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【絵本日記】はずかしがり屋のうぐいすさん

とある森に、とってもとっても、
はずかしがり屋のうぐいすさんがいた。

「ホーホケ」

何度がんばっても、じょうずに鳴けない
うぐいすさん。

「ホーホ」
「ホーホケ」

森中のみんなが、うぐいすさんの声をききたくて
耳をすませる。

「そんなに耳をすまされたら、はずかしくて
じょうずに鳴けないよ……」

うぐいすさんは、一人かくれて、
練習をしてみた。

「ホーホケキ」

でも、うぐいすさんが行くところには、
みんなもついてきては、耳をすませる。

「もー!ついてこないで!」

うぐいすさんは、はずかしくて、はずかしくて、羽で口ばしの周りをかこみ、
ちいさな声で鳴くようになってしまった。

ある日、そんなうぐいすさんを見かねた、
友達のめじろくんが舞いおり言った。

「うぐいすさん、どうしてそんなにはずかしいの?みんな、うぐいすさんの声がだいすきで
聞いてるだけなのに」
「だって、みんながわたしを見るんだもの」
「見られるのがはずかしいんだね。
だったら、夜に鳴いてみるのはどうかな?」

うぐいすさんは、目をぱちくりと、させた。

「夜?」
「そうだよ。夜に練習をすれば、
みんなねむってるし、はずかしくないよ」

その日から、うぐいすさんは、
こっそり夜に練習をするようになった。

「ホーホケキョ」
「ホーホケキョ」

しずかな森にうぐいすさんの声がひびきわたる。

「夜だとみんなの顔がみえないから、平気だ!」

うぐいすさんは、まいばん、まいばん、
鳴きつづけた。

「ホーホケキョ」
「ホーホケキョ」

まるで、スポットライトかのように月明かりが、うぐいすさんの桜をてらす。

「ホーホケキョ」
「ホーホケキョ」

夜に聞こえる、春のやさしいおとずれ。
森のみんなが、桜のまわりにあつまり、
そっと耳をかたむける。

「ホーホケキョ」
「ホーホケキョ」
「ホーホケキョ」
「ホーホケキョ」

はずかしがり屋のうぐいすさんは、
そのことをまだしらない。
だから、あなたも、しずかに耳をかたむけてね。


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