぶりだね」 「いやぁ、すっかりあたたかいひざしだね」 あたり一面に、もぐらさんが顔をだしては たのしそうにおしゃべり。 久しぶりにあえて、みんなのお顔がニコニコ。 おしゃべりも止まらない。 「この前ね、地面のな
ある日、かたつむりさんは、 大きな荷物を持って、でていった。 森のみんなは、心配をして かたつむりさんに言った。 「かたつむりさん、 そんな大荷物で、どこにいくの?」 かたつむりさんは、 ほこらし気に胸をはり言った。 「この森をいっしゅうするんだよ!」 カラスは、かぁかぁとわらった。 「ボクなんて、びゅーんとひとっ飛びだ!」 うさぎも、ピョンピョンとわらった。 「わたしもピョンピョンはねてあっという間ね」 それでも、かたつむりさんは ゆっくり、ゆっくり歩きはじめた
とある森に、ちいさな喫茶店があった。 そこでは、ふしぎなまほうがつかえ、 どんな悩みごとも、モヤモヤも、 フワッとあわのように消してしまうという。 ある日、りすが、喫茶店をおとずれた。 チクタクと時計の大きな音。 コーヒーの香り。 うさぎに、さるに、くまにと、 中にはたくさんのどうぶつたちが座っていた。 「いらっしゃい。おはいり」 ふくろうが、カウンターから顔をのぞかせた。 「メニューはないの?」 りすは、ふくろうにたずねた。 「ないですよ。 そのかわりに、あな