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【絵本日記】おもいだせない、かばさんとご飯

「どうしよう!!」

ある日、かばさんのお家から、おおきな声が
きこえてきた。
きつねくんがあわてて、お家に行くと、
かばさんは体重計にのり、まっさおな顔をしていた。

「かばさん、どうしたの?」
「たいへんだ。さいきん、どうもお腹がぽんぽこりんだなぁと思っていたら、こんなにもふとっちゃった!!」

きつねくんものぞきこんでみた。
でも、かばさんのお腹で体重計がよくみえない。

「うーん、よく見えないや。
おもいあたる節はあるの?」
「うーん……」

かばさんは、よーく、よーく
おもいだしてみた。

「うーん、うーん、
ぜんぜんおもいあたらないや」
「もっと、おもいだしてみてよ」

かばさんは、もっと、もっと、よーく
おもいだしてみた。

でも、ぜんぜんおもいだせない。

「きつねくん、しばらくかんがえてみるよ」
「わかった。あしたの朝またくるね」

かばさんは、その夜池の中にもぐり、
水をプクプクしながらかんがえてみた。

プクプク、プクプク。
プクプク、プクプク。

かばさんの「うーん」となやむ声が、
池中にひびく。

プクプク、プクプク。
うーん、うーん。
プクプク、プクプク。
うーん、うーん。


朝になった。
きつねくんは、やくそくどおり、かばさんの
元をたずねにやってきた。

「かばさん、どうだい?」
「ぜんぜん、おもいだせないや」
「そっかぁ。
じゃぁ、きっとぽんぽこりんなのは気のせいだよ!」

きつねくんは、かばさんのお鼻の先を、なでた。

「そうか。そうかもね!だって!!
5日前はりんごを20個たべただけだし
4日前はおいもを40個たべただけだし、
3日前はにんじんを30本たべただけだし、
2日前はすいかを15個たべただけだし、
昨日はきゃべつを35個たべただけだもん」

きつねくんは、だまっていた。
「きつねくん、なんでそんな顔をしているの?」
かばさんは、キョトンとした目できいた。

きつねくんは、おおきくため息をついた。
「はぁ。おもいあたる節、たくさんじゃないか」
そう言って、きつねくんは帰っていった。

「え!どれが!?!?なんで!!」
かばさんの声は、
いつまでも池中にひびきわたっていた。


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