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【絵本日記】ぜったい、花粉症じゃないぞうさん

ムズムズ。
ぞうさんには、天敵がいる。
ムズムズ。
ムズムズ。

でも、ぞうさんはみとめたくない。
そいつが天敵であることを……。
ムズムズ。
ムズムズ。

朝起きると、目がかゆくて、
なみだが、とまらない。
ショボショボ。
ショボショボ。
かゆい、かゆい。
お手手で目を思いっきりかいてみる。
それでも、ショボショボはとまらない。

次の日になると、鼻水がとまらなくなった。
ズビズビ。
ズビズビ。
なんど、すいこんでも、
たら〜っとたれてくる。

ズビズビ。
ズビズビ。
ショボショボ。
ショボショボ。
ムズムズ。
ムズムズ。

見かねた、ともだちのさるさんが、
ぞうさんに言った。

「ぞうさん、どうしたの?」
「うーん。ちょっと、目がかゆいだけ。
 ちょっと、お鼻がグズグズするだけだよ。
 だいじょうぶだよ」
「ぞうさん、それは花粉……」
「ちがうよ!!」
「でも、そんなになみだをながして。
  鼻水まで、たらして。花粉だ……」
「ちがう!ボクは花粉症なんかじゃない!」

ぞうさんは、かたくなに、みとめない。

「いっしょに遊びたいのに。
 あれじゃぁ、つらそうだよ……」

さるさんは、ぼんやりと考えながら歩いていると
くまさんがやってきた。

「さるさん、どうしたの?」
「あのね、ぞうさんが、どう見ても花粉症なのに
  みとめないの。でも、とってもつらそうで」
「ぞうさんは、どうしてみとめないの?」
「ぞうは力強くいなきゃいけないのに、
 花粉なんかに負けちゃうのがいやなんだって」
「まったく。ぞうさんったら」

さるさんとくまさんは、
うーんと頭をなやませた。

「そうだ!!」
くまさんは、とつぜんひらめいた。
「いいことを思いついたや!!」

くまさんと、さるさんはコソコソとお話をした。
「いい考え!くまさん、さすが!」
「じゃぁ、明日作戦実行だ!」


次の日、ぞうさんはいつものように、
目から涙をながしながら、外に出た。
すると大好きな、
まぁるいりんごがおかれている。

「なんて、美味しそうなりんご!」

一つ食べると、またその先に。
また一つ食べるとその先に。
りんごが、つづいてく。
どこまでも、どこまでも。
モグモグ。
モグモグ。

バタン。

ふと、扉がしまる音がし、
ぞうさんは恐る恐る、ふりかえってみた。
するとそこには、
お医者さんのやぎさんがたっていた。

「いらっしゃい。話にきいていたとおり、
 なんてつらそう。かわいそうに。
  おくすりを出してあげよう」

次の日、さるさんは
ぞうさんの様子をみにいくと、
ぞうさんは元気いっぱいに、桜のしたで、
りんごをたくさんたべていた。

「ぞうさん、お鼻はどう?お目目はどう?」

ぞうさんは、ニッコリと笑いながらいった。

「へっちゃらだよ!だからいったでしょ?
 花粉症なんかじゃないよ!」

さるさんは、やまもりのりんごの中をみると、
「おくすり」と書かれたふくろが
ひっそりとみえた。

でも、ニコニコいっぱいのぞうさんを見て、
さるさんはうれしくなり、ぞうさんを
ギューっとだきしめた。

「ぞうさん、いっしょにあそぼ!」

ぞうさんと、さるさんは笑いながら、
おしゃべりをお日さまがしずむまで話した。
たのしくって、たのしくって、
にひきの目からは涙がこぼれていた。


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