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【絵本日記】うわさだいすきかめれおん

かめれおん君は、うわさがだいすき。
森中のうわさに、いつも耳をすませ、
姿をかくして、うわさがやってくるのを
じっとまっている。

「ねぇねぇ、しってる?」

りすさんとうさぎさんの話し声。
ほらほら。うわさがやってきた。

「なになに?」
「ビーバーさんの夫婦、
おおげんかしたらしいよ」
「わぁ、たいへん!」

ニタニタニタ。
ペロリ。
そのうわさ、いただき!

かめれおん君は、はりねずみさんに言った。

「ビーバーさんの夫婦、おおげんかして
おうちがこわれちゃったらしいよ」
「そうなの!?しらなかった!!」
「しらないの?みんな、しってるよ?」

かめれおん君はつぎに、はとさんに言った。

「この前ビーバーさんの夫婦、おおげんかして
おうちがこわれて、奥さんがけがしたって!」
「そうなの!?たいへん!!」
「しらないの?みんな、しってるよ?」

かめれおん君はつぎに、すずめくんに言った。

「ビーバーさんの夫婦、おおげんかして
おうちがこわれて、奥さんがけがして、
旦那さんは、行方不明になっちゃったらしいよ」
「そうなの!?しらなかった!!」
「しらないの?みんな、しってるよ?」

森中が、ビーバーさんのうわさでもちきり。
はりねずみさんも、はとさんも、すずめくんも
みんな、ビーバーさんのおうちにかけつけた。

「おうちがこわれたんだって!?」
「奥さん、けがのぐあいはどう?」
「旦那さんの行方いっしょにさがすよ」

ビーバーさんはびっくり!
「そんな話、どこから聞いたの!?」

はりねずみさんも、はとさんも、すずめくんも
口をそろえて言った。

「かめれおん君から!」
「かめれおん君から!」
「かめれおん君から!」

ビーバーさんは大きくためいきを、ついた。

「やっぱり、かめれおん君か。
 もう、まったく!」


かめれおん君は、うわさがだいすき。
森中のうわさに、いつも耳をすませ、
姿をかくして、うわさがやってくるのを
じっとまっている。

「ねぇねぇ、聞いた?」

どこからかまた、おいしいうわさのたねが
やってきた。
かめれおん君は、舌なめずりをする。


(ふむふむ。これは、とってもおいしそうだ)

あっという間に、うわさをペロリ!

かめれおん君に、しられたらさいご。
まほうのことばといっしょに、
森中にひろまっていく。

「みんなしってるよ?しらないの?」

きょうも、うわさをさがして、
森のどこかにひそんでいる。


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